う…詐欺だ!
予想を裏切る。
それが私クオリティ
一人の男性に、幼女が抱きついたまま眠っている。
男性の名は楽冶。幼女の名はてゐである。
二人とも気持ちよさそうに眠っているが、その安眠を妨害するかのように、朝日が差し込んでくる。
少しずつ、部屋を照らす日光の量が多くなり、ついにてゐの顔に差しかかった。
「う……」
視界が眩しくなったためか、てゐは少し身じろぎをした。
できるだけ、太陽の光から逃げようとするてゐだが、容赦なく照り付けてくる日光に勝てず
「ん~。ふぁ?」
瞼を開いてしまった。
瞼を開くと、目の前のものが見えてくる。
そして今日、てゐが一番最初に見たものは……
「……あれ?」
何故か肌色だった。
さらに耳に風が当たって、こそばゆいので上を見上げると
「え?」
そこには、楽冶の顔があった。
おかしい。昨日寝たときは小さかったのに。とか、思う事は色々あるが、一番大きかったのはもちろん。
「ウサアアアアアア!!!」
元に戻っている楽冶が裸で、それに抱きついているということだった。
「うおお!?何だ!どうした!」
「なっ!ななななな!何で!?」
「何がだ!」
「お!起きちゃダメ!」
「ごふっ!」
てゐの悲鳴を耳元で聞いて、驚いた楽冶が飛び起きる。
だがそれは、楽冶が裸であると分かっていたてゐにより、阻止された。
「いってえ……何するんだよ!」
「自分!自分を見て!」
「は?自分?」
てゐに指摘されて、
「俺がどうしたんだよ……」
と呟きながら、自分を見てみる楽冶。
「は?」
「と!とりあえず!着替え持ってくるから!
さすがに裸を見るのに耐え切れなかったのか、てゐは凄いスピードで部屋からでていった。
「どういう状況だ?これ……」
よく分かっていない楽冶を放置して。
「で。どういう事なんだ?」
「……ウサ」
てゐの持ってきた服に着替えた楽冶は、どうしてこのような状況なのかを、問いただしていた。
「どこまで覚えてるウサ?」
「どこも覚えてないウサ」
「ふざけてるウサ?」
「そんなことないウサ」
「「…………」」
「ウサアアア!」
「落ち着け」
珍しく、真面目に聞いたてゐだったが、珍しくも何ともなく、楽冶はふざけていた。
自分から聞いたのに、このような答え方をするのは、さすが楽冶といったところであろうか。
「で……実際はどこまでなの?」
「真面目に答えて欲しいか?」
「うん」
「しょうがねえなー」
しょうがなくないよ!
と。言おうと思ったてゐであったが、言ったら絶対に楽冶はふざけるので、必死にこらえた。
何故か部屋を支配しているのは沈黙で、中々楽冶は喋らない。
そのせいでてゐは、どの程度覚えているのか考える暇ができた。だが結局自分で答えを出しても意味がないのでもう一回催促しようかと、てゐが思った刹那
「全部だ」
楽冶が喋った。
だが、てゐは頭の中では、その答えを予想していなかっため
「は?」
と言うしかなかった。
「だから全部だって」
「……全部って、あの全部?」
「全部は全部だ。他に意味はないだろう」
「そっか。そうだよね……」
「うむ」
「…………え?」
二人で納得したのも束の間、てゐの動きが止まる。
そこで思い出されるのは、昨日二人でやったことだった。
三人が気絶したのはいい。てゐに関係がないのだから。
筍掘り、食事、色々な雑談。
これらも特に問題はない。
だが問題なのは、その後からである。
「お風呂……」
「え?」
「お風呂……も?」
そう。お風呂である。
二人で一緒に入ったのだ。それも布切れ一枚身につけず。
この年齢でも恋する乙女。
てゐには気がかりで仕方がなかった。声には 忘れていて欲しい という感情が篭っているのが分かる。
だが楽冶は……このような時には正直だった。
「ああ……」
「…………」
「もちろんだ!」
この答えを聞いて恥ずかしかったのか、てゐは
「ウサ……ウサ……」
と呟きながら歩きまわるという、不安定な状態に陥っていた。
楽冶もそれに気付き、さすがに悪いと思ったのかフォローを入れる。
「てゐ」
「ウサ……ウサ?」
「その……なんつーか……可愛かったぞ?」
「っ!……ウ……ウサ……」
だが、女心に鈍感で、全く理解していない楽冶に、今のてゐのフォローなどできるハズもなく……
「楽冶の……ウサアアアアア!!!」
完全にてゐは我を失い、楽冶に思いっきり突進したのだった。
兎詐欺が詐欺られました




