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東方楽々記  作者: COPPE
第八章 妖怪の山を登ってみた
199/223

人と雀の温度の違い

諸事情により少し遅刻気味に。申し訳ないです。


皆さんが期待していた(?)シーンはあるのでしょうか



家の裏側に回ってみると、ブロックの上にドラム缶が置かれていた。成る程、見事なドラム缶風呂である。

……あれ?水は?



「みすちー。水はどうすればいいんだ?」

「えーとね。近くに地下水くみ上げるところがあるから」

「え?そんなとこあんの?」

「うん。お風呂を少し右にいったところかな?ドラム缶を持っていったほうが早いと思うけど」

「分かった。じゃあいってくるわ」



ドラム缶風呂に戻り、ドラム缶を手に持って右に直進。歩くこと二分くらいで、何かそんな感じの場所にでた。そんな感じって何かって?何というか、地下水がくみ上げられそうな感じ。穴が石で囲まれてるし、その上に滑車プラスの桶が付いてるから間違いないよな?実はこの桶はキスメの桶とかないよな?

俺は警戒しながら、ゆっくりと近づき……



「って、あいつは地獄にいるしいるわけないか」



一人ツッコみ……うん。寂しいからここら辺でやめておこう。

もちろん桶の中身にキスメなんているハズもなく、何回か水をくみ上げドラム缶の中に入れていく。八割方入れたところで水くみをやめ、ドラム缶を持ち上げ……えー。普通にやっても持てるわけがないので、能力を使わせていただく。いやだってこれは本当に重いし(単純計算で200リットルドラム缶だと160kg)


何とか帰ってきて先ほどと同じ場所にドラム缶を置く。何かもう準備は終わったような気がするがまだまだこれから。今から、これもまた面倒な火おこしである。妹紅を連れてくればよかった……

まずはそこら辺に落ちている枯れた竹を拾ってきて、適度な大きさに割る。ブロックの間にはまず枯れ草を入れ、その上に先ほど割った竹を置いていく。ここで気を付けなければならいことは、空気が通りやすいように並べること。そのほうが燃えやすい。というより、こうしないと燃えない。皆も……まあ、やる機会はあんまりないと思うが、やる時は気をつけたほうがいいぞ。

そして最後は竹同士の摩擦で火おこしを……



「楽冶ー!」

「ん?どうした?」

「これ無いと大変でしょ?はい」



そう言いながら手渡されたのは……マッチだった。あ。そうか。屋台で火を使うもんな



「みすちーありがとな。助かった」

「うん。さっき思いだしたんだけどね?」

「おお。鳥頭なのに……いい子いい子」

「……バカにしてるの?褒めてるの?」



もちろん褒めてるぞ。そうじゃないと頭をなでたりするものか。



「そう?……じゃ、じゃあよろしくね?」

「ああ。任せとけ」



ミスティアの顔が少し赤いので、早く風呂を沸かすことにしよう。

ミスティアが家の中に入ったのをみて俺は火をつけ、息を吹きかけるための筒を用意した。















えー。何か驚くぐらい早く沸きました。あれか?ここの竹には何か魔法でもかかっているのか?いや、魔法の森が魔力だからこっちは妖力か?どっちでもいいが、とりあえずマッチを放り込んだ後の燃え具合が凄かった。「え?妹紅?」と思ったぐらいの火力だったので、一分ぐらいで一肌ぐらいになってしまった。むしろ、その後の火力調整に時間がかかってしまったといえるだろう。多分、あの調子なら三分で沸騰するだろうし……

何とか火を小さくすることができたので、ミスティアを呼びに行く。



「みすちー。風呂沸いたぞ?」

「あ。本当?じゃあ楽冶が先に入っていいわよ?お客さんだし」

「何言ってんだ。お客さんというより居候だ。それにレディーファーストだろ?」

「いいの?」

「まかせろ。俺が完璧に火力調整してやる」

「うーん……じゃあ先に入るね」



ミスティアが着替えとタオルを取りにいっている間に、また火の調節をしておく。消えてても強くなってても面倒だし……

三十秒ほどでミスティアがやってきて、着替えの服とバスタオルを近くの石にかけた。

妖獣にもバスタオルは浸透してるんだな。



「じゃあ入るから」

「おお」

「……入るから」

「いや、うん」

「…………」



何だ?そんなに顔を赤くして。熱でもあんのか?夜雀の標準体温なんて知らないけど。

あ。それなら風呂のお湯も、人肌じゃヤバいかな?ちょっと聞いておいたほうがいいかもな。



「みすち「入るって言ってるでしょ!せめて後ろ向いててよ!」す、すまん……」



そうか。レディーファーストなんだからレディーなのか。

ミスティアに怒られて気付き、慌てて後ろを向く。どうせこの後に湯加減を聞きながら、火の調節をしないといけないので、この場から離れるわけにはいかない。あれ?そういえばミスティアには聞かないといけないことがあったようななかったような……



