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東方楽々記  作者: COPPE
第七章 月の裏側へ飛ばされたらしい
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久しぶりに宇宙旅行

紫がでてきた


期待を裏切りたい。COPPEですw


俺の周りは紫色の景色……と言いたいところであるが、出入り口が閉まってしまったので黒い。そして元は何なのか分からないが目玉が大量にある。真っ暗なはずなのに目玉は見える。そしてこのスキマと呼ばれるものを使っている八雲紫の姿も何故か鮮明だ。おそらく紫からも俺が鮮明に見えているだろうが、そもそも紫の使用しているものなので他の者にはどう影響するのか分からない。



「紫」

「何?」

「早くでようぜ。この空間は……嫌いじゃないが長居したいとは思わない」



俺が動くたびに目玉が追ってくるのだ。あんなにジロジロ見られてはあまり気分がいいものではない。だが紫が動いても目玉は微動だにもしないところを見ると、実は紫の意思なのではないか?と思ってしまう。



「それは嫌いというのよ」

「そうかもしれないな。嫌いだが食べれる食べ物だってあるし」



胡散臭い笑顔のままだった紫が、いきなり真面目な表情になる。冗談を言っていた俺も紫の考えを読み、ちゃんと聞くことにする。ロクでもないことには違いないと思うのだが……



「悪いけれど他の者に聞かれては困るからここで話させてもらうわ」

「……何だ?」



紫は近付いてくると、俺の肩に手をかけ



「あなたには月に行ってもらうわ」



そのまま俺を押し、後ろのスキマが開いた。

瞬間的に振り向くと、その下は水に映った満月。おそらく霧の湖だ。しかしその満月は半分に割れていて、そこにまた吸い込まれる。

ドサッ。と、急に押されしっかりと着地できなかったため、尻から鈍い音がした。非常に痛い。さすがに殺されかけてるとき程じゃないけどな。



「それじゃあ簡単に説明するけど」



尻もちをついている俺に対し紫はスキマから顔をだしているだけであった。



「豊姫と依姫が会いたがってるから行ってきて頂戴」

「本当に簡単だな……俺の拒否権は?」

「幻想郷が半壊してもかまわないって言うなら認めるわ」



知らない人はそんなの無理だろ。と思うかもしれないが、その二人……綿月豊姫と綿月依姫の手にかかれば造作もないことなのである。勿論できるだけでしないだろうが(と俺は思いたい)脅しとしては十分な効果を発揮するだろう。



「行ってきてくれるわね?」

「そうだな……紫にそこまで言われたら仕方ないな」


紫だって頭を下げるときはある。紫の場合は真面目な顔で少しだけ頭を下げながらお願いする時があるが、それは形式的なものである。しかし紫は妖怪の賢者と呼ばれる程の大妖怪。それも幻想郷を管理しているという立場もあるので、大概の妖怪はそれだけで了承する。これに了承しないのは、己の力があると自負している者。誰かに半端じゃないほどの忠誠を誓っている者。親友の幽々子。お気楽霊夢と俺ぐらいではないだろうか。魔理沙はあれで結構人がいいからな。やってくれるだろう。

そしてその中でも幽々子、霊夢、俺は知っている。或いは式神である藍も知っているであろう。紫の本気のお願い。それが真面目な表情で目を見ながらお願いする。というものである。目は心の鏡という。目は心をうつすから、目を見れば相手が何を思っているのか分かるということだ。そしてその時の紫の目をみれば本気でお願いしていることが分かる。

今の紫は、その表情であった。



「それじゃあよろしくね。あまり長くいると怒られそうだし」



それだけ言うと、紫はスキマを閉じる。後ろには静かの海が、正面遠くには月の都が見えた。静かの海にいっても仕方がないので月の都を目指すことにする。歩けば距離がある。飛ぶのは面倒。走ると疲れる……歩くか。


