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東方楽々記  作者: COPPE
第八章 妖怪の山を登ってみた
203/223

200万PV達成記念小説〜あまり知られてない館〜②

最近遅れ気味だ……申し訳ないです。

今回はメルラン主体。


三姉妹の人気よ上がれっ!



頭から服にまでかかってしまったホットミルクをシャワーで洗い流し、風呂からあがる。時折シャワーがカタカタと動き出すポルターガイスト的な現象があったが、ここは廃洋館なので特に気にすることもなかった。

さて、問題は着替えであった。早く洗って乾かさないといけないが、外は未だに強い雨が降っているため部屋干しということになる。俺の服は責任をもってメルランが洗濯し、また体型の都合としてメルランが極偶に着ているという、ブカブカのTシャツを貸して貰った。まあそれでも俺の身体にピッタリってサイズなんだけどな。パンツとズボンは汚れてなかったのでそのまま着用する。



「えへへ……楽冶ごめんね?」



完全に拭きとれていなかった髪に残った水気を念入りに拭いていたところ、俺が着替え終わるのを待っていたらしく、扉を少しだけ開いたメルランが顔を覗かせていた。



「全く。いつも気を付けて行動しろって言ってるだろ?」

「だってえ……二人ともズルイんだもん」

「何が?」

「えっ。あっ!何でもない!何でもないから!」



何が恥ずかしかったのか分からないが、白い肌に分かりやすい程の朱色を受かべて、メルランはバタバタと走っていった。

突然のことに少しの間ぼーっとしていたが、メルランだしそういうこともあるかと思いすぐに行動を再開する。

あいつらがいるのは恐らく、先ほどのホールではないだろう。さっきはリリカがホットミルクを持ってきてくれたためあそこで話したが、本来お茶をする部屋は別にあるのだ。

二階の奥の部屋。そこに向かって歩き出す。歩いている最中に再度ポルターガイスト的な現象(物が揺れたりとか)が起きるが、この館ではこれも日常茶飯事なので華麗にスルー。そもそもこんなので驚いていたら、幻想郷に住むことがまず無理だしな。

窓の外の雨はまだ強い。その景色を見ながら歩を進めていくと、いつの間にかその部屋へと到着していた。

紅魔館ほど大きい館ではないので扉も目を見張る程大きいわけではないが、やはりそれでも普通の家よりは大きい。上は俺の二倍で、横は俺五人分ぐらいだ。体系は普通だと考えてくれ。

その扉を押しながら少しずつ開いていく。



「ただいまー」

「おかえり」

「おかえりー」



俺の挨拶に答えてくれたのは、落ちついた声と少し気ダルそうな声。これも性格の偏見があるからだろうか。と最初は思ったが、本当にそんな感じなので俺の感性は間違っていないはず。

そしていつもならこれに明るい声が混ざっているハズなんだが、ハッピーなやつはどうしたのだろうか。



「…………」

「姉さんならソファの後ろに隠れてるよ」



無言のままのルナサに対し、ニヤリ顔で告げるリリカ。さすが狡猾。だがルナサ、無言でも目線はしっかりとソファの後ろを見ていた。それじゃ意味がないぞ。

しかし一向にメルランがでてくる気配がない。何か意地でもでてきたくない理由があるのだろうか。



「楽冶ー。早くこっちきて姉さんに声かけてあげてよ」

「え?何で俺が?」

「早く」



何かルナサに言われると逆らえないんだけど……そう思いながらソファに近づくとリリカに

「大丈夫。私もそうだから」と耳うちされた。うーん。大人しい子が怒ったら怖いっていうのが作用しているんだろう。

そのままソファの裏側を覗くと、両手で耳を塞いだメルランを発見。そりゃ今までの会話が聞こえるわけないよな。目もキツく閉じているので、俺が傍にいることも気付いていないようだ。

先ほどから変わらず無表情とニヤリ顔の二人を見て、仕方がないのでメルランの正面に回ってしゃがみ込んだ。どうせ声を掛けても先ほどと同じで聞こえないだろうから、メルランの耳を塞いでいる両手を外すことにする。



「メルラン。大丈夫か?」



しっかりと両手を掴んで外し、声を掛ける。いきなりのことに驚いたのか、メルランはこちらを見て固まった。あー。ちょっと距離が近かったな。恐らく二十センチくらいしかないかも。

