私達は友達がいない
えーりんえーりん
助けてえーりん
小さい楽冶が誕生すると、誰が楽冶を独占するかが問題になるのだが、今回は大した問題にならなかった。
なぜなら
「私が薬作りましたから」
と永琳が主張し、それに勝てる言葉が、他の者には見つからなかったからである。
それでホクホク顔で、自室に楽冶を連れて帰った永琳はどうしたのかというと。
「まあ、まずはこれよね」
そう言って取り出したのは……永琳の来ている服を、今の楽冶サイズにしたものだった。
所謂お揃いというものである。
「はい楽冶。これに着替えて?」
「どうして?」
「これに着替えないと、ここでは怒られちゃうのよ」
「う……分かった」
しぶしぶ返事をした楽冶だが、この反応から察するにあまり着たくないのだろう。非常に哀れだ。
そして、やっとここで、前話の冒頭部分に戻るのである。長い道のりであった。
「永琳お姉さん。これでいいの?」
「…………」
振り向いた先には楽冶がいた。
私と同じ服を着て。それだけで何か嬉しいのは、やはり楽冶だからだろう。
とりあえず、私と同じ、赤青が上下逆になっている服を着ている楽冶は、可愛らしかったので
「ぎゅうううう」
「わわっ!何するの永琳お姉さん!」
「楽冶可愛い!」
普段なら絶対に言わないであろう、効果音を口で言ってまで、抱きしめてしまった。
思い出すと恥ずかしいが、楽冶が可愛いので仕方がない。
このままもう少し、抱きついていたいので、そうする事にした。
「お師匠!楽冶を助けて!」
「……誰よそれは」
「私の……えと。友達だよ!」
てゐが連れてきたのは人間の男。
しかし珍しい。てゐが友達だと主張する者がいるとは。
まずてゐに、友達がいたのは初耳だ。
「失礼だね。私にも友達くらいいるよ」
「あら?他にもいるの?」
「えーと……いないかな?」
「ほらみなさい」
こんな所に住んでて、しかも悪戯ばかりしているんだから、友達なんかいる訳ないのに、変な事言うからだ。
だがてゐは気に食わなかったようで
「お師匠は?」
「え?」
「お師匠は……友達いるの?」
「…………」
てゐはそれだけ言うと……逃げ出した。
……友達。友達ねえ。
私の友達は
「いないわよ!」
「そうなのか?」
「きゃああああああ!!!」
ゴッ!
「ガフッ!」
いきなり後ろから男の声が聞こえたので、恥ずかしいくらいの悲鳴をあげてしまった。
ただ、勢い余って、裏拳を叩き込んでしまったが。
後ろを見ると、先ほどの男が(私の所為で)気絶していた。
……しょうがないから診察しましょう。
「てゐの……友達ねえ」
パッと見ではあまり興味が湧かなかったが、その部分に興味があったので、目が覚めたら色々聞いてみるのも面白いかもしれない。
そう思って、診察を開始した。
「ただの脳震盪ね」
「そうなの?よかったぁ……」
「目が覚めたら呼んであげるから、ゆっくりしてなさい」
診察の結果、てゐが運んできた時も、私の一撃でも、脳震盪であることが判明した。
特に後者で、大事に至らなくて何よりである。
そしてさらに、てゐがここまで心配する男に興味が湧いた。
目が覚めたら、てゐを呼ぶより先に少し話してみよう。何か面白い性格なのかもしれない。
「じゃあ私は部屋に戻るわ」
「分かったウサ」
てゐはまだソワソワしていた。
……気になる。
それにしても、言われて思った 友達 というもの。
私は欲しいのだろうか。いや、最初の会話で答えはでている。
私も一人ぐらい欲しいんだろうと。
「そういう年頃なのかしら」
柄にもない事を言って、私は自室へと帰った。
ネタなさすぎて吐きそう
よし、チルノ描いて和もう




