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東方楽々記  作者: COPPE
第四章 竹林の奥の怪しい建物。つまり永遠亭
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暖かくなってきました

春ですよ〜

春ですよ〜

春ですよ〜



最近は寒さも和らぎ、暖かくなってきた。

その証拠が、この前三人に貰った花といえるだろう。


窓際に綺麗に三種類の花が咲いている。

そういえば、この花には意味があるって言ってたが、何なんだろうか。

未だにそれは謎のままで、答えがいつでるのか分からない。




「ん~。眠い……」




暖かくなってきたせいで、日向にいると眠くなる。


本当に寝てしまおうかな……




「春ですよ~。春ですよ~」




この季節にしか聞けない声がする。

窓の外を見ると、白い服に白い帽子。春の妖精ことリリー・ホワイトがこちらを見ていた。




「よう。リリー。一年ぶりだな」

「春ですよ~」

「そうだな。もう春だな」

「春ですよ~」

「……おりゃ」




スコン




「いたっ!何するんですか!」

「いや。普通に喋れよ」

「私が 春ですよ~ しか言えないと思ってる人多いんですよ?」

「かまわん。喋れ」

「何て横暴!」




リリーとの交流は多くはない。

それはもちろん、リリーが春にしか現れないからであるが……


こうして繋がりがあるのは、昔のことだが、リリーがさっきのように窓から「春ですよ~」と言ってきたので、興味を持った俺が招きいれたのが始まりだ。

そこで結構話が弾んでしまい、リリーは毎年ここに春を呼びかけに来る。




「それで楽冶さん。いつものが欲しいです」

「あー。あれな……この前買ってきた」




そして持ってきたのは桜餅。




「わあい!頂きます!……ハグハグ」

「相変わらず早いな……」




春の妖精だからか、こういう春のお菓子が好きらしい。

もちろんタダではなく、俺は今の周りの情報を教えてもらっている。




「リリーよ」

「んぐっ。おいしいー!」

「リリー!」

「はいっ!何ですか?」

「毎年恒例のあれを教えてくれ」

「ああはい。情報ですね」




何故リリーに聞くのかというと、リリーは春を伝えるため、幻想郷各地を周っている。

だが、ここの家には停滞するため(あと桜餅を食べるため)最後に来るらしい。


だからリリーに今の状況を聞くのが手っ取り早いのだ。




「ええとですね。霧の湖が静かでした」




まあ。あいつはここにいるからな。




「紅魔館は門番が居眠りしている、変わらない日常でした」




美鈴。またか……




「白玉楼では、誰かが「家計がー!」って言ってました」




頑張れ妖夢。そして幽々子。少しは勘弁してやれ。




「そういえば竹林には筍が生えてきてました。春ですねえ」




何か最後だけ違う情報だな……春が好きなのは分かるが。




「成る程」

「このくらいでよろしいですか?」

「ああ。さんきゅ」

「それでは今年はこの辺でお暇しましょう」




難しい言葉知ってるな。基本妖精はバカなんだが……




「大妖精さんに教えてもらいました」




ああ。成る程な。さすが大ちゃん。

……あの子も妖精だけど。




「それでは」

「おいおい……そんな口で外に出るなよ」

「むぐっ」



リリーの口の周りについていた、桜餅のベトベトを拭きとってやる。

まったく毎年同じことしてるな。



「……ありがとうございます」

「ああ。じゃあ来年も。と言わずにいつでも待ってるからな」

「それは無理ですよ。春以外は寝てるんで……それでは今度こそお暇しますね。また来年~」




リリーは別れの言葉を言うと、窓から飛び立っていった。




春ですよ~




まだ言うか……










ふむ。リリーから貰った情報から考えると……




「筍だな……」




金欠なんで。

できるだけ食費を抑えたい。




「という訳で。筍掘ってくるわ」

「いってらっしゃい」




幽香に伝えると、簡単に許可がでた。




「だってお金ないんでしょ?」

「まあその通りだ」

「この家で働いてるのはいないんだから、しっかり取ってきて頂戴」

「……あいよ」




打算的な考えが含まれていたらしい。

けど確かに、そろそろ働かないヤバいよな……


……とりあえず筍掘りながら考えるか。


そう思い、倉庫からくわと籠を引っ張り出して、竹林へと向かった。




まあ竹林自体はすぐそこなんだけどな……


さあ、やっと竹林だ!


春でよかった…

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