そんなことを思った途端、メルランの顔が急激に赤くなった。



「きゃあうっ!」



それと同時に立ち上がろうとしたメルランは、勢いあまって頭をソファーに激突。しかも裏側の一番上の部分の硬いところ。あれは痛い。そしてそのまま両手で後頭部を押さえて悶えだす。



「お。おい。大丈夫か?」



何とか暴れるメルランを押さえて少し頭を触るとコブができていた。これはさすがにヤバいと思い、ルナサに冷やしたタオルをお願いする。こういう時リリカに頼むとロクでもないことが起こるような気がするし。

といってもリリカも心配そうに声を掛けているし、やはりこういう時は心配なのだろうか。



「はい。タオル」

「おう。ありがとな」



ルナサからタオルを受け取ると、激突した衝撃で押しつぶされたような形になった帽子を取り、メルランの手をどけて冷やしたタオルを当てた。



「あうぅ」

「ほら。自分で押さえとけ。何てドジしてんだ全く……」

「えへへ……あ。楽冶が押さえてくれない?」

「何でだよ……」

「ケガした乙女をほっとけないのが楽冶でしょ?」

「……ポルターガイストが何言ってんだ」



とか言ったものの、そう言われたらやってしまうのが俺である。あー。俺って何か変なとこ甘いよな。

しかし押さえ始めてから突き刺さる視線。いや、この館には二人しかいないよな……

振り返って声を掛けようとする。しかし、俺よりもメルランのほうが少しだけ行動が早かった。



「そう言いつつ押さえてくれる楽冶が大好き!」

「おわっ!急に飛びかかってくるな!本当は痛くないんじゃねえか?」

「痛い痛い。だから押さえてて!」

「いいから下りろ!」



ホットミルク事件の時ほどではないにしろ、飛び着いてきたメルランに対応できなかった俺は押し倒される形となった。そのまま頬ずりをしてくるメルランだが、あまり周りが見えていないようで、視線のことなど気にならないようだ。あれですか?躁病の気ってやつですか?



「私はハッピー!あなたもハッピー?」

「ハッピーだ。だから下りろって!」

「むう。ハッピーなら下りなくていいじゃない」

「下りてくれたほうが俺としてはハッピーなんだが……」

「……楽冶」



俺とメルランのやりとりを今まで静観していた二人だが、ついにルナサから声が掛けられた。何の感情もこもっていないような声で呼ばれた俺は、身体が硬直する。メルランも何か感じたのか、急に動きを止めて静かになった。



「……最低」



そう言うと、ルナサは部屋からでていった。リリカも「楽冶のバカ!」と言って部屋からでていく。残されたのは俺とメルランの二人だけとなってしまった。



「あちゃー。ルナ姉怒らせちゃった」

「え?怒らせたのは俺だろ?」

「私なのよ。けど八つ当たりとか思わないでね?」

「そりゃいいんだが……リリカは?」

「あの子はすでに頭なでて貰ってるからいいのよ。じゃあちょっとルナ姉と話してくるから。リリカよろしくね」



そしてメルランもでていく。よく分かっていないが、俺はリリカを連れ戻すしかなさそうだ。恐らく自室だろうから、とりあえずそこに行ってみるとするか。















「(どうしようどうしようどうしよう……楽冶に最低って言っちゃった)」



自分の部屋で落ち込んでいる金髪の少女が一人



「ルナ姉入るよー!」



そこに入ってきたのは薄い青色の髪の少女。



「メルラン……(プイッ)」

「そんなに怒らないでよ……次はルナ姉の番なんだから」

「分かってるけど……楽冶に最低って……」

「それは大丈夫よ!ちゃんと説明しといたから!」



メルランと呼ばれた少女の言葉に、俯いていた金髪の少女。ルナサが顔を上げる。



「本当に?」

「本当よ。でもちょっとヘコんでたかも」

「うっ……」

「だからー。次。頑張ってよ?」

「……そうね。頑張る」



その言葉を最後に、二人は部屋からでていった。


ルナサは絶対こうなる気がする……

やっべルナサの展開どうしよう……考えてないぞ。

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