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東方楽々記  作者: COPPE
第八章 妖怪の山を登ってみた
198/223

見えなくなっても大丈夫

社会人になるとGWって忙しいですね。引っ張り回される……


何とか日曜に投稿できました。まだまだみすちー



「ふう。これで片付け終わったな」

「そうね。ありがとう」



俺の言った言葉に、短いお礼の言葉が帰ってくる。たった五文字だけど「ありがとう」っていい言葉だな。何かこっちが嬉しくなってくる。やってよかったって気にもなるよな?まあ俺は一応もう「仕事」って形になってるんだが。



「この後楽冶はどうするの?」

「ああ。俺は家に……」



あれ?俺って家なくなったんだっけ?家がなくなって彼岸にいって……次が紅魔館か。そして月にいって今ここか……死んだら行くところにいって、吸血鬼の館にいって、違う星にいったのか?何か凄い移動しているような気がするぞ。これ。

つまり……野宿?



「どうしたの?」

「俺の家ってなくなったんだよな」

「えっ!何で!?」

「ちょっと怖いお姉さん方が暴走してな……」

「そ、そうなんだ……」



まあEX化したルーミアをお姉さんというかは微妙だが、幽香はお姉さんで合ってるだろう。そういえばあいつらも何してんのかね?元の生活に戻ったのか?

これからどうしようかと思い、腕組みをして考える。また紅魔館に住むってわけにもいかないだろうし、屋台をする時にはミスティアが俺を呼ぶだろうから、永遠亭とか白玉楼に居候するわけにもいかないだろう。つまり野宿するか人里か。まあ人里のほうがまだ安全だよな。



「じゃあ俺は人里にいくわ」

「……ちょっと待って!」



さっさと人里に向かおうと思ったのだが、ミスティアに止められてしまった。何か用があるのだろうが、その声が何か焦っているような感じがして、少し急いで振り返る。しかしミスティアは下を向いたままだったので、何か焦っているわけではなかったようだ。

つまりは言いたいことがあって呼び止めたけど、中々言えないということである。人間ではなくても、そのようなことはある。そんな時は相手から話すのを待つのが一番なので、のんびりと待つことにした。

まあ、ここで一つ気を使うとすれば、ミスティアのほうが背がかなり低いから目線を合わせてやるということである。これだけでもだいぶ違う……多分。慧音も寺小屋の生徒にやってるし。



「……えっと。今から人里いくと危ないから」

「あー。まあ確かにな」



そう。今日の屋台は迷いの竹林で開かれていた。迷いの竹林から人里まで……実は意外と距離があるため、人間の一人歩きは少し、いやかなり危ない。もう少し具体的にいうと、帰宅途中に妖怪に襲われる危険性が非常に高い。

だからといって野宿したら可能性は変わらないのだから、選択肢としては歩く。または飛んで帰るしかないのだが……



「だから……えと。今日は私の家に泊まらない?」

「え?」

「もうっ!だから!危ないから私の家に泊まっていきなさい!」

「あ。はい」



「あ。はい」じゃねえよ俺!顔を真っ赤にしながら叫ぶミスティアにつられて、思わず頷いちゃったじゃねえか!いや、大丈夫だから。と言いたいのだが、茶色の三角巾をくしゃくしゃにして顔を隠しながらも、いつもより少し潤いの増している目で見られては今から断るわけにもいかない。いやだって断ったら泣きそうだし!



「……いいの?」

「みすちーがいいなら俺は助かるが」

「じゃあ行こっ!あ。屋台引いてきてね!」

「ああ。分かってるよ。こういうのは……まあ人間と妖怪でも男の仕事だ」

「……だからそれがダメなんだってば」

「ん?何がだ?」

「はあ……何でもないわ」



ミスティアが何か言いたそうだったが、何でもないと言われたので追及はしないことにする。うーん。俺のことを言われたような気がしたんだがな。

まあ考えても答えは分からないので、屋台を引くために取っ手のような部分に身体を通す。さあ行くか……って。重っ!



