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東方楽々記  作者: COPPE
第六章 二回目の紅魔館では執事生活
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世話は結局執事の役目

いやいや、パチュリーさすがにここまで身体は弱くないだろ……

書いてて何言ってんだか



「う、動けないのよ……」


何だ?まさか何かの魔術や魔法にかかってしまったのか?いやいや、パチュリーは持病を持ってはいるが、そんなに弱い魔女じゃない。むしろ魔女という種族では強いほうに入るだろう。そんなパチュリーが簡単にそんなものにかかる訳がないだろう。それじゃあ一体何があったんだ?



「いや……その。とても言いにくいんだけど……」

「ん?」

「だから……その……「また変な体勢で本を読んでたんでしょう?しかもこの数時間ずっと」小悪魔!」

「ええと……ようするに、同じ体勢をとっていたから身体が動かないと?」



おそらくこうだろう。という言葉をパチュリーに投げかけ、そのままじっと見てみる。パチュリーは視線をさっと逸らすと、顔を少し赤くして



「……そうよ」



消え入りそうな程小さい声だったのでしっかりとは聞こえなかったが、おそらくそう言ったと思う。

身体が弱いと聞いていたが、まさかここまでとは……



「う、うるさいわね。いつもじゃないわよ」

「そうですね。でもこの現象に陥ると、寝るまで動けないじゃないですか。前にも色々お世話をしましたけど、あそこまで動けないとなるとさすがに疲れましたね」



おお。こあが結構言ってるな。確かにあの体勢で動けなくなっている人の世話をするのは大変そうだが、そこまで……こあが毒を(という程でもないが)吐く程面倒なのか?

いやけどあのニヤニヤ顔を見た限りパチュリーをからかっているだけのような気がする。それでいいのか使い魔よ。



「……それには及ばないわ。今回はあなたに迷惑はかけないもの」

「へ?」

「今日は楽冶に世話してもらうわ。就寝まであとちょっとだけれど、小悪魔がそこまで言うなら仕方ないわね」

「え?俺?」

「こあっ!?それはダメですよ!」



パチュリーの言葉に対して慌てだすのは、俺ではなくこあだった。何故こあが反応するのは分からないが、面倒なことはしたくない俺は応援する。頑張れこあ!



「どうしてダメなのよ。あなたは疲れるんでしょう?」

「そうですけど……」

「じゃあいいじゃない。楽冶に任せれば」



ヤバいぞ。こあが負けそうだ……やはりムダ知識ナンバーワンは伊達じゃない。

というかこの会話、俺なら疲れてもいい。って言ってないか?



「言ってるのよ」

「やっぱりか!」

「こあ〜……分かりました。楽冶さんに任せます」

「おい!」



応援していたこあは、僅か一分程で撤退してしまった。

いいのか使い魔!もっと主に食らいつけよ!



「そのほうが使い魔としてあるまじき行為でしょ」

「はあ……じゃあ私はもう寝ますね」

「そうね。寝なさい。あとは楽冶にやってもらうから」

「……マジ?」



冗談と思っていたがどうやら本当だったようで、こあはトボトボと自分の部屋があるであろう方角に歩いていった。残ったのは面倒くさそうに立っている俺と、本を読んでいる体勢から動けなくなったパチュリー。

はあ。と溜息を吐くと、俺はパチュリーに話しかける。



「で。どうすればいい?」

「あら?本当にやってくれるの?」

「やらなきゃダメなんだろうが……」

「分かってるのね。じゃあお願いするわ」



パチュリーは何をさせようかと、うーんと考えていた。

とまあ俺も心の中では安心していたりする。パチュリーは思考は少し他の人と違うところがあるが、それを人に強制させることはない。だから落ち着いて、パチュリーの言葉を待つことができた。



「じゃあ……」

「おう」

「この本を開いてくれる?」

「俺の安心感を返せ!!!」



使い魔と同じことしてんじゃねえ!本当に安心していた俺がバカみたいじゃねえか!

俺のあまりの絶叫に、パチュリーは目を丸くした。まさかここまで叫ぶとは思ってなかったのだろう。うん。普通は思わない。



「じょ、冗談よ」

「……助かった」

「それにしてもここまで叫ぶなんて……小悪魔はいつもこんなことしてるの?」

「今日は本を開いてくれって言われたが、いつもは契約書にサインしろって言われる」



その言葉に対してパチュリーは特に驚いた様子もなく、「へえ」と一言呟いただけだった。いや、おかしくね?こっちのほうが驚くところじゃね?



「あなたは小悪魔の気持ちを理解していないからよ」

「パチュリーは分かるのか?」

「その時の小悪魔の気持ちは分かるわ。ついでに言うと契約書の内容も九割がた分かるわよ」



特に自慢気な訳でもなく、さも当然というようにパチュリーは言う。その姿に、俺は疑問しかわいてこない。何故パチュリーは見ていないのに、こあの気持ちが分かるのか。とかな。



「簡単よ。何故だか分かる?」

「……使い魔だからか?」

「ハズレ」



バサッと切られた。何かヘコむ。

他に何かあるかと考えたが、俺の平凡な頭ではそれ以外の答えがでてこない。諦めてパチュリーに聞くことにした。



「分からん。教えてくれ」

「ダメよ」

「何故!?」

「あなたが自分自身で気付くことだからよ。まあ……他の者たちも何かしらやってくると思うから、誰かが気付かせてくれるかもしれないわね。私に言えるのはこれだけ」



??? 初めて頭の中に?が三つも浮かんだ。パチュリーの言っていることは理解はできた。正解は教えないから自分で探せ。ということらしい。ただ、パチュリーだけでなく他の人も知っているという……意味が分からん。

もっと色々聞こうとしたが、パチュリーはもうこの話はおしまい。とでもいうかのように、俺より先にセリフを発した。



「じゃあ楽冶。部屋まで連れて行ってもらえる?」

「……どうやって?」

「どうやってって……考えなさいよ」



これ以上聞いても躱されるだろう。そう思った俺は、パチュリーに合わせることにした。

それにしても部屋まで連れていく方法か……パチュリーが飛べばいいんじゃね?



「こんな調子がよくないときに飛ばないわよ」



だよな。じゃあどうすればいいんだ?やっぱりあれか?

考えに考えた俺は結局



「よいしょっと」

「きゃっ!バ、バカ!降ろしなさいよ!」



許せ。お姫様抱っこしか選択肢がなかったんだ。



「もっと他に方法があるでしょう!」

「どんな?」

「魔力で浮かすとか、私に分けるとか……」

「俺にそんな力があるとでも?」


そう言うとパチュリーは閉口し、少し考えると溜息を吐いた。



「はあ……しょうがない。お願いするわ」



はいはいっと。


前回の紅魔館で出番が少なかったパチュリーをだしてみる

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