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東方楽々記  作者: COPPE
第八章 妖怪の山を登ってみた
214/223

吸い取ってもらいました

ゆし。1ヶ月ぶりの投稿だ……ん?1ヶ月ぶり?1週間じゃなくて?


……すいません!今後はもう少しペース上げますので!



秋姉妹の家をでて、徒歩ってキツいよなー。とか思いながら山を登る。けど、このキツさがいいんだよ。ちゃんと登っているっていうのを実感できて。

妖怪の山は静葉のおかげなのか、赤と橙の素晴らしい紅葉を見ることができる。その綺麗さを目に焼きつけながらも、所々で熟れている木の実を食べていた。これぞ食欲の秋である。

因みに妖怪の山ではキノコを取ることもできる。それはもう、どこぞの魔法使いが実験に使う水玉模様の怪しいキノコではなく、人里などでも売られている絶品なキノコだ。さすがに生では食べれないから取らないけど。


特に当てがあるわけではないのでゆっくり登っていたのだが、さすがに夜の妖怪の山を徘徊するのはやめておきたい。会話が成り立たない程の知能しか持っていない妖怪に会ったりしたら、襲われるのは目に見えている。会話が成り立つ妖怪には文の名前をだせば、大体見逃してくれるんだけどな。あいつそこそこ有名らしいし。バカだけど。


さて、何回か来たことがあるといっても頻繁にきている訳ではないので、正確に自分がどこにいるのかを把握することができない。さすがに河童がいる池の辺りと頂上付近にある天狗の住処は分かるが、ここからでは意外と遠く、着く頃には夜になってしまうだろう。


……こうなったらあいつの所にお邪魔するか。














「(コンコン)おーい。入るぞー」

「許可する前から入ろうとしないでくれる?」



何の変哲もない木のドアの内側から声が聞こえてくる。確かに世論だが、魔理沙と比べるとだいぶマシなはず。そこ、人と比べたらいけないとか言わないでくれ。



「久しぶりのお客がきたと思ったらあなたなの?」

「何か不満か?あ。おもてなしよろしく」

「ふてぶてしいわね!」



ドアが開いたと同時に顔を覗かせたのは、エメラルドグリーンの髪を後ろからサイドにかけて赤いリボンで纏めている鍵山雛かぎやまひな。因みに頭の上にも同じようなリボンを結んだヘッドドレスを着けている。

言葉通り「何であなたなのよ」という感じの顔で睨んでくる雛だが、それは毎回なので気にしない。



「まあ、おもてなしはしないけどどうぞ……何?迷ったの?」

「ああ。妖怪の山なんて滅多に来ないしな」

「あなたなら顔広いんだから、天狗の一匹でも見つければ大丈夫でしょ?」



俺の顔が広いのは、文と仲が良くなってそのツテで椛とも話す間柄ってだけだ。一応もう一人ひきこもりがいるが……まだ携帯で念写してるのかねえ。

まあ、その文が天狗社会ではそこそこの階級にいるのに、俺が白狼天狗に絡まれた時などに(椛ではない)真っ先に飛んでくる為、いつの間にか顔パスできるようになってしまった。

また、会った天狗たちとは多少なりとも話をするので、雛の言うとおり案内くらいなら恐らく問題ないだろう。

だけどな……



「いなかったら無理だろ?」

「珍しいこともあるものね。人間が妖怪の山に入りこんだのに気付かないなんて」

「全員が全員真面目ってわけじゃないからな。居眠りしてるやつの横を通ったこともあるし」

「そうなの?私は見かけたことないけど……」



さすがにそんな頻繁には寝てないだろう。特に真面目な椛が見回りしてたりすると、一日中サボる暇がないと聞くしな。

さて、ここに来たのは結構久しぶりになるわけなのだが、特に変わった様子は見受けられない。一つだけ気付いたことといえば、前に来た時とカーテンの色が違うということぐらいだろうか。



「あ?気付いた?前のは暗めだったから、今度は明るめの緑にしてみたんだけど」

「いいんじゃないか?イメージカラーが明るくなって」

「どういう意味よ」

「そのまんまだ」



どう見ても雛のイメージカラーは暗い緑だからな。話してみると結構明るい性格だから、明るい緑でもいいと思うが。



「……それは置いといていいわ。それよりも気になったことがあるのよね」

「ん?何だ?」

「あなた……厄いわよ?」

「あー。うん。最近溜まってるような気がするからそうかもな」



そういえば雛のことを名前しか紹介していなかったな。少し遅れたが紹介しておこう。

鍵山雛は厄神である。厄神というのは厄を集め、周りの人間たちなどに不幸が降りかからないようにしてくれている素晴らしい神様である。

……あるのだが、雛の周りを厄が取り憑いている為、近くに寄るとどんな人間や妖怪でも不幸になってしまうらしい。さすが厄神。因みに人間が妖怪の山に入ろうとすると、危険だから入らないほうがいいと注意してくれる優しい方である。

