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東方楽々記  作者: COPPE
第八章 妖怪の山を登ってみた
222/223

断固として狼です!

タイトル通りにあの子が登場


久しぶりにPCに向かったら意外とぱっぱ書けました。最初からしろよ……



「王手」



手元からピシッという音が響き、俺はにとりに宣言する。俺の成金がにとりの王将を狙っている。それも三枚。いくら王といえども、この布陣からは逃れられない。

……つまり



「……参りました」

「だから言っただろ?十三手で詰みだって」

「もしかしたらって思ったんだよ!」



負けだと分かっているのに続け、結局負けたら立って地団駄を踏むにとり。落ちそうで落ちない帽子。相変わらず中身が気になるな。



「これで俺の二連勝だぞ。どうする?」

「もう一回!」



そう言うとにとりは、胡座をかいて駒の整理を始めた。

……将棋を連続してやると疲れるから、あんまりやりたくないんだがな。まあ、あと一回だけ付き合ったら山登りに戻ろうかね。目的は忘れてないからな?てきとーに山登ろうと思っただけだけど。


「ほら!楽冶も並べる!」

「ったく。そんなに慌てるなよ」

「負けた側の気持ちも考えてよね!」

「いやだって……」


こういうので負けたことないし。と言ったら、のびーるアームでぶん殴られそうだな。うん。ここは大人しくしておこう。


……さて、三回戦目開始だな。















十分後。にとりが腕組みをして考えている。まだ詰みの段階まではいっていないが、すでに俺有利な状況だ。と言ってもまあ、これぐらいなら凄い一手を打てば徐々に逆転できないわけでもない。俺にもどこに打たれたらそんな手になるか分からないけど。


ビーッ!ビーッ!



「おおう!?」

「誰!?」



急に鳴った大きな音にびっくりしたが、どうやら監視カメラに怪しい影が映ったらしい。音が鳴ってからこちらに来る気配がないので、逃げたのかもしれないが確認するに越したことはないだろう。



「楽冶。行ってきてよ」

「俺かよ!お前が行けよ!」

「男でしょ?」

「妖怪だろ!」



もしかしてにとりは怖いのか?だがいくら妖怪の山といっても、人語が喋れる河童よりも強い妖怪なんてそんなにいないはずだが……実は天敵がいたりするのか?



「いまちょっと考えてるから」

「侵入者は!?」

「楽冶が追い払えばいいでしょ?」

「俺はそんなに「びっくりしたじゃないですか!もう!」……ん?」



この声は……と思って振り向くと、見つけました。白い忠犬こと犬走椛。



「私は犬じゃありません!狼です!白狼天狗の犬走椛です!」



入口の方から自己主張しながら歩いてくるのは犬走椛いぬばしりもみじ。種族は白狼天狗。その為か髪は毛並の綺麗な白。その頭には天狗族が皆乗せている頭襟(赤色)。上半身はこれまた白狼天狗だからか、白い巫女服のような物を着て、下半身は黒いスカートだが裾に赤い模様がついている。右手には根元に赤い紅葉の描かれた剣。そして左手には赤く大きい紅葉の描かれた盾。

因みに自分が言っていたように狼なので、頭の上には頭襟の横に白い獣耳がぴょこっと飛び出している。これがまたピコピコ動くと可愛い。もちろん尻尾も。



「ちょ、ちょっと!最後の説明はやめてくださいよ……じゃなかった。急に大きな音が鳴ってびっくりしたんですけど、一体何なんですか?」

「にとりの作った監視カメラが反応しただけだ。気にするな」

「何かまた発明したようですね……」



椛は溜め息をついているが、恐らく雛と同じでにとりの実験で何回か酷い目にあっているのだろう。俺の場合は工具投げつけられるか、のびーるアームかだが。レンチは死ぬぞ?



「あはは……ところで将棋をやっていたんでしょう?どうですか?」

「乾いた笑いはやめろ……今はにとりの番だ。今のところ俺が優勢ってとこだな」



つか遊びで時間制限ないからって、にとりのやつ考えすぎだろ。椛が喋ってからは逆に一言も喋ってないぞ?



