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東方楽々記  作者: COPPE
第八章 妖怪の山を登ってみた
215/223

秋の山に人間は向かう

……すいません!


としか言えない状況です。本当にすみません。


雛の過去話になります。

これだけ滞ると、自分が何を書いていたのか忘れてしまって大変な状況に……



楽冶は私の家にくると、毎回食事の用意を手伝ってくれる。

一人暮らしをしていた楽冶の家事の腕は、幻想郷内(一部)ではかなり有名だが今回は疲れているだろうと思って座っていて貰った。

やっぱり私だけが作った食事を食べて欲しいしね。

それでもやはり用意して貰って食べるだけというのに抵抗を感じるのか、盛りつけ用の食器は出して貰った。楽冶の性格上あそこで断っていたら後々に何かやりそうだし、まったく……優しい性格してるんだから。


そんな優しい男と出会ったのはいつだろう?初めて会った時から楽冶の見た目が変わっていないので、そんなに前ではないと思うが、やはり妖怪の山が紅く染まる季節……秋だったように思う。

やはり。というのは、人間が妖怪の山に来るのは秋しかないからだ。妖怪に見つからないように、そして天狗の領域に入らないギリギリの場所で木の実やキノコを採っている姿をみることができる。

私は人間の味方……という程ではないが、人間から厄を吸い取ることをしているが故に、あまり死んでもらいたくはないため立ち入らないように促すのだが、それでも入ってしまう人間は多くいるのだ。まあ私の場合、人間に近づきすぎると厄が移ってしまい、その人間が不幸になる為注意しづらいというのもあるのだが……

そう。つまり私はあまり人間によく思われていないのである。

流し雛の人形から生まれた私は、厄を集め人々に不幸が降りかからないようにする厄神だ。

ただそれだけならば人間にも受け入れて貰えただろうが、私の周りを厄が取り憑いているため、人間に直接会うと不幸にしてしまうのだ。それが人間に嫌われる原因となっている。


さて、それじゃあそろそろ回想に入るとしましょうか。












季節は秋。この時期にしか活動しない紅葉の神によってもたらされる紅い色で、妖怪の山全体が覆われている季節だ。

私は何か当てがある訳でもなく、フラフラと妖怪の山を歩いていた。いつもは部屋の中に篭っているのだが、久しぶりに外の空気を吸いたくなった。ただそれだけである。

この時期だから、どうせ人間が妖怪の山で必死に食糧を取ろうとしているんだろうな……そのような事を思ってしまったので、毎年のように人間に注意だけしに行くことにした。前の紅白白黒襲撃事件によって、無理矢理止めるのは面倒だということが分かったので、少し注意したら終わりにする予定だ。あまり近づきすぎて相手が不幸になっても困るし。

そう考えた私は人里のある方向へフラフラと飛んでいた。

すると一人で妖怪の山のほうへ歩いている人間がいるではないか。すでに妖怪の山まで徒歩五分というところまで来ているのに、まだ妖怪に襲われていないとは珍しいものだ。

とりあえず注意しておこう。



「ちょっと!そこの人間!」

「ん?」



気だるそうに振り返った男。どう見ても凄い力を持っているような雰囲気はなく、逆に妖怪にすぐ食べられそうな感じがする。



「この先の山は危険よ?妖怪がたくさんいるわ」

「ああ。知ってるぜ」

「じゃあ山菜でも取りに行くの?」

「それもあるんだが、そろそろ秋姉妹がいるんじゃないかと思ってな」



紅葉の神と豊穣の神だったかしら?神に知り合いがいる人間なんて珍しいわね。

確かにそろそろ現れる季節だと思うけれど……そんな簡単に見つかるものなのかしら?



「それは大丈夫だ。多分そろそろ待ち合わせ場所にいると思うし」

「そう?ならあまり止めないけど、気をつけなさいよ?」

「心配しなくても妖怪の山には入らないしな。大丈夫だろ」



そう言うと男は、先ほど見つけたときと変わらない速度で歩きだした。しかし少し歩いたと思ったらすぐに止まって振り向く。どうしたのだろうか。

男は私を少しだけ見つめると、笑って言った。



「ありがとな!」



……何が?

