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東方楽々記  作者: COPPE
第七章 月の裏側へ飛ばされたらしい
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あれだよね。猫語は偉大

うー。にゃー

うー。にゃー

うー。にゃー


※作者はニャル子さんを知りません



依姫は構えている状態のまま沈黙している。

……恐らく三十秒程たっただろうが、一向に動く気配がない。これは稽古で俺の隙を狙っているというわけではなく、明らかにさっきの俺の質問に対して固まっているのだ。

残念ながら黙っている人物の思考を読むということはできないので、黙って待つことにする。いや、人物だけじゃなくて妖怪も無理だぞ?

一分ぐらい経っただろうか。さすがにおかしいと思ったので、俺は構えを解いて依姫に近づく。それでも全く依姫は動く気配を見せず、立ったまま気絶するなんてことはないと思うが。



「依姫〜」

「…………」



訂正。本当に意識が飛んでいるようだった。白目をむいていないだけマシだったが、一体さっきの質問にどれだけの効果があったのか、考えるだけでも恐ろし……くはないな。布団の話だし。というか本当に俺の布団は洗濯されてないのか?そうだとしたら一体どうなったのだろうか。

豊姫の言っていたことを質問しただけの俺は、本当のことを知らなかった。豊姫曰く依姫にもう一度聞けば教えてくれるとのこと。別に知りたいと思っていたわけではないが、教えてもらえるなら教えてもらおう。そんなものである。


いつまでたっても動く気配がないので、頬をつつくことにする。ふにゅっという音とともに、マシュマロのような感触がした。



「依姫〜?」

「…………」



意識が回復したのか、カクカクと顔を動かしてこちらのほうを向く。さながら河童の作る機械のような動きだった。人でもこのような動きができるのかと感心してしまう。口に出しては言わないけど。

だが白目をむいてはいなかったが、とても虚ろな目をしていた。仕方がなしに気合をいれてやろう。

依姫の頬を両手で持って話かけてみる。計三回目の呼びかけになるが、そこは我慢していただきたい。



「依姫〜!」

「…………ん」



ちょっと強く呼んだ効果があったのか、少しだけ反応が感じ取れた。一体布団にどんな効果があったんだよ。後で本当に問い詰めてやろうか……

まあ、今は目の前にいる依姫を再起動させるのが最優先である。こら待て。涎を垂らすな。いつもの格好よくて凛々しい顔が台無しだぞ。これも仕方なしにポケットに入っていたハンカチで拭いてやる。俺って紳士だね。こういう時だけな。


……ん?そういえば変わったら褒めるべきって話だったよな。だけど今の状態は変わって確実に悪化してるから、逆に今までのがよかったって褒めればいいんじゃね?そうだ。その通りだ。つまりはそういうことだ!

と、謎な三段活用的な何かは置いていて(全然違うよ!)それを伝えることにする。つまりこれで四回目の呼びかけになるが勘弁していただきたい。そろそろ土下座しないといけない気がする。進まなさすぎて。



「よ・り・ひ・め!」

「んー……あによう」



いかん!呂律がおかしくなっているぞ!



「あにようじゃないから!」

「……にゃによう」



可愛いっ!じゃなくてだな!ああもうコイツはこっちのペースを色々と崩してきやがって、ワザとやってるんじゃないのか?



「にゃにようじゃなくてだな。いいから早く元のお前に戻ってくれないか!?前のお前のほうが格好よかったし凛々しかったし!あとその口調は可愛すぎるからやめてくれ!って俺何言ってんの!?」



勢いに任せて言ったのはいいが、勢いに任せすぎたらしい。非常によろしくない単語まで言ってしまった気がする。いや言った。絶対言った。

だが一応効果はあったのか、蒼白だった顔が肌色に戻っていって、桃色になって通りすぎて朱色になった……あれ?

赤い瞳も虚ろな目からいつもの凛々しい目つきに変わったかと思うと、それを通り越して潤みはじめた。

……これが表すことは一つ。



「総員退避いいい〜!!!」

火雷神ほのいかづちのかみよ!楽冶を逃がすなああ!」

「きゃー!楽冶こっちに逃げてこないでよ!」

「誰が今の依姫の懐に飛び込むか!って熱っ熱っ!危ねえ!」



俺より少し前を走っていた兎たちに追いつき、そのまま一緒に逃げる形になる。そのため火で作られた竜は、俺を狙っているが周りの兎たちにも被害がでている。あまりにも見境のない攻撃に、俺は溜息を吐いた。はあ……つまりあれですよね。俺がやられれば終わる話ですよね。仕方ない。


俺は振り返って叫んだ。



「さあこい!火雷神よ!俺が受けて立ってやあっつ!熱い熱い熱い!!!」



数秒後には上手に焼けました状態だったと述べておく。















「いっててて!」

「あっ。ご、ごめん……」



布団に横になっている俺。その傷口に濡れ布巾を置いているのは依姫である。これは火傷ではなく、俺が復活した後に依姫にボッコボコにされた怪我である。俺が復活するまで律儀に待っていたらしい。丸焼き状態の時にやってたらまだマシだったのに……復活以外で能力をあんまり使いたくないんだよな。まあ復活のときは意識してないんだけど……



「いくら何でもやりすぎだとは思わんかね?依姫君」

「何それ。やりすぎだとは思うけど」

「いやもういいんだけどさ。こうなるのは分かってたし」

「何かその言葉聞くとまた謝りたくなるわ。ごめん」

「いいっていいって」


だからって打撲十数か所はどうかと思うけどね?逆に骨が折れてないのはどういうことだろうね。まあそれは助かったけど。というか世の中は理不尽すぎるぞ。褒めなかったら機嫌が悪くなるし、褒めてもこうなる可能性があるということか?

くそう!拗ねてやる!不貞寝してやる!



「どうしたの?」

「不貞寝する」

「私のせい?」

「いや……世の中の理不尽さに」

「スケール大きいわね……」



というわけで寝る。おやすみ!読者の皆さん!不貞寝だから俺が機嫌を直すまで物語は進まないぜ!久しぶりの休息だ!















「にゃ、にゃー……」

「…………」

「あ、あの。にゃあ。今日は、にゃあ。ごめんにゃさい……にゃー」




「許す!」


物語はまだまだ終わらないぜ!


たどたどしい猫語って萌えないか?え?萌えない?


それよりお燐と橙をだせ?いずれでるんじゃないかなあ(棒読み

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