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10話・成長

 この頼りない体に生まれ変わってから早二週間が経過していた。

 10歳からの転生という謎のスタートではあったが、なんとかやれている。

 やれているというより、生きているというのが正しいか。


 この二週間で手に入れた情報をまとめてみた。

 まずリズベルグは魔法院中で嫌われていて、リシャールという男の取り巻きの暴力が日を追うごとに過激になっている。

 原因はすでに分かっているし、今は大人しくやられてあげているが、このまま終わらすつもりはない。


 やられたらやり返す。

 善意には善意を、悪意には悪意を、だ。

 その瞬間は一歩一歩確実に近づいている。


 次に俺の成長に関してだが、順調と言っていいと思う。

 筋トレの成果が出てきたのか、転生当初よりも体が軽くなった。


 この一週間休まず授業に参加しているんだが、魔法について大まかに理解できた。

 魔法を使えるようになるには段階を踏まなければいけないらしく、教科書に書いてある通り、一つ一つこなしていったら魔法が使えるようになった。

 今は風魔法だけだが、近い将来全属性を使いこなせるようにするつもりだ。


 魔法を使えることは誰にも見せていないし、言ってもいない。

 能ある鷹は爪を隠すというように、切り札は隠し持っておきたいからだ。

 まあ、話す相手が居ないというのも一つの事実だが。


 俺って本当に王族なのか? という疑問も鑑定の力で解決済みだ。


 どうやら俺が目覚める前に男爵家に養子に出されていたようだ。

 王族の消費ポイント50どこいったよ!

 ポイント詐欺だろうが!

 この件に関しては今でも納得していない。


 もう一つあって、これは昨日知ったことなんだが、このリネット魔法院では三つの大きな行事があるらしい。


 二回生終了近くに行われる、バズの森での課外活動。


 三回生、四回生、五回生、合同の迷宮探索。


 ルーラン魔法大学で行われる魔大祭。

 この行事は各魔法院の成績上位者が、ルーラン魔法大学で魔法を競い合う。

 そこでの結果はルーラン魔法大学の入学に大きく影響するらしい。

 そこまで興味のある話じゃないはずなんだが、何故かそこに行かないと駄目な気がしてしまう。

 焦燥感っていうか、なんだろうな。

 今すぐっていう話じゃないし、取り敢えず保留だ。


 問題なのはバズの森での課外活動だ。

 ここでの成績は三回生進級の評価対象になり、みんな気合が入っている。

 課外活動の目的は"狩り"だ。

 バズの森では三月に入るとゴブリンが大量繁殖する。

 一回の繁殖で、一体の雌ゴブリンから約20体のミニゴブリンが産まれる。

 そのミニゴブリンが成長する前に狩るのが今回の課外活動の目的だ。


 活動中班を組んで行動するらしいが、どうやら俺が目覚める前に班決めは終わっていたようだ。

 基本的に班決めにルールはないらしいが、5、6人で班を作るというのはこの課外活動の伝統らしい。

 5、6人っていうのは迷宮に潜る際の最適な人数とされていて、それに慣れるということもあるのだろう。


 俺にも勿論班はあるんだがこれが酷い話だ。

 まず一人目に俺だ。

 ここはまあ普通だ。


 二番目に名前が上がるのはこのクラスで飼われているペットのサム。

 この世界の犬だ。

 しかも雑種らしい。


 これを担任教師であるヴァンダレイから聞いた時は開いた口が塞がらなかった。


 三番目、四番目、五番目の班員は一気に紹介しようと思う。

 モルモットのA、B、C、だ。

 見た目の区別が付かないので名前の順番は特に気にしなくていい。

 ヴァンダレイが今回の課外活動の為に急遽取り寄せてくれたらしい。

 強力な助っ人だぜ、ありがてぇ……ってふざけんなこのやろう!

 俺は飼育委員かよ!


 数合わせ感が半端ないし、人じゃないだろ!


 その後……サムが可哀想だとクラスメイトからの反発があり、ペットのサムは俺の班から脱退した。

 代わりにモルモットのDが俺の班員に加わったのは今日の話だ。

 どう考えても俺の方が可哀想だろうが!


 ここ数年はあいつがいつも俺の隣に居たから、久しく孤独っていうやつを忘れていた。

 が、最近の孤独感は凄まじい。

 前の俺よ、何してくれてんだよ!

 しかも課外活動が来週ってもうすぐだろ……クソ面倒くせえよ。


 愚痴っぽくなってしまったので、気分を変えて鑑定について説明しておく。

 まず鑑定をすると眩暈や吐き気が起こってしまうのには理由がある。

 鑑定を使うごとにMPを一消費していて、最大MPの三割程度までMPを使うと脱力感に襲われて、二割程度まで減ると眩暈や吐き気に襲われる。

 一割を切ると意識が混濁してくる。

 それ以上は危険でやっていないが、教科書によると最悪死に至るらしい。




 鑑定



 《名前リズべルグ=マルセン。年齢10歳。〔出生〕〔職業〕〔能力〕〔スキル〕》


 鑑定で見れる情報はこんな感じだ。

 俺が見やすいように省略されているが、例えば〔出生〕に意識を持っていく。


 《父:オーランド=ルーラ。母:カナリラ=ソル=マテリア。養父:ファーレル=ソルト。養母セシル=マルセン》


 こんな感じで情報を出せる。


 職業は学生になっていて、〔能力〕はこんな感じだ。


 〔能力〕

 HP24

 MP63

 SP23

 筋力3

 知力8

 器用7

 敏捷6


 二週間前の能力値がこんな感じだったからかなり成長している。


 能力値・二週間前

 HP15

 MP47

 SP17

 筋力2

 知力7

 器用6

 敏捷4


 上がり方がショボいと思った奴、それは間違っている。

 鑑定の修行がてら色々な生徒を鑑定してきたが、この学校の生徒の平均値はHPが大体25、MPが40、SPが25、その他が大体5〜6という感じだった。


 教師=大人も鑑定してみたんだが、能力値は生徒の二倍程度しかない。


 このままのペースで成長するとして、学院を卒業する頃にはMPは1200になる。

 敏捷も150程になり、教師の15倍くらいの数値になる。

 卒業時には怪物になってるだろう。


 次はスキルだ。


 〔スキル〕

 剣術 レベル一

 体術 レベル一

 風魔法 レベル三

 鑑定 レベル五

 魔力操作 レベル三

 HP回復速度 レベル二

 MP回復速度 レベル二

 直感 レベル一

 気配察知 レベル一

 危険察知 レベル一

 痛覚耐性 レベル二


 鑑定のレベルが五になったのは昨日のことだが、スキルの数の多さには驚いた。

 剣術、風魔法、鑑定はキャラメイクの時に手に入れたやつだ。

 魔力操作はスキルの項目を見れるようになった時からレベルが二あった。

 もしかしたら前の俺が手に入れたスキルという可能性もある。

 他のスキルも同様だ。

 ユニークスキルである六光星の加護がないのは鑑定レベルが低いせいだと予想している。


 課外活動に向けて残り一週間、限界までスキルと能力を成長させるつもりだ。

 何と言っても実質一人だからな。

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