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東方楽々記  作者: COPPE
第八章 妖怪の山を登ってみた
196/223

気が付いたら厨房に

ぐだぐだ?今に始まったことじゃない←


そもそも若干落ちた√に入るまでが難しいんですがねー。



楽冶と遊んでから数日経った日……ヤツメウナギの屋台の準備をしていると、倒れている人間を見つけた。



「って。楽冶だよね」

「……みすちーか」



私の声に弱弱しく反応する楽冶は、今にも死にそうであった。



「どうしたの?」

「…………」

「楽冶?」

「…………」

「ねえってば!」

「…………」

「お腹減ってるの?」

「ああ」



何故かそこだけ返答された。確かに今の楽冶は、「死にそう」の前に「お腹が減りすぎて」という言葉がつきそうな雰囲気を醸し出していた。どうして楽冶と結構親しげなのかというと、前回のかくれんぼの件である。二人が鬼になった際、どうせ森は広いからゆっくりいこうという意見に落ち着き、じっくりと話す時間があったのだ。趣味の話だとか、最近何してるだとか……まあ他愛のない話だったけれど、友人と言える程の仲にはなっている。

まあ、実は後ろからくすぐられて私が怒って追いかけたり、その時にみつけた美味しい木の実を一緒に食べたりだとか……そんなこともあったけれど、それは些細なことである。

まあそういう訳で、楽冶との仲はいい方である。どこかそこら辺に出没する名無し妖怪なら声をかけるなんてことはないが、仲のいい知り合いが倒れていたら、とりあえず声はかけるだろう。

話しながらも屋台を完成させた私は、ヤツメウナギを焼いてあげることにした。タレを付けて焼くを繰り返し、ジュ〜という音と共にいい匂いが漂ってくる。私自身がヤツメウナギだけでなく、予備として準備されているウナギやドジョウを食べることもあるが、営業中は店の面目を保つために食べれないのが非常に辛いところだ。



「はい」

「いいのか?」

「だって知り合いが目の前で死んだら嫌じゃない」



私が差し出したヤツメウナギを、楽冶は凄い勢いで食べていく。その間にお茶を準備し、他の準備に取り掛かることにした。そろそろこの辺りは真っ暗になり、完全に妖怪の時間になる。客足は日によって違うので、今日もどのくらい来店するのかは分からなかった。ただ、なんとなく楽冶がいるとお客さんが多くなる気がした。



「みすちー!」

「あ。何?」

「おかわり!」

「あるわけないでしょ!」



うーん……やっぱり私の勘違いかな。















勘違いではなかった。


博麗霊夢と霧雨魔理沙は、一緒に来ることは少ないが、店への出没率を考えると結構な確率で遭遇するだろうし、今までに何回も一緒になることはあった。

それに加え本日現れたのは八雲藍。そして西行寺幽々子。八雲藍といえば九尾の狐である。それは妖獣の中ではかなりの力を持っている。もっといえばトップ3に入っているような妖怪で、一応私は店主だし八雲藍はお客なのだから余所余所しい態度をとることはないが、内心は結構気が気でない。少し酔ってくれると、そんなことは気にしなくていいのだが……


西行寺幽々子は大食いである。それが問題だ。しっかりとお金を払ってくれるので、お客がいなかったり、小妖怪程度なら恐れて逃げるからいいのだが、このように権力者がいる時に来ると困るのだ。だって全部食べてしまうから。博麗霊夢や霧雨魔理沙に文句を言われるのは非常に面倒くさい。今日は少し抑えてくれるとありがたいのだけど……それにしても、大概この二人のどちらかと一緒にいる八雲紫はどうしたのだろうか。



