そんなに嬉しいものか?
トータルは勝ってますからね?←ここ重要
伏線的な何かを回収したかった
まあ褒める褒めるといっても、一体どのように褒めればいいのか分からない。門番のやつに服装とか髪型とか褒めれば問題ないって言われたが、通常通りにしているのを褒めたら昨日みたいに出掛けるときはどうすればいいのかという話になってしまう。
アレか。とりあえずアレを言えば何とかなるのか?
「楽冶ー!早く起きてよー!」
昨日不貞寝をしたため俺は一人で寝ていた。勝手に拝借した部屋の外からレイセンの声が聞こえる。もちろん色々と解説をしているということは、俺は起きているということである。昨日のことを根に持っているわけではないが、少しぐらい悪戯しても許されるのではないかと思う。
「楽冶?昨日のことまだ怒ってるの?」
言いながらレイセンが部屋に入ってくる。布団の中には実は俺はいない。布団を少し膨らみがでるようにして置いておいた。別にずっと誤魔化す必要はない。少しだけ勘違い、そう。入って俺に背を向けてくれればいいのだ。
「楽冶ー?」
つまり入ってきて左右を見られなかったらいい。そしてレイセンは狙っていた通り、俺に背中を無防備な状態で晒してしまっている。
俺が近づいているのにも気付いていないようだ。一応戦闘要員として稽古を受けているのにそんなんでいいのか?まあ……サボってるから仕方ないけれども。
「あれ?ひゃああああ〜!」
悪戯でも仕掛けてやろうと思ったが結局何にしようか決まらなかったので、腰からお腹に手を回してみた。
人の温もりとはいいものだ。悪戯心でやってみただけだが、レイセンの小柄な体躯も含めて素晴らしい抱き心地である。簡単にいうと気持いいってことだ。
「な!何するのよ!離してよー!」
「しょうがない離してやろう……ん?ちょっと待て」
「な、何よ……」
「お前……痩せた?」
昨日の教訓を生かして気付いたことを褒めてみた。昨日背負った時は気付かなかったが、お腹周りは確かに細くなっているような気がする。いや何といっても一年前の話だから絶対とはいえないけれども。ただ確か……くすぐり攻撃をした時はもう少し肉があったような……レイセンには言うなよ?
「ええっ!?ホント!?」
「何故お前が驚く」
「ちょっ、ちょっ……ちょっと待ってて!」
俺の手を振りほどいて、バタバタと走りながらでていった。どうしたんだ?そんなに慌てて……
待ってろと言われたので、ボーっと待つこと約五分。レイセンがコソコソと戻ってきた。何がコソコソなのかというと、襖を少しだけ開いてこちらを覗いているのだ。一体何をしたいのだろうか。
「何やってんだ……?」
「…………」
顔を真っ赤にしたまま無言で入ってくると、俺の目の前で正座をした。マジでどうした。実は太っていたとでもいうのか?
「楽冶……」
「おう……どうした?」
「実は……」
……が多いのは、それだけ緊迫している状況だと思ってくれ。こんだけ顔を赤くされてたら簡単にボケるわけにもいかないしな。
たっぷりと溜めを作った後、レイセンは
「本当に痩せてたっ!」
飛びついてきた。比喩ではなくて本当に。いやもう飛びかかるでもいいかもしれない。とりあえず俺の胸の辺りに飛びついてきたレイセンは、そのまま俺の背中に腕を回してはしゃぎまわる。
「本当に痩せてたよ!」
「うん。大事なことだから二回言ったのは分かった。因みに何センチ小さくなったんだ?」
「ええ〜。それは乙女の秘密だけど……気付かせてくれた楽冶だから言っちゃう!二センチも小さくなって(見せられないよ!)センチだよ!」
よっぽど嬉しいのか、俺は何センチ小さくなったのか聞いただけなのに、そのままウエストの大きさまで言ってくる。
……なるほど。あれくらいの細さで(このデータは削除されました)センチなのか。別に使うことはないと思うが、感覚的に覚えておこう。
未だに痩せた痩せた言いまくっているレイセンは現在、窓を開けて叫んでいる最中だ。正直いってバカじゃないのか?あいつは……
何やってんだか……そう思いながらも窓から身を乗り出すレイセンを見ていたところ、レイセンの手が窓ギリギリまで出ていることに気付いた。この部屋の窓は通常より低いい位置にあるため、もし手が滑ったりしたら落ちる可能性がある。それをレイセンに注意しようと声をかけた。
「レイセン。あんまり乗り出すと危な「あっ!」言ったそばから!?」
レイセンが窓の外に落ちていく。レイセンの声を聞いた瞬間に身体を起こしていた俺は、咄嗟に窓の外に手をだした。すると何ということか。間に合ってしまったのである。
レイセンの体重が軽かったから片手でも何とかなったらしい。だがレイセンが逆さになったまま足を持っているので、スカートの中身が見えてしまっている。
……何のお約束だ?
「早く上げてよ……頭に血が上るう……」
「ああ。すまんすまん」
気付いていないらしいので、そのまま引き上げることにする……白か。
これは不可抗力であり、決して卑猥な意味で見た訳ではない。白だと分かったのも見えてしまっただけだ!
……そんなことより。逆さになっているのだから、頭に血が下がる。が本当は正解じゃないのか?え?誤魔化してる?気にするな。
「大丈夫か?」
「あう……のーぷろぶれむ」
いや、壁に手をついて頭を押さえてる姿はどう見ても問題なくないと思うが……まあ本人が言っているのだからいいか。酔っぱらいが酔ってないって言ってるようなもんだし。
というかまだ少しスカート捲れてるぞ。早く直しなさい。
「えっ!きゃあ!」
慌ててスカートをはたき、捲れているところを直す。レイセンはそのまま赤い顔で俺を睨みつけてきた。片手がまだ壁についているのはご愛嬌。うむ。お前の言いたいことは分かるぞ。
「まあ……似合ってるんじゃね?」
「っ!ばばばっ!ばーか!ばーか!」
俺を罵倒しながら走ってでていった。おい。前見ないと危な「あうっ!」……またか。
どうしよう。最近ゲームしてない。