ということは俺も離れないといけないな。



「夜の妖怪の山で野宿する気なら出ていって構わないわよ?」

「そういえば俺は関係なかったような気がするぜー」

「……追い出すわよ?」

「うん。ごめん。妖怪の山で野宿はさすがに怖いから許してくれ」



能力が関係しているのかは分からないが、俺は雛の近くにいても殆ど影響を受けることがない。だが本当に能力で受けないのなら、俺の身体に厄が溜まることもないはずなのだが……

若干楽にしてる程度なのか?

それはそうと最初に言っている通り、夜の妖怪の山は本当に危険なので人間が野宿するのは厳禁である。実際には人里以外は妖怪に襲われる可能性があるので危ないのだが、その中でも妖怪の山は特に危ないのだ。ここで雛に追い出されてしまえば、天狗か河童のいるところに着く前に何回食べられるか分かったものではない。



「それじゃあ厄を貰ってもいいかしら?」

「おう。どんどん持っていけ。俺には必要ないし」



むしろあったら困るし。これで最近殴られたり弾幕当てられたりしなくなればいいのだが……

まあ現実はそんなに甘くないだろうな。幻想郷にいるやつらに常識は通用しない。恐らく俺に厄が溜まっていようと溜まっていまいと、この身体の傷はなくならない気がする。



「あ。吸い終わった?」

「答えを聞く前には終わってたわ」

「早いなお前!」



何で俺の知り合いは人の話を聞かないんだ!?あれか?今まで人の話なんて聞いたことないですから。とでも言うのか?というか、俺って強制的に話進められることが多い気がする。



「まあ、ゆっくりしていっていいわよ。ご飯は食べたの?」

「いや、山の幸を少し摘んだだけだな」

「……妖怪の山でそんなことできる人間はあなたぐらいよ。いいわ。じゃあ今から夕食作るわね?」

「手伝おうか?」

「一応お客さんだから座ってなさい!」



あ。はい。

何か家事をしたくなってしまうのは、一人暮らしが長かったからなのか。それとも奴隷や執事や家政婦もどきをしていて、家事をやらされまくったからなのか……執事以外は情けない理由であることに変わりはない。家政婦もどきって幽香に逆らえなくて、ルーミアとチルノに火の扱いは危ないから教えられなかっただけだし。

……そろそろ新しい家を作らないといけないのかねえ。



「それで。今日はどうしたの?」



一つ向こうの部屋から包丁のリズミカルな音とともに、雛の声が聞こえてくる。



「俺の家が壊れたのは知ってるだろ?」

「あれだけ烏天狗が新聞撒いてたら嫌でも知ることになるわよ」

「でだ。家がなくなったから暇だった」

「……バカね」



うるせえ!どっちかというと、俺の家を壊したやつらがバカだろうが!あ。今言ったことは幽香とルーミアには言うなよ?約束してくれ。

大体家なんて、そんな簡単に建つ物じゃないんだ。ついさっき新しい家を作るべきかと思ったが、生憎とそんな金があるわけではない。というか無一文である。つまり萃香あたりに頼むしかないのかねえ……運がよければ妖怪の山にいると思うのだが、あいつは結構転々と移動するからな。



「大体写真見たけど、どうすればあんな無残な跡地になるのよ」

「ええとだな……大妖怪二人が暴れた」

「厄いわね」

「厄いな」



さっき雛に吸い取ってもらったし、これで多少なりとも生活がよくなるはず。さっき思ったように、段幕には当たるだろうが、とりあえず普通の家で普通に暮らせそうって感じだな。あ、妖怪が出入りする家って普通じゃないか……

というか、さすがにあの家放置してたら悪いよな?同じ場所に建ててもらって、その時に片付けもするか……



「そろそろできるわよー」

「お。早いな。皿ぐらいだすぞ」

「そう?それならお願いするわ」



色々考えている間にも時間はしっかり進んでいたようで、雛の手作りディナーが完成したようだ。今日は疲れたし、ゆっくりと休ませてもらうとしよう。


最近気付いたのだが、物凄いシリーズ最新版が雛だった。大穴だったね。


楽の楽冶と厄の雛って、何か相性いい気がする。


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