「紫様なら今日は寝ておられる」

「何?また暇を持て余してるの?」

「暇を持て余してるから寝るとまではないが……いや、そうだな」

「それなら起こせばいいと思うわ〜」

「私が起こせるわけないじゃないですか」



まあ確かに。よっぽどの用事なら仕方ないかもしれないが、飲みにいくのに主を起こしたりしないだろう。それも比較的自由な八雲家なら尚更だ。



「楽冶!ヤツメウナギ追加!」

「お前食いすぎじゃね?まあいいけど」

「あ。あと酒も頼む」

「はいはい。同時にだすから」



そして霧雨魔理沙は、いつの間にか屋台の厨房に入っていた楽冶に料理を頼んでいる。

どうして楽冶が厨房にいるのかというと。博麗霊夢と霧雨魔理沙。そして八雲藍が現れたときに



「もう!本当に忙しくなるなんて!」

「じゃあお礼に手伝ってやるぜ」

「本当?ありがとう……って何でもう中にいるのよ!」

「ん?ああ。忙しそうだったし……あとは気分だよ気分。まあコイツらとは知り合いだし、多少変なのだしても問題ないだろ」

「それは問題になるからやめてね?」



という感じだ。最初は簡単なことしかさせなかったのだけど、お客からの注文が何故かいつもより多い気がして焦っていたら、これもいつの間にか楽冶が作っていたりする。

手際がいいと思っていたら、家で料理はするとのこと。さっきは食材がなくて倒れてたらしいけど。



「それにしても楽冶がここにいるって珍しいわね〜」

「珍しいっていうか初めてだな」

「そうね。結構動いてくれるから助かるわ」

「じゃあ今日は楽冶の奢りね!」

「それはない」

「何を言っているんだ楽冶。ここぞというところで男を見せなければダメじゃないか」

「藍。お前だけは味方してくれると思ってたぜ」

「お前の味方なんて幻想郷にいるのか?」



霧雨魔理沙に色々な意味で抉られた楽冶は、肴作りに専念して現実逃避をしているようだった。だがそこでポツリと



「みすちー」

「何?」

「お前は味方してくれるよな?」

「え……」



少し考える。まあ仲はいい方だし。前の遊びの時も楽しかったし……何より味方じゃなかったら、さっきヤツメウナギあげてないと思うから……



「しょうがないなあ……私は「あ。ミスティア。今日はお金持ってないから」ええっ!?今日も!?」



は ではなく も というところが重要だ。八雲紫と一緒なら、向こうが払ってくれるのだが、博麗霊夢一人できた時点でこれを考慮するべきだった……

そんなところに、私の耳にさらに驚きの言葉が入ってくる。



「私も持ってないぜ!」

「ええっ!?」

「持ってきてないわ〜」

「いつもは持ってきてるのに!?」

「これは私も払わなくていい感じかな?」

「いえ。払ってください」

「つか幽々子は持ってきてるだろ……」

「あ。バレた?」



何で嘘ついたの……?

因みに西行寺幽々子は楽冶の手際のよさも手伝ってか、いつもの二割増しぐらい食べている。そのお金を払われないのは辛い。あと、藍さんはのっかろうとしないでください

……



「でだ。幽々子と藍は払うからいいとして、霊夢と魔理沙は何で持ってないんだ?」

「今日はいらないって勘が働いたのよ」

「私は霊夢に言われたからだぜ?」

「どんな勘だ!ハズレてるじゃねえか!」

「あら。当たってるわよ。だって楽冶がいたじゃない」



その言葉に、楽冶はあからさまに嫌そうな顔をする。何か嫌な予感でも覚えているのだろうか。それが分かっていても逃れられないから、店員は辛いのである。私も無理矢理飲まされたりした経験があるから分かるのだけれど……さすがに鬼の酒は飲むもんじゃない。



「おいミスティア」

「あ。何?」

「私の食べた分は楽冶にツケといてくれ」

「へ?」

「私の分もよろしく。ここで一週間ぐらい働かせれば取れるでしょ?」



少しだけ考え事をしている間に、周りの状況は変わっていたらしい。八雲藍、西行寺幽々子の姿はなく(お金はしっかりと置いていっている)楽冶は……あれ?あの端っこのほうで焦げてるのが楽冶?御札もついてるけど。



「「だって」」

「最近神社にお賽銭入れに来てくれないんだもん」

「最近実験しにきてくれないんだぜ?」



それだけ言うと、箒に二人乗りして飛び立っていった。早いからかな?結局残ったのは私と屋台と……黒焦げになった楽冶だけだった。

あれよね。楽冶を雇うしか選択肢ない感じよね……


どうせ落ちるんだろぉ? 


急に友達が言っただけで、意味はない(ムダにイケボ

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