「どうしたの?やっぱり引けない?」

「はっはっはっ。何を言っているんだ?俺なら余裕だぞ?」

「……何か変だよ?」

「いやいや大丈夫だから。ほらこの通り!」



そして俺は屋台を軽々と引き始める。もちろん能力を使っているのだが、それを言うと少し情けないのでミスティアには黙っておいてくれ。

ミスティアは少し疑うような目を向けてきたものの、それ以上何か聞いてくることはなかった。



「そういえば楽冶って私の家初めてだよね?」

「そうだな。どうした?」

「ううん。じゃあ案内しないといけないなー。って思っただけ!」



そう言うとミスティアは、俺が掴んでいる取っ手の横に座った。



「こら。重くなるだろ」

「関係ないでしょ?能力使ってるんだから」

「……何を言っているのか分からないなー」

「はいはい。私も何を言ったのか分からないわ。でもよろしくね」



落ちないようにか、俺の右手に左手を重ねる姿を見て、まあいっか。と思うことしかできなかった。















夜の竹林でミスティアが歌う。透きとおるような綺麗な声で。この竹林のどこにいても聞こえそうな程軽やかに。

……ただ一つ問題なのは



「みすちー」

「私の〜……何?今いいところなんだけど」

「いや、前が見えなくなるからやめてくれないか?」



そう。夜雀の歌を聞くと、人間は目の前が見えなくなってしまう。これは失明するだとか脳がそう感じてるだとかではなく、原理は分からないが目の前が暗闇で覆われてしまうため人間じゃ見ることができなくなるのだ。つまりミスティアの歌をずっと聞いていた俺は何メートル先に、いや何センチ先に竹が立っているのかも確認することはできない。



「あ。ごめん。力使ってた」

「まあ気付いてて言わなかった俺も悪いからいいんだが……手でも引いて案内してくれるか?家に着く頃には見えるようになってるだろ」

「分かったわ」



少しの衝撃と共に、リヤカーが少しだけ軽くなったような気がする。そして少しの間を置いて俺の右手が再度小さい手に握られた。少し力を込めすぎているような気もするが、別に痛いわけではないので何も言わない。



「じゃあ行くよ?」

「おう」



ミスティアの動きに合わせて竹林を進んでいく。少し曲がらなければいけないときは、ミスティアが声をかけてくれるので、何かにぶつかったりすることはなかった。



「楽冶。本当にごめんね?」

「だから気にすんなって。みすちーが案内してくれるから関係ないし」

「でもあれなのね。楽冶も見えなくなるのね」

「そりゃ人間だからな。当たり前だろ?」

「そっかあ。見えなくなるんだ……」



ミスティアとの会話に何か不自然さを感じる。ええと。俺の目が見えなくなって、ミスティアは謝ってるんだよな?何となくだが、少し嬉しそうな感じがするのは気のせいか?



「え?気のせいよ。私が楽冶を見えなくして喜ぶように見える?」

「妖怪だからな」

「そんなこと言うなら手を離しちゃおうかなー」

「いやいや。みすちーさんは優しい妖怪ですよ」

「みすちーさんって何よ……」



みすちーさんはみすちーさんだろ。

結局ミスティアは、手を離すという外道なことはしなかったので、無事に家に辿りつくことができた。俺なら間違いなく離してるのに……何て優しいやつなんだ。しかし、家に辿りついたと同時に視界が開けてきたのは、何か細工してるんじゃないかと疑ってしまうのだが……



「偶然よ。偶然」

「本当か?」

「あのね。見えなくすることはできるけど、見えるようにすることはできないの!」



ということは本当に偶然なのか。

どこかの銅像みたいに右手を腰に当て、左手で指差してくるミスティアは体格のせいか、非常に可愛らしい印象しか受けない。あれだ。小さい子が大人っぽさを出そうとしてる感じ。そんなミスティアに俺は



「でだ。屋台はどこに置けばいいんだ?」

「あ。そこら辺に置いてくれたらいいわ」

「了解。じゃあもう一つ……家小さくね?」



とりあえず質問をしておいた。

俺の目の前には、高さが俺の身長ぐらい(おそらく170センチちょっと)で、大人の男性。つまり俺が寝たら、もう一人は寝れないぐらいのスペースしか存在してなかった。いや、家の広さ的には寝れるのだが、どうしても荷物などが存在するため、そのくらいのスペースしか残っていないという感じである。



「だって私、妖獣よ?」

「そうだな」

「あのね……妖獣はそもそも家なんて持ってないからね?よくて洞窟とか木の上とかだからね?」



そういえばそうか。妖獣……獣。つまり動物だもんな。こんな小屋みたいなものに住むことのほうが珍しいのか。洞窟とかと比べると、人間にとっては確かに住み心地がいいな。布団もあるし。

……あれ?



「風呂は?」

「裏にあるわ。何か大きい金属の筒が落ちてたから」

「へえ……」



それは所謂ドラム缶というやつでは?何か人里でもそれを風呂代わりにしてたやつがいたような気がするのだが……まあ風呂なしじゃなくてよかった。



「それじゃ俺は沸かしてくるから」

「いいの?」

「任せろ。雑用は得意だ」

「うん……何となく分かるわ」



自分で言っておいて何だが、どういう意味だ?ミスティアよ。


とりあえず、一日の疲れを癒すために風呂を沸かしにいくか……


あー。うなぎ食べたくなった。


そういえば大⑨州東方祭の日程決まりましたね。会社休むか終わって行くか……

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