いきなりの展開…いつもか
題名の通り。なんかすみませんという気分。
紅魔館に執事として就任して結構たった。レミリアと風呂?どれだけ前の話をしてるんだ?
紅魔館に滞在して一ヶ月ほどたったと思う。咲夜に料理を教わるという当初の目的は、三日ほど前に 夕食を全部俺が作る という出来事があり、時間・味ともに問題ないということで、ほとんど咲夜から料理の面で教わることはなくなった。
なので
「そろそろ執事やめようかと思います」
と、夕食の席で言ってみた。
実際ここに一生住ませてもらうつもりはないし、また家でも作ろうかと考えている。
チラッと一人ずつ見てみると、偶然にも目が合ってしまった。
「ダメですよ。図書館が片付かないじゃないですか」
「ダメね。小悪魔と一緒にやってもらいたいことがあるもの」
「ダメです。あなたが来てくれないと寝てしまうじゃないですか」
「ダメよ。まだあなたに教えることは山ほどあるわ」
「ダメだよ!まだフランはお兄様と遊び足りないもん!」
「……ダメ。私はあなたに執事を続けてもらいたいから」
全会一致。ある意味全会不一致だった。因みに上から……言わなくても分かるよな?
色々言いたいことはあるが……曰く俺のせいじゃないとか、どうせ片付けだろとか、そもそも寝るなよとか、料理ならこの前合格もらったよとか、俺じゃないとダメなのか?とか、いやですからその執事をやめようとしてるんですとか……言いたいことはあるけども!心の中で言うだけにしておく。
「むむむ。しかし料理を教わるというのは終わったぞ」
「ダメなものはダメよ。執事をやめるのは私の許可が必要なんだから」
採用のときは分かるが、やめるときまで許可が必要になるのか。つまりアレだ。退職届をだしたら破られる感じだな。あれって本当にやめたい人がやられたら舌打ちもんだよな。俺はそこまでしないけど。
それはそうとやめられないらしい。このままでは俺の自由な人生が紅魔館で終わってしまうということだ。たとえば誰かと婚約してたりするなら別だけれども。そんなものしてる訳がない。というか俺はもうしばらくは自由に過ごしていたいと思う。行く先々で絡まれるから自由に過ごせてない気がしなくもないけど。
「ならどうすればって……おい」
どうすればいいのか聞こうと思ったら、全員が集まって内緒話をしていた。明らかにこの後の俺をどうするかのような気がして怖い。まさか昔のフランみたいに地下に監禁とかされないだろうな……
不安なことを考えながらも、何か逃げ出せないような雰囲気だったので一人で食事を進めておく。これが最後の皆で食べる食事になるかもしれない。俺以外は話してるけど。
食事が終わり一息ついたころ、やっと話が終わったようで全員が一斉にこっちを向いた。さすがにその光景にはぎょっとしてしまった。あげく全員の笑顔が何か怖い。
「楽冶。あなたの扱いが決まったわ」
レミリアが右手の人差し指を立てながら言う。扱いて……ペットみたいだな。
「もう一回奴隷ということになったから」
「格下げ!?っていうかその扱いは酷すぎじゃね!?」
本当にええ!?という表情になっているだろう。それもそうだ。奴隷→解放→執事→奴隷 こんな方程式があってたまるか。
「それは断固として拒否する!」
「そうね。その通りよ」
俺の後ろから声が聞こえる。だが後ろを向いても誰もいない。紅魔館の面々も不思議そうな顔をしており、皆の仕業ではないことは明らかだ。
きょろきょろと周りを見てみるも、全然声の主が現れることはない。一体何だったんだ?そう思って肩の力を抜いた瞬間。
「楽冶〜。久しぶりね」
「のわっ!」
後ろからしなだれかかるように体重がかかり、首に手が回される。胡散臭い声。こんな声を持つ者は、俺の知ってる限り一人しかいない。
「紫?」
「ご名答。さすがね」
俺から離れたので、振りむいてみると金色の髪にキャップをかぶり、紫色の中華っぽい服。胡散臭い表情に胡散臭い雰囲気。そして後ろに目玉だらけのスキマを開いた八雲紫がいた。
「どうした?いきなり」
「あなたとの話はあと。先に吸血鬼たちに言うことがあるのよ」
そう言うと紫はレミリアたちと向き合った。レミリアたちは何故か戦闘態勢と呼べるような雰囲気になっていた。何だ?紫に恨みでもあったのか?
紅魔館を代表してかレミリアが口を開く。
「何の用?楽冶を盗りにきたの?」
「そんなに警戒しないで頂戴。採りにきただけだなんだから」
待て待て。何か二人とも漢字がおかしいぞ。レミリア。俺は物じゃない。紫。採取の採を使うのはやめてくれ。何か標本にされそうだ。「結局とりにきたんじゃないですか」と美鈴が小さくツッコんだ。ひらがなだから正解である。
「ちょっと重要な使命があるのよ。楽冶には」
「何よ。紅魔館の奴隷より重要な使命?」
重要な使命って何!?俺はいつそんな存在になったんだ!?あとレミリア。俺はまだ了承していない。あと今回はする気はないぞ。
「ちょっとねえ……」
気が付いたら紫はスキマを使って移動し、レミリアと咲夜の間から顔をだしていた。またもや紅魔館の面々+1で内緒話が行われる。俺の意見を聞いてくれる者はいないものか。完全に紫に拉致or紅魔館の奴隷パターンじゃねえか……
話が終わったようで、紫が俺の隣に戻ってくる。何故かレミリア、咲夜、パチュリーは顔を若干引きつらせていた。どうした?
「楽冶……」
「ん?何だ?というか大丈夫か?」
「大丈夫よ……あなたの執事退職を許可するわ」
いきなりの許可。何か裏でもあるのかと勘繰ってしまうが、今だに顔を引きつらせているのを見てその考えを捨てた。フランが「えー!どうしてー?」と言っているのを咲夜が宥めている。美鈴やこあも疑問なようで、パチュリーに何か言われていた。
「それじゃあ頑張ってね。また来てくれると嬉しいわ」
「頑張る?」
「それじゃあ一名様ごあんな〜い」
レミリアから答えを聞く前に、下に現れたスキマに俺は吸い込まれるように落ちていった。
さて。次はどうしましょうかね。明らかに正社員として働く前には終わらない




