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東方楽々記  作者: COPPE
第七章 月の裏側へ飛ばされたらしい
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聞いてはいけないこと

Q 繋ぎか?

A 繋ぎだ


Q 大丈夫か?

A 問題だ


ふと目が覚める。最初に見えたのは変な模様が描かれた襖だった。身体を起こそうと思って腕に力をこめるも、何故か上半身が凄い重い。そりゃもう何か鉄球でもくっつけてんじゃねえかってぐら(ゴンッ)痛っ!



「誰が鉄球よ。言っておくけど私はそんなに重くないわよ!」

「え?何トン?」

「…………」

「(メキメキメキッ)ギブギブ!ちょっ!折れるって!」



豊姫は俺のあばらのあたりに手を回すと、思いっきり締め付けた。ってメキメキいってるから本当にやめて!マジで死ぬって!



「なら何か言うことは?」

「すまん!冗談にしては言いすぎた!」

「すまんじゃなくてごめんなさいでしょう?(グッ」

「ぐほっ……ゴメンナサイ……ホントスミマセンっした」



血が口からでてきて、これ以上は本当にあばらが折れそうだったので久々に本気で謝った。

結果として豊姫が放してくれたので、深呼吸をする。スー……ハー……ああ。朝の空気ってこんなに美味いんだな。



「楽冶が最低なこと言うからよ」

「いやほら、0.0何とかトンって答えてくれるかなって……」

「まず女性に体重を聞くのが悪いのに、あげく何トンなんてもう最低の最悪よ!」

「いやマジですみませんって!だからその扇子を振りあげるのはやめて!」



懐から取り出したのか、思いっきり扇子を振りあげた豊姫に土下座で返す。あの高さから思いっきり振り降ろしたら、屋敷なんて一瞬にして素粒子レベルになってしまうだろうからやらないと思うけど……

何だかんだと朝一でバタバタ騒ぐのはやめ、朝食に向かうことにする。といっても女性は髪形などが気になるのか、豊姫は鏡の前で色々と忙しそうだったので俺一人だけだが。まああの調子なら二度寝することはないだろう。

部屋に辿りついて襖を開けると、いつも通り朝の稽古を終わらせたであろう依姫が座っていて、その横には呼ばれたのであろうレイセンもちょこんと座っていた。



「あら?今日は早いのね……って。その口元はどうしたの?」

「口元?」



言われて口を拭ってみると、赤い液体が付着する。ああこれは……



「血ね」

「おおう!?」

「血!?」



いつの間にか近くにいた依姫に、言おうとしていたことを言われびっくりしてしまう。

いやだって拭った時にはまだ依姫は座ってたんだぜ?あと「血!?」と驚いているのはレイセンだ。未だ戦闘などに慣れていないレイセンは、血が付いている時点で何があったのかと慌てているのだろう。



「何で分かったんだ?」

「匂いよ」

「凄いなお前!」



というか俺の知り合い鼻がいいやつ多いな。いやまあ幻想郷の知り合いは妖怪ばかりだから、鼻がいいってのも分からなくもないけど。



「血の匂いぐらい分かるわよ。こんな鉄くさいの」

「依姫様は匂いでその日のご飯が分かりますもんね」

「だ!黙りなさい!一応楽冶は客人なんだからそんなこと言わない!」

「ひいっ!すみません!」



腰にかけている長刀を抜き、レイセンに向ける。やりすぎ……というより飯の時間ぐらい長刀置いとけよ。


「いや、その。持ってないと落ち着かなくて……」

「何?お前そんなに戦闘に飢えてんの?」

「違うわよ!そういう意味じゃなくて……こう。持ってないとしっくりこないというか……って。今はそんな話をする時じゃないわ。あなたの血よ」

「血がどうした?」

「何で口からでてるのよ」



何か微妙にイラッとした表情で言ってくる。そんなに怒るなよ。鼻がいいだけだろ?



「そんなことないわよ!じゃなくて、どうしたのって聞いてるの!」

「分かった分かった!言うから長刀をこっちに向けるのはやめてくれ」



今にも床に長刀を刺して「祇園様の力……」とか言いだしそうだったので、ふざけるのはやめることにする。話すのを書くのは作者が面倒そうなので、こういう系特有のあれを使うことにしよう。



「かくかくしかじか……でな」

「…………」



ん?何か依姫の不機嫌さが増した気がするんだが……かくかくしかじかが悪かったのか?いやいや、しっかりと読者の皆様には説明したし、依姫も『豊姫に思いっきりやられました』っていうのを理解してくれているハズだ。なのに何故、こんなにも不機嫌になったんだ?

やばい。依姫に何を言おうかと俺が考え、レイセンもどうすれば。とウロウロしていると襖が開いた。



「ごめんなさい。ちょっと遅れて「お姉様!」何?」

「これは一体どういうことですか!」

「これって何よ……」



うん。依姫。俺を指差して言ってるから当事者の俺と、最初から見ていたレイセンは分かると思うけど、今来たばかりの豊姫は分からないと思うぞ。

あと、人を指差すのはやめなさい。



「かくかくしかじか……ということですよ!本当なんですか!」

「いや〜それは……ちょっと色々と理由があって」

「だからって、昨日も窓から落としたじゃないですか。そんな人に……」

「いやあれも仕返しというか……」

「やりすぎでしょう!」



依姫の剣幕に豊姫が押されている。そのまま頑張れ依姫!確かに俺が悪いってのもあったけど、さすがにやりすぎだと思うし。まあ加害者であり被害者だしな。俺は。



「レイセン。先に食っちまおうぜ」

「あ。うん。そうだね」

「さすがに朝っぱらから部屋壊さないだろうし。つか次壊したら俺が怒ってやる」

「あ、あはは……」



レイセンが乾いた笑いを浮かべる。あれ?そんなに変な顔をしてたか?確かに俺のこういう時の顔は、てゐが悪戯を考えてる時より酷いとは聞いたが……生憎その場に鏡はなかったからな……

レイセンと少し雑談をしながら食事を取っていると、後ろから声がかけられた。



「楽冶!」

「おお?何だ?」

「今日あなたの身柄は私が預かるわ!」



言いかた怖っ!っていうか後ろの豊姫めっちゃ凹んでるんだけど!大丈夫か?



「大丈夫よ。ちょっと脅しただけだから」

「何を言ったんだ……」

「ちょっとあなた関係のことを言っただけよ」



何!?何を言ったの!?何か俺、豊姫を脅せる要素なんてあったっけ?全然見当が付かないんだが……



「まあ、それは置いといて……」

「?」

「今日の稽古は楽冶も来るのよ?」

「えー……」

「……(スッ)」

「いやー。今日の稽古タノシミダナー……ははは」



長刀を目先にまで持ってこられ、先ほどのレイセンように……いや、レイセンよりも乾いた笑いを浮かべることしかできなかった。


豊姫……もうちょっと頑張ってくれよ……いやさっきまでは依姫応援してたけどさ。


結局二日で銀魂とそらおととエヴァ破を見てしまった。お腹が減らない。

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