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東方楽々記  作者: COPPE
第一章 紅魔館での奴隷生活……とは言い難い
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それが楽しみだったから

美鈴の過去話2話目

こうして楽冶に好意を持った


朝起きてから楽冶さんのことが心配だった。

どうなったのだろうか……だがなぜか彼は死んでいないという安心感はあった。


朝食が終わって門番の仕事に行こうとするとお嬢様に



「今日男が一人で来たら通して頂戴」



と言われたので彼が生きていると確信できた。



基本的に門番の仕事は暇だ。

日が昇りポカポカしてくると眠くなってくる。


だけど寝てるのがバレたらナイフが飛んでくるから寝れない。

頑張って起きな…い……とzzz


グサッ!「あいた!」


「仕事しなさい」

「……すいません」




やはり眠気には勝てなかった。














「……きろ……ん」




声が聞こえる。

聞いたことのある男の人の声。




「めい…ん。起き……て」




誰だろうか。

昨日聞いた気がするが……




「起きんか!」

「ひゃあ!」




いきなり耳元で叫ばれて跳ね起きる。




「やっと起きたか美鈴……」

「あっ。楽冶さん」




楽冶さんだった。

また寝てしまったのか……咲夜さんに見つからなくてよかった。


日の傾き具合から結構時間が経っているようである。




「どうぞ。お嬢様から話は聞いてありますから」

「そうか。寝てたの話してもいいか?」

「ダ!ダメですよ!」

「職務怠慢」

「見逃してください!お願いですから!」




この人は間違いなくSだ……

そんなことはどうでもいいが。


内心そんな事を思いながらも、私が必死に許してもらおうとしていると




「まあ心配しなくても言わないがね」

「最初からそう言ってくださいよ!」

「 美鈴をからかうと楽しいから仕方ない」

「私は楽しくないですから!あと仕方なくないでしょう!」

「まあまあ。これやるから……」

「何ですかこれ?」




小さい水色の袋に丸い玉が入っている。




「飴だよ。知らないのか?」

「飴ってこんなのでした?もっと大きくて色んな形あって……」

「そりゃ飴細工だろ。今は逆にねえよ……」

「はあ。そうなんですか……どうやって食べるんですか?」

「袋開けるだけだ。因みにそれソーダ味」

「ソーダ味?」

「とにかく食え」




急かされたので袋を開けて食べてみる。

それにしてもソーダ味って……


食べると舌の上でシュワッ!という感覚とともに甘い味がする。

眠気が急になくなった。




「なんですかこれは!」

「まあそれがソーダ味だ。それしか説明のしようが無い」

「けどおいしいです」

「そうか。たくさん持ってきたからやるよ」

「いいんですか!」




楽冶さんが差し出した袋を奪うように取る。

なぜこの飴を持ってきたのか聞いたところ


「門番暇だろうから」


だそうだ。それで持ってくる理由はよく分からないが……というか門番を甘くみているんじゃ?まあこの館を訪れる人なんて殆どいないから、実際暇なんだけれど……


これで眠くても乗り切れそうなのでよしとする。










楽冶さんは毎日夕方ころに現れた。

結局ソーダ飴でも私は寝てしまったのでよく悪戯された……


逆に起きてた日は褒められた。

褒める際になでてくれるのが私は好きだった。


それで私は楽冶さんが来るころには起きていることが多かった。




「おお。今日も起きてるな……」

「当たり前です。門番ですから」

「今まで寝てただろう」

「誰かさんが悪戯するので」




私は茶目っ気たっぷりに答える。

楽冶さんは「誰だそいつは?」などと惚け私の頭をなでた。

そして私にお土産をくれる。


実は以前来たときにお嬢様に私の分を渡したらしい。

それを私が貰ってなかったので楽冶さんに言うと、私にも持ってきてくれるようになった。


楽冶さんのお土産と褒められるのが私の楽しみだった。










私は楽冶さんが館に入ってからは話すことができない。

聞いたところ妹様の相手をしているらしい。

そこに私が入るわけにもいかないし、帰り際に態々会いに行くのもどうかと思った。


そんな私と楽冶さんの別れは唐突だった。

ある日楽冶さんが来なかったので夕食時にお嬢様に言うと




「楽冶は……もう来ないわ」




と言われた。私になにも言わず彼はどこかに行ってしまった。

探すこともできるのだろうが、私は門番だからそれ以上は外出できない。


楽冶さんに会えなくなった日から私の心に穴が開いたようだった。













だが楽冶さんは先日ここに久しぶりに来た。

彼に頭をなでられた時はとても懐かしかった。


結局私は彼を奴隷として働かせることはできなかった。自分にそんなことは無理だと分かっていたから。

そんな時。楽冶さんは私のために休みをとってくれた。


一回目は失敗してしまったし無理だと分かっていてもここしかないと思った。


「明日は私に付き合ってください!」


自分でよく言えたものだと思う。

だがそれで彼は明日私に付き合ってくれるのだ。




「明日どうしようかな?」



明日のことを考えながら私は眠りに落ちた。


褒められたいから寝ない美鈴。

可愛らしいですなぁ…


誰かキャラをもっと可愛く書く方法を知らないかい?

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