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東方楽々記  作者: COPPE
第八章 妖怪の山を登ってみた
202/223

200万PV達成記念小説〜あまり知られてない館〜①

幻想郷に存在するもう一つの館。

一応季節合わせだけはしっかりとやりました。今後少し関係するのかは不明。


そこ!期待はずれとか言わない!



季節は梅雨。雨粒が地面に当たるザーという音と、香霖堂で入手したビニール傘に当たるバチバチという音が今日の雨の強さを教えてくれる。今日の雨はかなり強い。その中を俺は、ある館に向かって歩いていた。霧の湖の前を通ると、数えきれないぐらいの波紋が浮かんでいる。チルノは大ちゃんの家にでも雨宿りしているのかな。と、少しだけ思った。

さらに進むと、雨と霧で見えなかった紅い館が見える。吸血鬼姉妹が住んでいる紅魔館である。他にも人間や魔女が住んでいるが、従者と親友なので戦闘が行われるということはない。因みにいつもは(寝ている)門番がいるが、今日は雨の為か姿を確認することはできない。この館にも用があって来たことは何回もあるが、今回訪れる館はここではなかった。

紅魔館を通りすぎ、すぐ横の草むらへと入っていく。濡れた草の当たった肌が少し痒くなるのを感じるが、それは無視して歩を進めていった。

草むらに入って約十分。もう一つの大きな館を発見する。だが紅魔館と違い豪華ではなく、むしろ蔓が巻きついているなど少し廃れた感じだ。だがまあそれも仕方がない。



「入るぞー」



この館の名前は廃洋館なんだしな。















入った途端に音楽が聞こえてくる。洋館なので靴は脱がず、土足で館の中を進んでいく。廊下を進めば進むほど音は大きくなり、廊下を抜けたホールではかなりの大きさになった。ホールの何もない空間に、ヴァイオリン、トランペット、キーボードの三つが浮いている。どうやらあいつらは、このホールで練習しているようだ。

俺は最初にキーボードに近づいていき、恐らくここだろうという場所に手をだした。



「よっ。ルナサ」



そう声をかけた。すると、徐々に目の間に一人の少女の姿が映し出されていく。金髪のショートボブ。同じく金色の瞳。白いシャツの上にベストを着用し、ベストと同じ黒い巻スカートを穿いていた。頭の上には赤い三日月の飾りが頂点に付けられた、円錐状で返しの付いた黒い帽子をかぶっている。少女の名前はルナサ・プリズムリバー。プリズムリバー三姉妹の長女で、種族は騒霊。



「……どうして分かったの?」

「さあ?何となくだな。因みにトランペットはいつも通りメルランで、ヴァイオリンがリリカだろ?」



ルナサの肩に置かれていた手を外しながら言うと、その二人の姿も徐々に見え始めた。



「相変わらずね。本当、何で分かるの?」



次に聞いてきたのはメルラン・プリズムリバー。三姉妹の次女だ。髪はウェーブのかかった薄い青色で、瞳の色も青い。シャツの色は薄い桃色。ベストとスカートはシャツより少しだけ濃い薄桃色。スカートはルナサと違いフレアスカートだが、似たような服装である。頭の上にはこれまたルナサと同じような帽子だが、色は服装と同じ薄桃色で、頂点の飾りは青い太陽だ。



「ちぇー。今回は騙せると思ったのに」



何か不安なことを言っている少女はリリカ・プリズムリバー。三姉妹の末っ子。銀色のような髪に、薄茶色の瞳。白のシャツと赤いベスト、そして赤いキュロット。頭の上には緑の星の付いた、姉たちと同じ形の赤い帽子。そしていつものように胸元を第一ボタンまで開けている。まあ……結局は三姉妹似たような服装なんだがな。

因みにこの三姉妹。三人とも性格が全然違い、ルナサは暗い、メルランは明るい、リリカは狡猾。



「なんていうかな?似せようとしてるのが分かるんだよな」

「ええっ!?私たちが聴いても偶に外しちゃうくらい分からないのに?」

「今回は三人で絶対大丈夫だって確認したのに……」



そんなこと言われてもな……分かるものは分かるんだ。仕方がないだろう。

気が付けばさっきまでいたルナサがいない。また姿を隠したのか?



「楽冶。タオル」

「おおうっ!びっくりしたー!」



いきなり耳元から声をかけられて驚く。そりゃそうだよ。いないと思ってたら実は後ろにいたんだもの。しかも本当に耳元だったし。背伸びしてまで近づかないでいいと思うぞ?

