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東方楽々記  作者: COPPE
第八章 妖怪の山を登ってみた
209/223

毎年一回目の楽しみ

ひー。仕事が忙しいです。


何とか二週間たたずに投稿。

画面見すぎて目が痛い



そして私たちはその後に、妖怪の山の秋を案内しにいったのよね。懐かしい思い出だわ。

あ。案内した時の説明はないけど、今日焼き芋を食べたら一緒に行くから安心してね。

実はその時にの色々あって……まさかドングリがあんなに美味しくなるなんて。って、別に食べ物に釣られたわけじゃないのよ?私も姉さんも。

やっぱりというか何というか、私たちって一応神だからさ……人間に知られてしまったりすると、気遣うような態度を取られてしまうのよね。それが嫌なわけではないけど、心がこもってないっていうか……

私も姉さんもそれだけで嬉しかったのよ。私たちを神だと分かっても、何も変わらずに真っすぐな態度で接してくれる。まあ、少し捻くれているところはあるけど……それも含めて真っすぐなんだ。神に嘘をついたり、冗談を言う人間なんていないしね。

楽冶は毎年のように焼き芋があると呼んで、私たちは一緒に焼き芋を食べていた。「毎年呼べばすぐに行く」と言ったからなのだが、もちろん楽冶の声が大きいとしても遠くにいたら聞こえる訳がない。だからこのくらいの季節になると、私たち二人はこのサツマイモ畑の近くをうろついているのだ。いつ呼ばれてもいいように。


サツマイモが旬の間に何回訪れるとかは決まってないけど、最初の一回は一年間待った分か、とても美味しく感じる。それを毎年毎年楽しみにしていたのに、今年は嘘だったから少し怒っちゃった。二回目以降ならそんなに怒らないんだけど……一年間あったんだから最初くらいはすぐに食べたいのよね。これは本当に一回楽冶の焼き芋を食べてみれば分かると思うわ。私たちが焼き芋が大好きすぎるってことも、否定はしないけどね。



「で。穣子」

「何?姉さん」

「全然私のこと言ってなくない?二人のことは多いけど」

「え?だって殆ど二人一緒じゃない」

「そうなんだけど……まあいいわ」



あ、危ない危ない。姉さんに怒られるところだったわ……怒られる前に楽冶にバトンタッチしておこうっと。















うーん。これは小さいし、これは焼き芋にするには大きすぎる。帰ってから他の料理に使うしかないな。あー。また小さい……おっ!これはいい感じの大きさだ。



「これは……って。お前ら少しは手伝えよ!」



芋掘り大会が開催されたと思ったら、参加者一人、傍観者二人。というとても寂しい結果となった。そもそも参加者一人だったら大会にもならない。

いくら焼き芋が食べたいからって、全く手伝わないのは酷すぎるだろ……



「あ。今まで一回目は焼き芋を作ってくれてたから知らないのね」

「実は私たち、一回目だけは手伝えないのよ」

「え?そんなのあんのか?」



それは初耳だ。だが確かに、今年以外は毎年最初の一回目は俺が一人で芋を掘り、焼いている途中に姉妹揃って呼んでたからな。何かあるにしても、聞いたことがない。



「私たちって秋の神でしょ?まあ私は豊穣を司ってるわけじゃないけど」

「穣らせてくれてありがとう。って意味でお供えするでしょ?あれをしてくれないと手伝うのは無理なのよね」

「……いやいや。理解はしたが、これは手伝いじゃないだろ」

「「…………」」



お前らな!それっぽいこと言って誤魔化しただけだろ!

だがもう諦めるしかないだろうな。今回は嘘を吐いた俺に否があるわけだし。まあいつもならそんなに気にしないけど、ずっとこのままだったら困るし。俺の食糧なくなったら困るし!



「じゃあせめて焼き芋作るための落ち葉集めてくれないか?そっちのほうが早く焼き芋できるから」

「分かったわ」

「任しといて!」



よしよし。これで少しは楽に……あれ?こっちのほうが手伝いっぽくね?食材じゃないからいいのか?


とりあえず俺はそれなりのサツマイモを掘りだした後、大中小の大きさに分けておく。焼き芋にするのは中くらいのがいい。そもそも焼き芋を作るには芋の大きさが重要なのだ。大きいのは火が通らないし、小さいのはすぐに通りすぎて美味しくない。

さて。これくらいでいいかな。それじゃあそろそろ……お。丁度帰ってきたな。



「って。多いわ!」

「えー。だって私、落葉も司ってるし……何か気が付いたらこんな量だったのよね」

「だから私はこれだけにしたよ!」



いや、それでも多いし。つか静葉の持ってやれよ。葉っぱだからそんなに重くはないんだろうけど、自分の身長の二倍はありそうな量の落葉だぞ?あっ!待て!足元に俺が分けて置いてる大きい芋が!



「きゃうっ!」



見事にコケた。



「静葉!大丈夫か?」

「姉さん大丈夫?」

「う、うん。落葉がクッションになったから……」



何それ。よかったけど何言っていいか分かんない感じなんだけど。

取りあえず汚れが気になるし、手を差し伸べておこうか。



「ほら。服が汚れるから立てよ」

「あ、ありがとう」

「あー!」

「何だ?」

「……いや、何でもない」



ん?本当にいいのか?穣子のやつ。結構焦ってる感じがしたけどな。

そんな風に感じたが、追及するより先に、立たせた静葉の服の汚れとかを落としてやる。赤い上着とロングスカートには、落葉のほかにも土汚れがたくさん付いていた。



「全く。せっかく似合ってるんだから汚すなよ」

「え。あ、うん……って!上の方はしなくていいから!」



あ。そうか。静葉は女性だしな。そもそも俺がはたかないほうがよかったのか。

まあ、あまり気にしている様子はないし、本人が言った通り上は自分でやっているから問題ないだろう。


そういえば派手にコケてしまったのだから、顔にも汚れが付いているんではないか?そう思って静葉の顔を見てみると、思ったとおり頬に土が少し付いている。見えないだろうから、ポケットに入っているハンカチで拭いてやるか。



「んっ……何よ」

「いや、土が付いてたから」

「……そのハンカチ寄こしなさい。洗って返すから」

「いや、気にしなくていいぞ?俺が勝手にやったことだし」

「いいから!そのくらいさせなさいってば!」



俺の手から、少しだけ土の付いたハンカチは強引に奪い取られていった。おお。俺の唯一のハンカチよ……ちゃんと洗ってるからな?


そういえば穣子が全く話さないな。一体どうし(ポカッ)いてっ!



「いきなり何しやがる!」

「早く焼き芋してよ。折角二人で落葉拾って来たんだから」

「ああ……それもそうだな。さっさと始めるか」

「ふんっだ!姉さんも楽冶も私の事なんて忘れてたんでしょうに」



どうやら構って貰えなかったのが嫌だったようである。穣子に構わなかったというか、静葉に構う内容が多すぎただけのような気がするが、そこは気にしてはいけないのだ。穣子の機嫌を直す一番手っ取り早い方法は、秋の食材を使った料理を食べさせることである。もちろん一番いいのは焼き芋。




「それでは今から焼き芋を始めまーす!」

「はーい!」

「…………」

「えー。今、返事のなかった穣子さんの分はありませーん」

「はい!はい!はーい!私もいまーす!」



まだ少し機嫌が悪かったのでからかってみたのだが、予想以上の効果だった。本気で思うが、どんだけ焼き芋好きなんだよ……


よし。まあとりあえず……秋の神様にお供え物をしますかね。


無理矢理現在に戻すパターン。


COPPEは秋を楽しみにしています。

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