月には裏表があるらしい。地上から見えているのは月の表側。そして外の世界の……何とか計画によって月に着陸したらしいが、それも表側。静かの海や月の都があるのは月の裏側である。さらに詳しくいうと静かの海から月の都までは結界で囲まれており、結界の外側が表、内側が裏。ということらしい。

つまり俺はすでに結界の中に入っているわけなので、侵入がばれた可能性は非常に高い。といっても先ほど紫が言っていた豊姫や依姫は月の都では高い位に就いているので、迎えにきたりすることはないだろうが。



「御苦労さま」



それだけ言って月の都への入り口を通ろうとする。もちろんそれで通れるはずもなく、門番二人に持っていた剣を突き付けられた。



「何者だ」

「豊姫と依姫に会いにきました」

「お前……あのお方たちを呼び捨てにするとは……」



あ。やべ。ミスった。



「今日は月の都から出ていった者を見ていない。つまりお前は地上人であろう。そんな者を通すわけにはいかん」



これ以上近寄ったら切るぞ。とまで言われ、どうすればいいのか分からなかった。うーん。どうやって入ろうか。

何か方法がないか考えていると、兎が影からひょこっと顔をだした。



「お?レイセンじゃないか」

「あ。よかった〜。間に合って」



トコトコと門の内側からでてきたのは兎。といってもまんま兎ではなくて、姿は鈴仙と同じような感じだ。名前が同じなのは……話すと長くなるから却下で。



「何だ?知り合いか?」

「知り合いも何も、この人は綿月様への客人です。通してあげてください」



門番二人はしぶしぶと門を開けた。多分レイセンの言っていることを完全に信用していないのだろう。しかし兎は綿月姉妹のペットであるから無視もできない。そんな感じであろう。

後ろで門が閉まる音を聞きながらレイセンと一緒に歩きだす。月の兎というのは耳が立っていてピコピコ揺れる感じがするのだが、レイセンの耳はペタッと座っている。それでも少し同じように揺れている気がする。元気そうで何よりだ。



「久しぶりだね。何年振りくらいかな?」

「さあ。寿命がない月の兎や月人はそんなこと関係ないんじゃないか?」

「それもそうね」



レイセンは中々明るいキャラクターだ。元は餅つき兎だったらしいが、今は訳ありで戦闘兎の鈴仙が抜けた穴に入っているらしい。それもレイセンと名付けられた所以なのだとか。さっき言ったように詳しくは長くなるから以下略だ。



「二人はどうだ?」

「むー。せっかくなんだから私のことを聞いてよ」

「んー……最近訓練はどうだ?」

「それは聞かないで……」



ワガママなやつだな。自分のことを聞いてくれと言うから聞いたのに。



「じゃあ他の兎たちとは仲良くなれたか?」

「うん。入った時からよくしてもらってるわ。今なんて訓練中に一緒にお話するぐらいだもん」

「成る程。それを俺が依姫に報告すればいいわけだ」

「わー!ダメ!私が恨まれちゃうからやめて!」



レイセンをからかいながら歩いていると、でかい屋敷に着く。ここが綿月姉妹が住んでいる屋敷で、周りには豊姫の大好きな桃の木がたくさん生えている。見事に熟れたら収穫して宴会を開くこともあるそうだ。

もちろんこれだけでかい屋敷だと門番がいるわけだが、今回はレイセンがいるので簡単に通過可能。というよりも誰か一人客人がくるぐらいのことは、屋敷の門番には伝えられているのだろう。



「えーっとどっちだったかなあ……」



きょろきょろ周りを見回すレイセン。これだけでかいと迷うのも分かるが、俺は全然覚えてないのだからしっかりしてほしいと思う。まあ何だかんだ鈴仙のほうも同じ感じになるような気がしたので、この二人は似てるなーと思ったが。



「あ。こっちこっち」



ぐいっと手を引っ張られ、レイセンに誘導されながら歩く。



「あれ?逆?」

「おい……」



結局二人の元に辿りつけたのは、屋敷に入って一時間後のことであった。

今日は単純に寝坊。申し訳ない

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