月の科学は素晴らしい
とかいうタイトルだけど、作中の科学は今の地球と同じくらいになってます。
だって思いつかないし……というか興味な(ry
さて。俺含む四人は月の都に来ている。霊夢からの情報を文が新聞として書き、「号外!号外!」と言いながら俺の家に新聞を放り込んでいったため、少しだけだが情報はあった。
曰く見た目は古い扉は触れずに開くとか。曰く本に書かれた文字は拡大縮小自由自在だとか。
まあ、この二つは屋敷で証明されているので、本当だということが分かっている。しかし月の都にはまだ他にも色々あるというのだ。それを少しばかり見たかったので、案内というか観光というか……をさせて貰っているのである。
駄菓子菓子!もとい。だがしかし!である。
「ねえ楽冶。これはどう?」
「……いんじゃね?」
「楽冶。これは……?」
「……いんじゃね?」
「楽冶ー!どう?どう?」
「……いんじゃね?」
何故ウィンドショッピングよろしく服の試着をしているんだコイツら……
「もう!ちゃんと答えてよ!」
「そうよ。レイセンの言うとおりだわ」
「相変わらず楽冶は分かってないのね」
いやいや。俺は今のこの状況に疑問を覚えているだけでな……というか、お前らは服の自由が殆どないって言ってなかったか?ここに来る意味あんのか?
「甘いわね。自由がないから試着しまくってるんじゃないの」
「冷やかし!?」
「いいのよ。冷やかしで」
バッサリと豊姫は切り捨てると、またもや三人で試着を開始した。うーん。俺は一体何をしてればいいんだ?さっきから試着室の前のベンチに座って意見を述べてるだけなんだが。いや、意見も全部同じなんだけど。服のセンスとか似合うかどうかぐらいしか分からないし。しかも着たとき限定。
どこかに移動したいといえばしたいのだが、残念ながらここは女性の服しか売っていない店である。どこになにがあるのかも分からないのにウロウロしてたら、変な目で見られても文句は言えない。まあ豊姫と依姫がいるだけで視線は集めるけれども。
「これはー?」
「……似合ってるんじゃね?」
ここでの収穫。
三人が少しだけ買ったので、ついていった時に見た レジ とかいうやつ。あれだな。
何か若干ハゲたおっさんの頭みたいなのを読み取って、お金を入れたら勝手にお釣りがでてきた。うーんハイテクだ。幻想郷はまだ算盤だぞ……
あと何回か経験はしてたけど、自動ドアだな。近づいたら勝手に開くのは確かにハイテクだが、逃げる時に開くのを待たないといけないから、そこが不安だな……
「でだ。何だここは……」
「飲食店よ。飲食店」
「飲食店なのは周りの客を見れば分かる。だがあの若い女性たちが注文か何かを聞いて何かに打ち込んでるのは何だ?あの奥のほうに見える四角い箱は何だ?冷蔵庫じゃないだろ?」
因みに幻想郷には俺が使っていたとおり、冷蔵庫と冷凍庫は(チルノに冷凍庫が占領されたが)存在する。これは幻想入りしてきた古い冷蔵庫を河童が拾ったからだと言われているが詳細は不明だ。
「あれに入力すれば厨房のほうに料理が伝わるのよ」
「マジで!?」
「呆れた……相変わらずあそこの科学は遅いわね」
「……まあ科学者というか、技術者が河童だからな」
「それはどうなの?って河童いるんだ」
「ああ。河童には見えない河童がいるぞ」
頭の中は機械とかにしか興味がないような、若干危ない気のするやつだけどな。あと、変な方面では発達してたりするんだぞ?とは言わないでおく。別に言っても害はないのだが、俺が住んでるところの評判を進んで落としたいとは思わないしな。
一応注文が決まったようなので店員を呼ぶことにする。何かボタンを押せばいいらしい。どんな仕組みだ?
「お待たせしました。ご注文をお伺いいたします」
「じゃあ私かた言うわね?私はハンバーグとアイス!」
「お姉様。カロリーが高すぎですよ?」
「いいじゃない。今日くらい」
「いつもと同じじゃないですか……じゃあ私は和膳で」
「はいっ!私はサラダで!」
「お前本当兎だな。俺は……何だこの……すぱげてい?」
「スパゲティね」
「みいとすぱげてぃ……で」
「御注文の確認をさせて頂きます。ハンバーグがお一つ……」
店員が確認を済ませて、中へと戻っていく。あのピコピコしてたやつを見てたが仕組みがよく分からん……何か画面を触ってた気がするが、あれで反応すんのか?