お礼を言われたのは別にかまわないのだけれど、そのお礼の意味が全く分からなかった。














この時間は私のくつろぎタイム。もう日が落ちる寸前の、空に黒い雲が目立ってくる頃。日が完全に沈む瞬間を眺めながらのティータイム。

テーブルと身体の三分の二程赤く染まりながら、今日もその時を待っていた。

紅茶の香りを楽しみながら五分十分。この季節になると日が沈むのが早くなってきて、少し余所見をしていたら見過ごしてしまいそうだった。

もう少し……窓から覗けば後一センチもない程に沈んだ頃、私の家の扉が叩かれる。



「もう誰よ……もう少しで沈むのに、タイミングが悪いわね」



ティータイムを邪魔された私は、少し悪態を吐きながらも玄関へと向かう。大丈夫。すぐに終わらせれば問題ない。そう考えながら相手に嫌そうな顔を見せないよう、少し顔を手で引っ張ってから顔をだす。



「はい。どちら様ですか……って昼間の人間じゃない」

「何だ。お前の家だったのか。悪いが今日泊めてくれないか?」



別に私は人間が嫌いではない。どちらかといえば好きな存在だ。だが、今日初めて会った相手に「泊めてくれ」というのは正直どうかと思う。というのが私の本音である。



「私は人間を嫌いじゃないし、むしろ好きだけど……いきなり泊めてくれっていうのはどうかと思うわ。それに紅葉と豊穣の神に会うんじゃなかったの?」



という訳で本音を言ってみた。まあ他にも「だからって断って食べられたりしたら嫌ね」とか「人里まで送るのは面倒ね」とか思っているが、さすがにそこまで言う必要はないだろう。



「うん。確かに。だが秋姉妹がまだいなかったから、お前を探していたんだよ」

「いるのか分かってないのね……だけどもう一つ問題があるのよ」



私の種別は厄神。人間の厄を吸い取るもの。そして私の周りに厄を溜めてしまうもの。つまり人間が私の近くにいると、私の周りの厄がその人間を不幸にしてしまう。

さっき述べたように、私は人間は好きだ。だから私のせいで人間を不幸にしたくはない。だけどこのまま帰してしまうと、私が断ったせいでこの人間が妖怪に食べられてしまうかもしれない。



「ん?それなら解決策があるぞ?」

「そうなの?」

「ああ。もし俺が厄のせいで倒れたら永遠亭に連れていってくれ」

「永遠亭?確か迷いの竹林にある病院みたいな所よね」



あそこは確かに「幻想郷最高の病院」と言われているが、いくらなんでも厄を消せたとは聞いたことがない。というか、薬で厄を消せるとは厄神の私からすると無理と思うのだが……



「いや、あそこには健康に気を付けすぎた兎がいてな。そいつの能力が『人間を幸運にする程度の能力』なんだよ。それなら何とかなるんじゃね?」

「それで何とかなるのか、逆に私が聞きたいわよ」

「じゃあ……もし俺が厄まみれになって超不幸な人間になったら、ここにずっと住まわせてくれよ」

「はあ!?」



なんで私がそこまで面倒みなきゃいけないのよ!私たちは今日会ったばかりだってこと理解してるの!?

いえ、落ちつくのよ私。確か迷いの竹林は人間があまり入りたがらないところ。その中の永遠亭に住んでいるであろう兎にすんなり頼めるってことは、幻想郷最高の病院である永遠亭の医師とも仲がいいはず……まずはそれを確かめてみましょう。



「じゃあ一つ聞くけど、その永遠亭の人たちとは仲がいいの?」

「まあいい方だと思うぞ。たまにお邪魔して遊ぶくらい」



それなら、いざとなったら永遠亭に押しつければいいか。この人間が私の体質を聞いてもかまわないって言うのだから、私には責任はないはず。まあお見舞いくらいには行ってあげてもいいけれど。



「分かったわ。今日は泊めてあげる」

「いいのか!ありがとな」

「いいわよ。もう暗くなったし、早く入りなさい。部屋が冷えてしまうわ」

「おー。お邪魔するぜ」



さて、今日の夕食は二人分になる訳か。

夕食を作る前にテーブルの上の物を片付けようと、先ほど座っていた席を見る。そこにあるのは、紅茶を淹れるためのティーポットと飲みかけの紅茶が入ったティーカップ……あ。


今日のくつろぎタイムは、日が沈む瞬間を見ることはできなかった。

何か悔しいから、色々と手伝ってもらおうかしら。


実は紅魔館TeaPartyの活動報告以外、殆ど覗けていなかったりしてます。

さらにそろそろ残業が始まってしまうかも。


できれば12月中にもう一話は投稿したいと思ってます。頑張ります!

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