山への侵入者
また1年以上お待たせしてしまいました。申し訳ありません。
なのにこの短さ……重ねてお詫び申し上げます。
東方紅楼夢。台風で行けなくなり残念です。
今回から椛の過去話になります。久しぶりで拙い文章となりましたが、よろしくお願いします。
私の名前は犬走椛。誰かさんにネタにされたり、色々な方に間違われたりしますが……白狼天狗です。犬ではありません!狼です!
失礼。少し熱くなってしまいました。これも特に楽冶さんが、私をからかっているからです。
無駄に人脈の広い楽冶さんが少し何かを言えば、それは瞬く間に幻想郷中に広まります。いえ、もしかしたら天界や地獄界や魔界や霊界にまで、私が犬だという誤情報が広まってしまうかもしれません。
ですがまぁ……お手とかお座りはアレですけど、頭をなでるのだけなら……その、別にいいですけど。いやほら犬扱いというわけではないですし?他の方もやって貰ってるようですし?別に断る理由もありませんし?
こほん。私が犬かどうかという話は置いておいて(狼ですが)、少し昔の話をさせて貰いましょうか。
それは忘れもしません。何故なら今と同じように、紅葉の綺麗な秋の日だったからです。
その日もいつものように、山の哨戒をしていました。毎日同じことの繰り返しですが、これが仕事なので仕方がありません。
それに私は、何だかんだとこの仕事が気に入っているのです。
日頃色々言っているため堅物だと思われている私ですが、別にそんなことはないと自分では思っています。
仕事をサボったりすることはありませんが、山に生っている木の実や果物など、特に忙しくなければ食べたりもできるからです。
……そんなにいっぱいは食べてませんよ?
基本的に妖怪の山の哨戒は暇です。妖怪の山と名付けられただけあって、山の中は妖怪だらけ。人間は滅多に訪れませんし、知能の低い妖怪は本能的に危ないと感じているのか、踏み入れることはありません。
そう。滅多に訪れることはないのですが……
「そこの人間!止まりなさい!」
よりによって何故私が当番の日に……正直言うだけでは下山してくれない人もいるので、あまり侵入者に会いたくないというのが本音です。
山に入ってきた人間を追い出すのには理由があります。それは妖怪の山に住んでいる妖怪たちには、仲間意識がある。いえ、仲間意識が非常に高いということです。その為、余所者は追い返す。という風潮になっているのです。
特に私たち天狗はテリトリーを汚されるのを嫌い、(山の妖怪が人間を殺すことによって均衡が崩れるのを嫌う。というのもありますが)少しでも進入してきた者には出て行ってもらうのです。
そして侵入者を見つけ、追い出すことが私たち白狼天狗の使命なのです。
と言ってもさっき思ったとおり、素直に下山してくれるかは別なのですが……
「……犬?」
「狼です!私は白狼天狗です!白い狼と書いて白狼です!」
「分かった分かった。すまんかった」
一人で歩いていた男は、私を一目見るなり失礼なことを言ってきた。私には白くてピンとした耳と、立派な尻尾があるのです。
「……犬じゃね?」
「怒りますよ?」
「分かった!狼だな!うん!」
二回目はさすがにイラッとしたのでちょっと怒り気味に言ってみたが、結構効果はあったらしい。
焦ったように訂正する男を見て、そろそろ役目を果たそうかと近づいていく。どれだけ近づいても妖力や霊力がまったく感じられないことから、完全な人間だと分かった。
「それで、その狼さんがどうしたんだ?」
「いや、狼ですけど……いえ、それよりもですね。ここから先は人間は侵入禁止です。危ないですから」
とりあえずやんわりと注意してみましょう。これで引いてくれれば楽なのですが……というか狼ですけど、狼さんはちょっと違和感があるからやめてほしいです。
「……文のやつから聞いてないか?」
「文さんですか?」
この天狗社会で文といえば、大体が射命丸文さんのことだ。というより、私は他に文という天狗を知らない。
「その文というのは……」
「射命丸文だが」
ああ。やっぱり……あの人は何で私たちに言ってくれないのか。
文さんはたまにこういう事をする。自分の知り合いを山に招待する時「私の名前を出せば大丈夫です」と言うらしいのだが、それを私たち白狼天狗に伝えるのを忘れがちなのだ。
その為に結局確認を取らねばならず、私たちも文さんの客人も手間取ることになる。今回も恐らくそうだろう。
「あの、非常に申し訳ないのですが……文さん本人に確認しないと許可ができないのです」
「え?本当に聞いてないのか?」
「はい。文さんはこのようなことが結構多くて……」
男は呆れたような表情をしているが、私も同じようなものだろう。
だって「やれやれまたか」と思っているのだから。
「すみませんが確認してきますので、お名前を伺ってもよろしいですか?」
「ああ。楽冶だ」
「楽冶さんですね。少しお待ちください」
私は近くにいる白狼天狗を呼び、その名前の確認に向かわせた。何故私が行かないのかというと一応の見張りのためである。
「文のやつは山でも性格は変わらないんだな」
「そうですね……私からすれば山から下りた時も変わらないんだなって感じですけど」
「それは……すまん。名前を教えてもらっていいか?」
そういえば名前を聞いたものの、私の名前を教えていなかった。いや、普通は名前なんて教えない。それはこのような状況になった時に話すことなど殆どないからだ。
山への侵入者は基本的に攻撃的すぎます。特に有名な人間の二人とか。
「はい。椛です。犬走椛といいます」
「ああ。文がよく話してるのってお前か」
「ええっ!?文さんに話されてるって不安しかないんですけど!」
絶対にロクでもないことを言ってるに決まってます!
椛はうるさいとか、椛は細かいとか、椛は犬だ……とか!つまり楽冶さんからの評価はマイナスからのスタートということですね!
「いや、何だかんだ色々やってくれてるーって」
「本当ですか?」
「だから使い勝手が最高だって」
「殴ります」
盾で。思いっきり。頭を。
「……冗だ「椛さん。確認が取れました。確かに楽冶さんは文さんの名前で許可がでてます」」
「分かりました。では行きましょうか楽冶さん。文さんの所に」
多分この時の私はいい笑顔だったと、自分でも思います。
正直今までの話のフラグがどうなってるのか分からなくなってます……
そしていつも通り何も考えておりません。どうやって椛をデレさせればいいんだ……
椛最初から敬語にしました。犬耳はある派です。




