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東方楽々記  作者: COPPE
第四章 竹林の奥の怪しい建物。つまり永遠亭
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師弟の意外な内面事情

1ヶ月振りくらいにカラオケ行きました。


声の出し方忘れますね…




部屋の真ん中の布団には、小さい子どもが眠っている。


その横にはウサ耳少女が座っていた。

少女は、隣に置いてある桶にタオルを浸し、搾ってから子どもの額に乗せた。




「……起きないなあ」




少女。鈴仙・優曇華院・イナバは呟いた。


眠っている子ども。楽冶は、表情が優れず苦しそうである。




「まさか師匠が、あんな物を作って食べさせるなんて……」




楽冶が倒れた後、一番焦ったのは永琳であった。

いつもは冷静である永琳が、楽冶を抱えて自室に戻り、鈴仙を見つけると




「ウドンゲ!楽冶が!楽冶が倒れちゃった!」




と言い、部屋を荒らし始めたのである。

それは、薬を探していただけなのだが、焦っている永琳は、部屋をひっくり返すような勢いで探していた。


その切羽詰ったような状況に、鈴仙もすかさず聞くしかなかった。




「どうしたんですか!?」

「楽冶が倒れたのよ!」

「何をしたんですか!?」

「知らないわ!私の料理を食べたら……」

「じゃあ……これです!」




永琳の料理がどんなものなのか、鈴仙には分からなかったが、食中毒等の食べ物系に万能な薬を、渡した。




「ありがとうウドンゲ!」




永琳は、その薬を引っ手繰るように取ると、楽冶に飲ませ始めた。

その後の楽冶が心配であったが、できるだけ早く治すなら原因の究明が先と、鈴仙は台所へ向かった。




「……え」




そこで見つけたものは、永琳の作った料理には見えないアレ。

ドス黒く何故かジェルの様な感じのアレである。


鈴仙はその物体に近づくと、指先に少し付けて……一舐めした。




「!?・・・・・・ゲホッゲホッ!何これ!?」




たった一舐めで、ビリッっと舌に刺激が走る。

そして確信した。犯人はこれで間違いないと。




「師匠……これは何ですか?」




鈴仙は、皿ごと永琳の自室へと持って行き聞いた。




「それを食べたら楽冶が倒れたのよ」

「……誰が作ったんですか?」

「私だけど」

「…………」




作ったのは誰か分かっていたが、本人から答えを聞いた鈴仙は黙るしかなかった。


楽冶がつまみ食いをしてしまって、倒れたのなら、まだいいとしよう。

だが、己で作った料理を食べさせて、倒れさせるとは何事なのか。




「師匠。味見しました?」

「してないわ」

「しましょうよ!!!」




これも驚き。

日頃、全く料理を作っていないのに、味見もせずに出すとは……


鈴仙は、皿を永琳の前に出して。




「味見しましょう」

「……どうして?」

「料理は味見してなんぼですよ!」

「そ、そうなの?」




鈴仙の勢いに押され、永琳がたじろぐ。

どこからか用意したスプーンで、ジェルを掬うと、永琳の口元へと運んでいった。




「あの……」

「さあ。早く食べてみてください!さあさあさあ!」




永琳は思った。この子は、こんなにも突っ走る子なんだと。

そして、自分の性格的には、このようにされたら断りづらいということを。




「じゃあ……」




目の前にある、自分の料理を




「……(パク)」




おずおずと永琳は、口に含んだ。













「あ。てゐ。ちょっと」

「何ウサ?」




楽冶を抱っこしている鈴仙に、恨めしい視線を向けながらも、てゐは返事をした。




「師匠が呼んでたわよ?」

「またウサか……まさかまた罠があったりとか」

「今楽冶さんがこの状態だから、それはないわよ」

「それもそうウサね」




納得したてゐは、永琳の部屋へと歩いていった。

鈴仙は、そのまま自室の隣の部屋へ。


布団を敷き、楽冶を寝かせる。

一回部屋を出ると、タオルと桶に水を入れて戻ってきた。


タオルを水に浸して搾り、楽冶の額に乗せる。




「ふふ。可愛いなあ」




今は、顔色がよく、鈴仙は楽冶の頬を突っ突いたりしていた。

偶に、額の上のタオルを冷やしたり、桶の水を替えたりを繰り返す。

その内に、冒頭に戻り、楽冶の表情が優れなくなってくる。




「どうしよう。やっぱり薬が違ったのかな……」




こういう時の薬は、どれが一番いいのか。それを一生懸命考える。

先ほど、食べ物系には万能な薬を飲ませたが、よく考えると、食べ物が悪かったわけではなく、料理が悪かっただけである。


それに思い当たった鈴仙は、立ち上がり




「じゃあ、あれかなあ……」




楽冶の為に、てゐが頑張っているであろう、永琳の部屋へと向かうのだった。


新参ホイホイと言われていた鈴仙√に、ご案内でーす。

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