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東方楽々記  作者: COPPE
第三章 帰っても休まる場所がない
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大切なものと約束事

瞼の侵略速度がハンパないです。




40万PV達成です!

本当にありがとうございます!



気がついたら私の前は赤かった。


私のものではない。先ほど追い出した楽冶のものでもない。




これは妖怪の血だ。














私が楽冶の言葉について、何故こんなにも動揺してしまっているのか。

それを考えている間に、時間は過ぎていった。


どれくらいたっただろうか?半刻?一刻?

分からないが意外と時間は経っていた。


我に返ると、周りが少し見え始める。

そして聞こえた。花の声。




(ハヤク……キテ!ユウカ!)




私が考えている間に何があったのか。

花たちが私を呼んでいる。


急いでドアを開くと、丁度爆発音のような音がした。


向日葵畑をみると、全体の十分の一程が無くなっていた。

また音が聞こえる。

そっちを見ると、妖怪が二匹。そして人間が一人。




「楽冶!?」

「おお。幽香か。待ちくたびれたぞ?」




楽冶は傷だらけだった。

この妖怪がやったのかニヤニヤ笑っている。




「悪いな幽香。向日葵畑。当たっちまった」

「確かにそれは許しがたいわ」

「そこは労えよ!痛かったんだぞ!?」




こちらの答えに、結構大声で返してくる楽冶。

結構心配していたのだが、これだけの大声を出せれば大丈夫だろう。




「誰がやったのかしら?」

「見りゃ分かるだろ……」

「あいつら?」

「そうそう。話を聞いた限りお前に恨みがあるらしいぞ?」

「私に?」




何かコイツらにしただろうか。

全く記憶が無い。




「風見幽香……」

「何?」

「あの時はよくもやってくれたなあ?」

「あの時?」




交互に喋るのはやめてくれないだろうか。

非常に分かりづらい。




「あの時だ!森でやってくれただろう!」

「森には結構行くから分からないわ」

「ごにち前くらいだ!」

「ああ……あれかしら?」

「多分それだ!」




絶対私が何を考えているか、分かってないだろうが……

まあ妖怪というものは、頭が弱いのが多いから仕方が無いかもしれない。


それにしても ごにち って……五日いつかでしょう。




「その時のおかえしに来てやったぜ!」

「仕返しな。幽香。何したんだ?詳しくは聞いてないんだ」

「ちょっと懲らしめただけよ……覚えてないけど」

「あれのどこがちょっと!?」




妖怪が何か言っているが気にしない。

少し腕をもいだりはした気はするが。




「それで?私に喧嘩を売りにきたのかしら?」

「ふ。俺じゃお前には勝てない。誰がそんな無謀なことするかよ」




威張って言うことか。

呆れながら次の言葉を待つ。




「だから態々ここに来た!」

「何しによ……」

「ここにはお前の大切な花があるだろう?」

「っ!」




そういうことか。

花を大事にしている私からすれば、それだけで確かに大きな仕返しだ。




「だがそこの人間が中々どいてくれなくてな。花にはまだあれだけしか当たってない」

「……楽冶」

「いやだって。あれお前さんの大事なモンだろ?」

「そうだけど……」




自分が傷ついてまで、守ってくれているとは思わなかった。

しかもまだ会ったばかりのような相手に。


私が考え事をしてる間に、ここまでさせてしまって申し訳なく思う。

そして




「お前の目の前で花を消せるとはな!」




目の前にいる妖怪に




「いっくぜえええ!」




滅茶苦茶ムカついた。














「幽香さんや」

「何?」

「これは やりすぎ というものではないかね」

「そう?」




少し強めの力で、おもいっきり殴っただけだが。




「いや相当でかかったよな?出力」

「全然本気じゃないわよ?」

「……大妖怪こわ」




楽冶が何か言っている。

それはどうでもいいが、お礼は言っておかなければならないだろう。




「楽冶。お礼を言っとくわ。ありがとう」

「いや。大したことじゃない。花も守れなかったしな……」

「人間が一人で、妖怪二匹からあれだけ守れたら上等よ」

「それはありがたい。それでだな……」

「どうしたの?」

「何か出てくるの遅かったな。結構音してたと思うんだが……」




私は固まった。笑顔のまま。




「どうした?」

「…………」

「おーい」




何とか声を絞り出す。




「……考え事をしてたのよ」

「そうか。内容は……聞かないほうがよさそうだな」




内容は~ の所で下を向いてしまった。

多分楽冶は、私が怒ったと思っているだろうが。実際は、その内容を思い出してしまって、顔が熱いだけだ。




「じゃあ今日はもう帰るかな」

「……ダメよ」

「は?」

「あの花の部分。掃除するわよ」




とりあえず楽冶を帰したくないので、引き止める。




「さっき帰れって投げ飛ばしたじゃねえか……」

「何のこと?」

「おい」

「いいから。やるわよ」

「……イエッサー」




顔面を掴むと、便利な事にいい返事が聞ける。

これからは多用することにしよう。




「まあ……手当てくらいはするわよ」

「え?」

「手当てくらいはするから!手伝いなさい!」

「そうか。ありがとな」

「私のせいだから仕方ないでしょ!」



少し、恥ずかしかった。












そして最後に約束事が




「そういえば……」

「何?」

「あいつら。前何したか思い出せたか?」

「確か……私の前でタンポポを踏んだのよ」

「……それで腕はやりすぎじゃね?」

「そう?」

「今後こんなことが無いように、できるだけ自重しろよ?」

「しょうがないわねえ……」

「……しょうがなくないからな?」












それから楽冶の約束を、私は律儀に守っている。

そんな性格じゃなかったはずなのだが……


まあ、それで向日葵畑が荒らされなくなったのでよしとしよう。


そろそろ料理ができる頃合か。いい匂いがしてきた。




「楽冶。ご飯はもうできるのかしら?」

「おー。もうすぐだ」




楽冶からの返事に満足し、もう少しだけ待つ事にする。




「……こき使ってやろうかしら?」




こんなに私を待たせたのだから当然だ。


これから楽冶に、何をさせるか考えつつ、美味しそうな匂いのする料理を待つのだった。


幽香さん過去話終了!


始まりはシリアスな感じでしたが、実はおもいっきり妖怪を殴っただけww




それでは次も頑張ります

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