夢
あのね、
とっても幸せな夢を見るの。
何度も何度も見るの。
なぜ、夢は覚めてしまうのかしら。
あの夢が続くなら、眠り続けてもいいかもしれないわね。
あなたと出会った時の夢。
私は16歳になった日、お見合いをした。
そこにいたのがあなた。
あなたに初めて会った時、涙がこぼれた。
この人だ。って思った。
とてもびっくりしたでしょう?
父と母のうろたえた姿が、未だに忘れられないもの。
でも、あなたは私の涙を笑顔で受け止めてくれた。
あの笑顔のあなたが夢に出てくるのよ。
あなたと会って、もう35年も経つのに。
あなたが、この世からいなくなって12年も経つのに。
それでもあなたの夢を見るの。
夢の中では私だけおばちゃんで…
あなたは若いままなのよ?
本当なら、あなたは私より5つも年上なのに…。
釣り合わないったらないわ。
でも幸せなの。
あなたの笑顔が心地いいの。
あなたの子供は立派に育ったわよ。
頑張ったもの。
みんな手を離れて、今では3人の孫のおばあちゃんよ。
一番の心残りだったでしょ?
夢じゃない世界で、あなたに会えるのはいつかしら?
私、ピンピンしてるから、まだまだ先の話ね。
仕方ないから当分は、夢の中の若いあなたで我慢してあげる。
あなたと空で会えたら、真っ先にこの夢の文句を言うわ。
びっくりして、僕は知らないよ!って言うかしら?
いたずらっぽく、僕若かったでしょ?って言うかしら?
どちらにしても、あなたは、あの笑顔で迎えてくれるわね。
まだまだ空に行く気はないけど、今から楽しみよ。
じゃあ、また夢で会いましょぅ?