「普通の将棋だと短くないですか?時間」

「逆に天狗の将棋は俺からすると長すぎるんだよ。ちょっとルールも複雑だし」



白狼天狗のやつら、普通の将棋だと時間が短すぎるからといって「天狗大将棋」とかいう独自の駒とルールを追加した将棋をしている。俺も少しだけやったことはあるが……正直普通の将棋で十分だ。まあ、それは俺が人間だからかもしれないが。やっぱり長く生きれると、そういうのも長い方がいいのかね?



「これでどうだ!」



椛と話していると、にとりが大声とともに駒を打つ。ピシッという音が「これでどうだ!」の顔に非常によく似合っている。それにしても長かったな。



「……ん?」

「……あれ?」



やっと駒の動いた将棋盤を見ると、後ろから覗いていた椛と一緒に声がでた。



「詰みじゃね?」

「詰みですね」



今度は律儀に答えてくれた。にとりが「え?」と声を出すが、パッと見の椛が言うんだから間違いない。数手先での詰みはもう決まっているだろう。試合終了である。

もう一回と言われるのは面倒なので、何故詰みになるのかは宿題にすることにしよう。



「んで、椛は何の用だ?俺に耳の付け根を撫でられにきたのか?」

「違いますよ!楽冶さんが山に侵入して騒動になるよりも、私が迎えに来た方が楽だと思いまして」



ああ。確かに顔パスできる天狗とできない天狗がいるもんな。俺の顏を知らない奴と、取り敢えず人間は見下してくる奴。前者はまだしも後者は文とか椛に連絡すら取ってくれないから困る。

それにしても、よく俺が妖怪の山を登ろうとしてるって分かったな。ストーカーか?



「いえ。楽冶さんの家がなくなったって聞いてから、ずっと千里眼で監視してただけですよ」

「ストーカーじゃねえか!」

「冗談です。本当は哨戒してたら偶然見つけたので、さっきの考えもあって追ってきただけです」



千里先まで見通す程度の能力なんて持ってるんだから、そういう冗談はやめろ!誰がどう聞いても本当だと思うぞ絶対。なあ、にとり。



「……これがこうで、えーと次が」



あ、真面目に宿題してるな。うん。いいことだな。けどちょっとは話を聞いてくれると嬉しかったな……よし癒されよう。



「(さわさわ)」

「ちょっと!違うって言ったじゃないですか!耳の付けっ……やめ!ちょっ!はうう~……」

「お手」

「(スッ)」

「よーしよしよし。いい子いい子」

「えへへへへ……って!もう!だから犬じゃないですってば!」



いや完全に犬だったぞ?狼の凛々しさというか、何というか。狼としての大事な部分がゴッソリ抜け落ちてたぞ?今の表情は。つかお手してるし。



「今のはちょっと……楽冶さんが癒しを求めてそうだったのでやってあげただけです」

「おお。それはありがとうな。よしよし」

「だ、だから犬じゃないです!やめてください!」



そんなに顔を赤くしてお前……耳も尻尾もピコピコ動いてるからな?ほら、皆さんが微笑ましい顔で見ているぞ?



「なっ!?」

「嘘だよ。俺しか見てないから心配するな」

「動いてません!」

「いや、そっちは本当だから。犬と似たようなもんなんだから気にするなって」

「ですから……もういいです。はあ」



そこは妥協するのかよ。

そういえば椛のおかげ?で、将棋をやめるきっかけにもなったし、そろそろ山登りを再開するか。だが、にとりの家にきて結構時間が経ってしまったから、もう時間的にもよくないか?登り始めてすぐ妖怪の時間なんてのも面倒だし。



「あ。それなら私の家に泊まりませんか?」

「いいのか?」

「勿論です!そっちの方が明日も迎えにこなくていいので。勝手に登られて騒動になるのも嫌ですし」



うん。何かすごい明日の騒動の芽を摘まれてるな。言っておくが、俺が自分から騒動の芽を出したとしても、水やって肥料やって成長させるのは他のやつらだからな?

といっても一日だけでも世話になるのだし、頭は撫でといてやろう。なでなで。



「あっ。もう……」

「何顔赤くしてんだ?お手」

「……(ガブッ)」



ちょ!?


椛は人間に対しても仲良くなれば敬語になる気がします。

恐らくこの椛は、文との仲は普通になる予定です。


東方紅楼夢行きます。

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