「あっつーい!!!」



あ、そうか。温度だ。



「大丈夫かみすちー!」



こちら側を向いた時よりも素早く振り返る。何故なら火傷をしている可能性があるからで、もしかしたら氷水を持ってきたりしなくてはならない。もちろん俺のせいで、茹で鶏(正確には茹で雀だが)になるのが怖かったからでは断じてない。



「「……あ」」



そんな弁解をしながら振り向いた先には……ひかえめな身長とひかえめな胸とひかえめな腰回りとひかえ「こっ、こっ……こっち見るなバカ楽冶ー!!!」……めじゃない弾幕が飛んできて、 ぴちゅーん! こんな音が聞こえたような気がした。















「何か言うことはある?」

「何もございませんです。はい」



端っこのほうに畳んであった布団を敷き、その上で立っているミスティアと正座している俺。さすがに今回は弁解する言葉もありません。全体的に俺が悪いし。因みにミスティアの入浴する温度は二十五度前後であることが分かった。そりゃあ十五度も高かったら叫ぶよな……



「それは言わなかった私も悪いから許してあげるわ」

「俺も聞かなくて悪かったな……」

「そ・れ・よ・り・も!問題は私の……は、裸を見たってことよ!」

「それはマジで謝る!本当にすまん!」



真っ赤になりながら怒るミスティアに、布団がなかったら鈍い音がなりそうな勢いで頭を下げる。いくら死にかけるほどの攻撃を受けたといえ、幼女……えー。レディーの裸を見てしまったのは事実であり、それがまだ謝罪をするほどの重い罪だということも分かっている。



「何でこっちを向いたの!?」

「えーとな……ミスティアが火傷したかもしれないと思って心配でな……」

「……本当に?それ以外は?」

「ないって!本当に心配して瞬間的に振り向いただけだって!」



これは嘘偽りない本当のことだ。決してミスティアの裸を見ようと思ったとかはない!断じてない!だって俺ロリコンじゃないし!



「何か今、失礼なこと考えてない?」

「滅相もございません」

「……本当に私が心配だっただけ?」

「いやだから、それは本当だって」

「じゃあ……いいわ」

「え?」

「あ!やっぱダメ!許さない!」



え?何?ミスティアの切り替えが早すぎてついていけないんですけど……許してくれたと思ったら一秒もせずに撤回ですか?



「何で……?」

「何でもよ!裸を見といて何も罰がないなんてダメに決まってるじゃない!」

「罰!?罰って何!?さっき死にかけただろ!」

「それとこれとは話が別なの!いい?今日はその布団で一緒に寝ること!」

「そんなん……え?そんなんでいいのか?」



何かと思えば、布団で一緒に寝ればいいのか?布団の横で座って眠ろうかと思っていたから、それは逆に嬉しい申し出ではあるのだが。いや、それより問題なのはこの家の狭さである。前話で述べたように、俺が寝たらもう一人は寝れないぐらいのスペースだ。

いくらミスティアが小さいといっても、横に寝ることはできないんじゃないか?



「大丈夫よ。だからちょっと寝てみて?」

「それはいいが……」

「……ほら。こうすれば寝れるでしょ?」

「キツくないか?」

「そうでもないわよ」



ミスティアが寝る場所は、もちろん俺の隣。いや、俺の前といったほうがいいか?体勢的には、俺の胸に入りこむような形になっている。俺はそうでもないが、ミスティアは顔を俺の胸に押しつけているので苦しいんじゃないかと思って聞いたのだが、そうでもないらしい。

何回もこの体勢をとるのは面倒だし、もう日が昇りそうな時刻なので寝ることになった。こんな時間に寝るのは久しぶりのような気がするな。だが、しっかりと仕事をしてそれから寝るというのは何か……うーん。ちゃんと生活してるなーって感じがするな。



「すー……すー……」



胸の中から寝息が聞こえてくる。顔を見ることはできないが、とても安らかな寝息を立てているので無意識に手が頭に伸びてしまった。そしてそのまま軽くなでる。



「ん……すぅ」



妖獣だからだろうか。他の子とは少し違った柔らかい髪をなで終え、俺はミスティアと一緒に眠りについた。






「バカ……恥ずかしいのよ……」


左足首負傷。折れてはないだろう。うん。


そ・れ・よ・り・も!←ここ重要

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