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東方楽々記  作者: COPPE
第七章 月の裏側へ飛ばされたらしい
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一応監視は必要だよね

過去話だけど繋ぎです。儚月抄組は一からなので少し長くなります。


グダグダ?知ったこっちゃ……すみません。



予想通り自室で桃を食べていた豊姫様に事情を伝え、稽古場に来てもらうことにする。それにしても一体どれだけ桃が好きなんだろうか……立場上言えないけれど食べながら歩くのは行儀が悪いと思う。



「ところで。その人間はどんな感じの人なの?」

「ええと、黒い髪で……」

「容姿じゃないわ。感じよ」

「感じですか?うーん……」



パッと見ただの人間で、それ以外は特に……



「普通……です」

「普通?」

「はい。普通です」



そうとしか答えられなかった。正直本当に少ししか見ていないので、どんな感じか教えろと言われてもよく分からない。しかし豊姫様は納得いかない様子で溜息を吐いた。



「もう。そんなんじゃ分からないじゃないの」

「すみません。でも私もあまり見ていないもので」

「ま。怒ってもしょうがないわ。早くいきましょう」



こういうふうに簡単に割りきってしまうのは豊姫様のいいところだと思う。確かにここで怒っても仕方がないし……まあ怒られなくて済むからってのももちろんあるけど。


稽古場に到着すると、仲間の兎たちが……あれ?何か集まって話してる。

とても楽しそうに話す輪に割って入り、とりあえず豊姫様が来たことを伝えることにした。



「ほら。豊姫様を連れてきたよ」

「え!?」



急いで形ばかりに男を囲むが、もう豊姫様に見られているので意味がない。本当に依姫様を連れてこなくてよかった……



「こら。今は訓練じゃなくて実戦なんだから。話してちゃダメでしょう?」

「す、すみません」

「お。お前が……どっち?」

「豊姫様です」

「豊姫か。楽冶だ。よろしく」



男……楽冶は何かをしようとしたらしいが、未だに手に持っていた桃のせいで身動きがとれなかったらしい。少し考えると



「豊姫。桃食う?あとお前らも」

「いただくわ」



素早く桃を取ると、すぐに食べ始める。はしたないのでやめてください……



「ふう。ごちそうさま」

「お前も早いな……」



も。というのは先ほどまでいた幽々子という女性のことだろう。同じくらいの速度で食べ上げると、豊姫様と楽冶は握手をする。



「よろしく」

「よろしく。よし。この人を解放しいいわよ」



皆が武器を下ろす……って


「いいんですか!?」



私の問いに対し豊姫様は



「桃をくれる人に悪い人はいないわ!」



堂々と胸を張って言うのであった。もうツッコめない……














楽冶は個室に通されて、次の満月までここに住むことになった。すぐに送り返してもよかったのだが、豊姫様と意気投合してしまったのだ。主に自由なところとか。因みに桃好きだったのは楽冶ではなかったことがバレてしまったが、あまり気にしていないようだ。

ただ監視はつけておかなければならないということで、それに私が任命された。面倒なことは嫌いなんだけど……命令だし、少しは地上の人間というものに興味があったから快く承諾した。

とりあえず部屋まで案内したついでに、気になったことを聞いてみる。



「楽冶は何で月にきたの?」

「ん?あー……何か面白そうだったからな」

「月が面白そう?」

「ああ。何か色々と発展してるんだろ?」



確かに地上とはケタ違いに、月の科学は発達している。古そうな扉は自動で開くし、本に書かれた文字は拡大縮小自由自在だ。月では何てことないものだが、地上ではまだまだ難しいことらしい。さらに私が一回いった地上ではそもそも科学が殆ど発展していないとか。それを考えると、逃げても不便すぎて住めないような気がしてきた。



「あ。そろそろ稽古に戻らなきゃ!」

「俺はどうすりゃいいんだ?勝手に部屋からでていいのか?」

「私が稽古にいくときは稽古に着いていかせろと言ってたわ」

「じゃあ行くか。覚えてないから案内してくれ」



一緒に稽古場に行くと、他の兎たちは真面目に稽古をしていた。おそらく依姫様がいるということだ。豊姫様が依姫様にも言っておくと言っていたので、大丈夫だと思うけれど。



「レイセン。遅いわよ」

「す、すみません!ちょっと案内をしていたので」

「ああ。その男が地上からきた人間?とりあえずあなたは稽古に戻りなさい」

「はい」



私が稽古に戻ると依姫様と楽冶が話しているのが見える。だが数分すると、依姫様は他の用事に出掛けてしまった。いつも通りサボろうとすると、かかってくる声。



「こら。サボったら依姫に怒られるぞ?俺がお目付け役として任命されたからな」



皆が一斉に「え?」という顔をする。しかし楽冶は私たちのことを無視して稽古を続けるように言った。

仕方なく従うが、私たちの士気は低く声もあまりでていない。そこでまた楽冶が声をかけてくる。



「といってもまあ。こんなハードなのは無理か……もう自由にしていいぞー。面倒だし」

「あ。じゃあ質問の続き!」



切り替えの早い仲間が手をあげる。



「地上ってどんなところ?」

「んー。答えづらいな……けどまあいいところだぞ?自然はいっぱいだし俺のところに海はないけど、湖に魚はいるし」

「自然って桃の木?」

「いや、色々な種類の木があるぞ」



そういえば少しの間神社にいたときも、周りの木に桃は生っていなかったし、八意様がいたところにも桃はなかった。月の都には桃の木しか見当たらないから結構新鮮な光景だった。



「春は緑だけど秋には赤くなる葉をもつ木があったりしてな。結構綺麗だったな。今は冬だからまだまだ先だけど」

「へえ。じゃあじゃあ」



あっという間に楽冶は兎たちに人気になった。先ほどから楽しく話していたのもあるし、気さくな人柄だから話しやすかったのもあるのかもしれない。地上に人間に興味があったからかもしれない。何といっても珍しいから。


この後にまた幽々子さんが現れて、さらに話が盛り上がってしまったのは言うまでもない。さらに依姫様に(幽々子さんは気が付いたらいなかった)見つかって、楽冶含め全員怒られてしまったのも……言うまでもないことだ……


今日遅くなった理由?活動報告書いてたら遅刻しそうになったから。

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