簡単に帰れませんでした
ネタがないぃぃぃ〜!
あばばばばば
自室に帰ると、楽冶と呼ばれた男は何やら薬品を見ていた。
「何してるのかしら」
声を掛けると、ハッとこちらに気付き……
何故かゆっくりと布団に戻り、寝息をたて始めた。
「…………」
「zzz」
「起きなさい!」
「いてっ!」
今度は力の加減をして、軽く頭を叩いた。
その結果。男は少し悲鳴を上げた後に起きてくれた。
「何すんだよ……」
「いや、変な事したのはあなたでしょう」
「そうだけどさ」
「……自覚があるならやめてもらえない?」
「だが断る!」
堂々と断ってくる男に、少しムカついたので、拳を見せて
「もう一回やりましょうか?」
「いや。勘弁してください。本当すいません」
すんなりと謝った。
トラウマとは怖いものである。
医学的にいうと、トラウマとは色々な説があるが……長くなるので割愛しておく。
それより男に聞きたい事があるから。
「とりあえず。名前は楽冶でいいのかしら?」
「何故知っている」
「てゐに聞いたのよ。つまり合ってるわね?」
「ああ」
「どうして気絶したの?」
「てゐと滅茶苦茶凝った罠作ってたら、木から落ちた」
何とも らしい 回答だった。
それにしても、てゐと悪戯ねえ。あれ?てゐと悪戯?
何か聞いた事があるような気がする。
確かウドンゲが……
「もしかして、いつもてゐと一緒に、鈴仙を罠に嵌めてる……」
「ああ。そればっかやってるな。てゐ曰く「鈴仙しかいない!」って言ってた」
「やっぱりね」
そう言うと私は、メスを取り出した。
「ちょ!待て!早まるな!」
「いつもいつも鈴仙を……」
「待て!俺はちゃんとフォローしてるし、やりすぎてないから!」
「泣いてたわ」
「それはてゐだ!俺は泣かせないぞ!絶対!」
「本当に?」
「マジ!大マジだ!」
楽冶の必死の形相を見て、さすがにやめてあげた。
まあ。ここまで言うのだからそうなのだろう。後で、てゐにお仕置きをしなければならないが。
「そういえば、俺の症状は何だったんだ?」
「軽い脳震盪よ。安静にしてれば問題ないわ」
「そうか。てゐに心配かけたな」
「泣きかけてたわ。後で会いに行きなさい」
「あいよ」
話してみて思うが、確かに話しやすい人物だった。
それに、てゐとは性格が合いそうで、私もあまり嫌いではない。
「まあ、明日には退院できるでしょう。それまでゆっくりして行きなさい」
「おお。サンキュ」
そう言うと、楽冶は部屋から出て行った。
「残念だけど。折れてるわね」
「マジか」
「嘘を言っても意味がないわ」
あの後、てゐに飛びつかれたときに、右腕が痛かったらしい。
先ほどは気絶の原因しか調べてなかったので、一応身体を診察してみたら、右腕が見事に折れていた。
「うあー。右腕はヤバイな」
「入院する?」
「え?ここって入院できるの?」
「できないわ。けど、てゐが何て言うか分からないから。それにあなたは一人暮らしでしょう?さすがにきついと思うのだけれど」
「う……できるならお願いしたいが……」
「決定ね」
楽冶は入院することとなった。
もちろんてゐもあるが、私も、もう少し話してみたかったから、好都合といえば好都合である。
……楽冶は、私の友達になるのだろうか。
やはりそれを少し思いながら、手続きなどを済ませていった。
「後でここのメンバーを紹介するから。喧嘩しないようにね」
「了解。何人いるんだ?」
「私含め四人ね。二人は兎だけど。というより兎なら大量にいるけれど」
「兎そんなにいんの?まあその中の二匹とは知り合いなわけだが……そして一人は初対面か。どんな人だ?」
「お嬢様よ」
「えー」
何故か不満そうな声が返ってきた。
「どうしたのよ」
「お嬢様は結構我侭だからな。紅い館のとか」
「そうなの?あまりそういう風には見えないけど」
「まあ、普通は見えないようにしてるからな」
意外だ。カリスマという点では、ここのお嬢様より、全然あると思うのだが。
まあ、知る人ぞ知る というやつだろう。
「とりあえず、寝室の確保とかはこっちでするから」
「おお。悪いな」
「ご飯になったら、イナバか鈴仙が呼びに行くと思うから。場所が分からなかったら聞きなさい」
「イナバ?」
「さっき言った他多数の兎の事よ。まとめてイナバ」
「あ。そう。了解」
「あとは……まあ腕の骨折だから。基本的に自由にして構わないけれど、無理はしないように」
「大丈夫だ」
色々言ったが、楽冶も大体理解してくれたようなので、出て行くことにした。
まずは輝夜のところに行って色々確認しなければならないから。
「その後はどうしようかしら」
と色々考えながら。
永琳は本人にはウドンゲ、いない所では鈴仙と呼ぶらしい。