ルナサが差し出しているタオルで髪を拭こうと思い、受け取ろうとする……しかし



「(スッ)…………」

「ん?」

「(スッ)…………」

「ちょっ」

「(スッ)…………」



何故か全力で逃げるタオル。いや、ルナサが取らせまいとしてるだけだが。持ってきてくれたのはありがたいが、そのタオルを受け取らせてもらえないって何だ?待てって事か?……犬か俺は。



「そこに座って」



そう言って指差したのは椅子。タネも仕掛けも何もない椅子……本当にないよな?狡猾なリリカがいるため少し不安だが、ルナサは生真面目だし大丈夫だろ。そう思いながら椅子に座る……うん。何もない。


だが結局タオルを受け取ることはできず、ルナサは後ろに回った。そしてそれから、やっとタオルが使用される。つまりだな……ルナサが俺の髪を拭いてくれてる訳だよ。こう。わしゃわしゃと。何か恥ずかしいな。



「どう?」

「どうって……まあ、気持ちいいぞ」

「そう。よかった」



そこで会話が終わり、平和な時間が訪れる。しかし、ここにはルナサの他に二人の妹がいることを忘れてはならない。特にこのような状況では……



「ルナ姉ずるい!私もする!」

「あっ」



騒がしい次女、メルランがルナサに突撃。タオルをルナサから奪い取り、俺の髪を拭く……何かガシガシ拭いてるな。痛いぞ。



「どう?どう?」

「うん。ルナサに戻してくれ」

「酷いっ!」

「返しなさい」

「ああっ!」



タオルで拭いてくれる力が元に戻ったことで、俺はまた気持ちのいい空間へと戻っていく。メルランには申し訳ないが、少し拭き方が雑すぎだ。禿げる。

(恐らく)ルナサが睨みを利かせたのだろう。椅子の後ろから横へと、悔しそうな表情でメルランが戻ってきた。そういえば今度はリリカの姿が見当たらない。もしかしたら何か悪だくみでもしているのか?



「そんな訳ないでしょ」

「お前も急だな!驚かせるのが流行ってるのか?」

「私たちポルターガイストだし。それよりはい」



そう言って差し出された白いコップ。その中にはこれまた湯気の立つ白い液体。



「……石灰?」

「何でそう思うのよ!ホットミルクよホットミルク!」

「いやー、すまんすまん。お前の性格を考えたら……いや、何でもない。ありがとな」

「わ、分かればいいのよ!……んっ」



日頃感謝されるようなことをしてないせいか、強がるリリカの頭をなでてやる。すると少しだけ気持ちよさそうな声を上げた後に



「(ニヤリ)」



と笑った。あれ?もしかして本当に石灰?とか思うものの、少し飲んだ時に間違いなくホットミルクの味だったし、そんなことはないハズ……だよな?

後味も特に変わりはない。じゃあ今の黒い笑顔は俺の思いすごしか?そう考えた途端に、今まで飽きることなく、俺の髪やら首やらを拭いてくれていたルナサの力が強くなった。そう。それは爪を立てているような……



「いでででで!ルナサ!爪立ってるぞ!?」

「…………」



俺の抵抗も虚しく、ルナサは爪を立てたままガリガリと俺の頭を拭き続ける。俺の手が頭に置かれたままのリリカの顔が、さらにニヤニヤしているような気がした。何という策士……リリカに文句の一つどころではなく、三つぐらい言ってやろうかと考えていた時だ。



「そうだっ!」

「だからビックリさせんなよ!いきなり大声を上げやがって!」

「ルナ姉が髪を拭いてあげてて、リリカはホットミルクを持ってきた。つまり私は私でいいのよ!」



何言ってるんだこいつ……そう思ったのは俺だけではないらしく、目の前のリリカを見ても、やっと拭くのをやめてくれたルナサをわざわざのけ反って見ても、俺と同じであろう顔をしていた。

しかし当のメルラン。そんなものはおかまいなしである。



「いくよ楽冶ー!」

「えっ?何……おいやめ!」



俺に飛びついてきたメルラン。俺が何も持っていなかったら、特に言うことはなかった。だが今の俺は、リリカの持ってきてくれた「アツアツの」ホットミルクを持っていることを忘れてはならない。

案の定



「あっちいいい!!!」

「ああ!?ごめん楽冶!」



俺の顔にホットミルクがひっくり返ったのだった。


何故プリズムリバー三姉妹なのかって?


私が好きだから。ただそれだけ。

あと、人気キャラ投票で順位が低いので支援したかった。三人とも要る子だよ!


よし。今後三姉妹の絵を描いてみよう。下手なりに。

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