ここでの収穫。
何かよく分からない画面を触る機械。奥にある四角い箱は電子レンジとかいうらしい。
冷たい物を温かくするためのものだそうだ。相変わらずハイテクすぎて俺の頭じゃついていけないな……
あ。あとアイスが美味かった。豊姫に一口だけ貰っただけだがな。俺が食べたあとに依姫とレイセンの二人が豊姫を睨んでた気がするのは気のせいだろう。うん。
「楽冶ってカタカナ苦手なの?」
「幻想郷に殆どないからな。初めて読むやつはちょっと……」
帰り道。途中で足を挫いてしまったレイセンを背負っている。豊姫が右側に、依姫が左側にそれぞれ並んでいるので、三人並行でさらに兎を背負っているとなれば人々の視線を集めるのは確実だが、地上でいう夕方あたりなので人通りが少なかった。これが夜になればまた人々が集まるというのだから、ここの都は本当に不思議である。まあ幻想郷の人里はそもそも人口が少ないし、夜には妖怪が多くなるから夜に人間が少なくなるのは仕方がないんだが。
「楽冶。大丈夫?重くない?」
「ん?まあレイセンは小さいしな。全然重くないぞ」
「じゃあ次は私ね」
「いやいや。桃食べすぎだから」
「……どういう意味?」
「そのままの意味ですよお姉様……じゃあ私はやってくれるのよね?」
「いや何でだよ……レイセンは足を挫いてるから仕方なくだぞ?」
最近この三人はよく分からない会話になることが多い。正確には誰か一人がやってることを真似したがる。今もレイセンがおんぶしてもらっているから、自分たちもやってもらいたいみたいだ……子どもか。
「おんぶしてくれるなら子どもでいいわ」
「やかましいぞ最年長」
「…………」
「お姉様。今の楽冶は防御もできないのですからやめてください」
「なによう。じゃあ依姫はいいの?」
「いいか悪いかと言われたら悪いです」
「あの……私降りましょうか?」
繰り出された扇子を依姫が止めてくれる。いや危なかった。止めてくれなかったら喉に当たってたね。
レイセンがもぞもぞと動き出して背中から降りる。まあ二人から若干殺気も伝わってきているような気がするから正解だと思う。俺も止めない。ただ、足を挫いたレイセンはどうするんだ?とは思う。
「じゃあレイセンは私の背中に乗りなさい」
「え!?依姫様のですか!?それは、あの……」
「遠慮しなくていいわ。早くしなさい」
「は、はい……」
レイセンが依姫の背中に乗ると、俺の背中にも新たな感触。
「じゃあ次は私ね。お願いするわ」
「ぐっ……了解」
「今最初に何か言った?」
「何も言ってないっすよ?」
「そーお?じゃあいいわ」
「とか言いつつ首に手をかけるのはやめてくれるか?」
「つれないわねえ」
いや、つれたらダメだから。自分の首が絞められるのを許容するって何?
「あれよ。なんだっけ。自傷癖?」
「俺にはそんな癖はない。それにそれは 自 ってついてるじゃねえか……」
「他傷癖?」
「死ぬわっ!」
「ドM?」
「……お嬢様がそんなことをいわないでくれるか?」
イメージが崩れる……いや幻想郷の時からそうだな。あー、あいつら何してんだろうね。どうせ優雅にお茶飲んでるのとゲームしてるのと……いや、もうやめておこう。これ以上お嬢様のイメージを壊したくない。決めるときはビシッと決めるのになあ……
「はい。お姉様。くだらないことを言っている間に交代ですよ」
「ええっ!?」
「もう屋敷まで少ししかありません。自ら交代しないなら蹴落とさせてもらいますよ?」
「ふふ。あなたにできるかしら?」
「楽冶がいるのにどうやって防御する気ですか?」
「……降りるわ」
いつもの豊姫なら降りることはなかっただろうが、俺を窓から落として怪我させたことを気にしているのか、今日は素直に降りた。いいことである。
「よ、よろしく……」
「何でお前はそんなに緊張してんだ?」
「い、いいじゃないの!ほら早……ゆっくり行きましょ?」
「まあのんびり行くか……急いだっていいことないしな」
「ふふっ……」
「……?」
何故か笑った依姫と、その笑いに対して睨みつける豊姫とレイセンに対し、その笑いと睨みつける意味が分からない俺は、困惑顔で屋敷を目指すのだった。
最近引きこもりである




