先手必勝とはこんなもの
てゐ見たいな長生きだけど幼女体形はロリというのか。
この疑問に正解はない
永遠亭の居間では、八つの目が睨み合っていた。
もちろんそれは、永遠亭の主要メンバーの四人である。
てゐと一緒に帰ってきた楽冶は、筍を掘っていたせいで、全身泥だらけだった。ここで始まるのは
楽冶と一緒にお風呂に入るのは誰か
という非常に簡単なものであった。
「やはりここは、家主である私と一緒に入るべきだわ」
一応ここの第一権力者である輝夜が、強引に楽冶と一緒に入ろうとする。
「いいえ。姫様にもこれは譲れません。ここのメンバーでは私が一番母性があると思います。私と入るべきです」
永遠亭で、最もふくよかな身体をもつであろう永琳が、少し胸を強調しながら言う。
「いくらお二人といえど、私だって引く気はないです!永遠亭の家事をしている私なら、一番上手くいくハズです!」
さらに鈴仙は、日頃色々な家事をしているため、こういうのは得意だと主張する。
だがてゐは
「(うわあ。私……何もないよ)」
この状況でてゐには、権力もふくよかな身体も、家事スキルも何も無かった
。
いつもは色々としてもらい、楽なてゐであるが、この時ばかりは己を恨んだ。
「(もっと……色々やっておけばよかったかなぁ……)」
先ほど、先手を打つのに成功したから、大いに利用しよう。などと思っておいて、いきなりこれとは情けない。
三人が言い合いをしている間。何か打開策がないかと、いつも悪戯に使っている頭をフル回転させた。
「(うーん……どうにかして三人を納得させる方法ねえ……)」
口で説得するのは無理だろうし、実力行使も不可能。
だが、てゐのずる賢い頭は、すぐに最善手を導き出した。
「じゃあこうするウサ」
三人が一斉にてゐの方を向く。
「楽冶に決めさせればいいウサよ」
間違いなくこれは、何かを企んでいる言い方だった。
「てゐお姉ちゃんとがいい!」
結局てゐ以外の三人は、これ以上にいい案が思い浮かばず、楽冶が決めるならそれに従おう。
ということで治まり、先ほどまで部屋の外で遊んでいた楽冶に聞くと。このような答えが返ってきた。
「ウッサッサッサッサ」
「てゐ。あなた……」
「約束は約束ウサよ?」
「そうね……」
「うう……くやしい」
この方法では、てゐの勝率が一番高かった。
その理由は、楽冶が小さくなり、前の記憶が無くなってから、一番長く一緒に行動したのが、てゐだからである。
永琳は、楽冶に感謝こそされたものの、その場で倒れてしまったので、楽冶にとってそれはマイナスであろう。
だが(可愛くなった)楽冶に倒れず、一緒に外で遊び、色々な事を教え、最後には手を繋いで帰ってきたのだ。
このことから、自分に一番懐いていると踏んだてゐは 楽冶に決めさせる という案をとり、見事成功させたのである。
「てゐお姉ちゃん!早くお風呂はいろー?」
「そうだね。いこうか」
近寄ってきた楽冶の手を取った瞬間に、空気が変わる。
だがてゐは、それをものともせずに進み襖を開けて
ニヤリ
と。閉める瞬間に、したり顔をして襖を閉めた。
「「「…………」」」」
その笑いを見た三人は
「「「・・・・・・く!くやしいいいい!」」」
声自体は違うけれど、同じ感情を込めた言葉を叫ぶのだった。
「ほら。染みるから目を瞑って」
「う?」
「そうそう。泡が流れるまでは開けちゃダメだよ?」
「(コクッ)」
小さい子には難しい、頭洗いをてゐが楽冶にやってやる。
その泡を流す際にも注意を忘れず、完璧に楽冶の姉となっていた。
「うう~」
「まだ開けちゃダメ!目に泡が入ると痛いよ?」
「じゃあ……我慢する」
「楽冶はいい子だねぇ。じゃあ最後の一回流すよ」
普通に見れば、微笑ましい姉弟のような感じだが、覗きに来た他のメンバーからすると、てゐが何を考えているのか分からず怖いものがあった。
だがそれ以上に
「「「(うらやましい……)」」」
ただ単に小さい楽冶を見たかっただけでもあるが。
「ほら。まだ拭いてないから」
「えー」
「風邪ひくよ?風邪ひいたら外で遊べないよ?」
「う……分かった」
まだ幼い楽冶の体をてゐが拭いていく。
楽冶の体を拭き終わり、服を着せてから、てゐは服を着だした。
「楽冶。大丈夫?眠たくないかい?」
「ちょっと……眠い……かも」
この会話は残り三人のところまで、届いていた。
もちろんその三人は
「(私が一緒に寝る)!」
と思っているが。
だがてゐは、それを見透かしているように
「じゃあもう寝ようか。一緒に」
「うん……そうする」
楽冶と一緒に寝床へと向かってしまった。
「「「…………」」」
残った三人は、沈黙するしかなかった。
てゐの策略はさすがです。
子ども楽冶をどのようにするか・・・




