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東方楽々記  作者: COPPE
第六章 二回目の紅魔館では執事生活
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今回は一緒に入らない

ええ!?ダメなんですか!


明け暮れる。という言葉通り、日が暮れるまで美鈴と二人で作業をしていた。暗くなってしまい、これ以上作業を進めるにはライトが必要になるだろう。だが美鈴もそこまでしてする気はなかったようで、ふう。っと一息ついて立ち上がると、俺に労いの言葉をかけた。



「今日はこれくらいにしましょう。楽冶さん。今日は手伝ってくれてありがとうございます」

「いやいや。俺こそ美鈴に色々教わることができたしな。それに楽しかったし」



これは嘘ではなく本心からの言葉だ。やはりいつもしているからなのか、幽香ほどではないにしろ色々なことを知っていた。今日はいい勉強ができたと思う。もし俺の家がまたできて花を育てることになったら、間違いなく今日覚えたことは実行するだろう。



「それじゃあ中に入りましょうか」

「おい……門」

「あっ。忘れてました!」



毎度毎度……それで門番が務まるのかね?

結局花の世話を始めてから終えるまでの長い間、紅魔館の門を叩く者は現れなかった。うん。平和だけど美鈴にもうちょっと仕事を与えてやってもいいと思うぞ。



「やめてくださいよ。話を聞かない人ばっかりですから」

「まあそれは……諦めろ」



何気ない話をしながら水道まで歩いていき、使った道具と手を洗う。水道に辿りつく前にも花を見ることができたが、しっかりと手入れしているようで本当に感心した。


元の場所に道具を置いて、館へと入る。吸血鬼の館だからといっても外よりは明るく、お互いが土で汚れているのがよく分かった。

そして美鈴の顔を見ると、美鈴もこっちを振り向き



「「ぷっ。あはははは」」



二人とも同時に笑いだす。



「美鈴っ。くくっ。額に土がついてるぞ」

「楽冶さんこそ。あははっ。鼻の下に土がついてて。おかしいですよ」



しかも額についているのは少しではなく、薄く三、四本ついているものだから笑える。多分袖に土がついてるんじゃないか?そしてその袖で額の汗を拭ったのだろう。と、容易に想像することができる。



「じゃあ先にお風呂に入りますか!」

「そうだな。まだ夕食までは少し時間があるし……お前が先な」

「え〜。一緒に入りましょうよ」

「前回別々に入ろうとしたのに入ってきたから断る!」



あれは本当に(理性が)危なかった。女に飢えていなくったって、美鈴みたいなスタイルの女性と一緒に風呂なんて心臓によろしくない。ここは別々に入るべきだろう。



「もう一緒に入ったことがあるならいいじゃないですか」

「悪いな美鈴。俺は今……執事だからな。言うこと聞いてもらうぞ」

「う……分かりましたよ」



丁度風呂場に着いたので、美鈴を先に行けと促す。すると美鈴はフラフラとした足取りで脱衣所へと入っていった。



ゴチンッ

「あうっ」




何やってんだあいつは……














俺が風呂から上がっても美鈴は脱衣所の外にいた。



「あれ?待っててくれたのか?」

「どうせなんで。それと服を持ってきてもらったお礼ですよ」



そして花の世話をする前のように腕を組んだまま館を歩く。美鈴ってそんなに腕組むの好きだったっけ?

まあ別に……俺の腕を貸すだけで満面の笑みが見れるならいいかな。

ただ、少し歩きにくいため移動速度は遅くなってしまう。それも美鈴によってさらに遅くなっている気がする。終盤くらい咲夜の手伝いをしようと思ったんだけど間に合うかねえ……


と。キッチンに着いたのだが



「お、おおう……」

「何ですかこの量……」

「あら、楽冶に美鈴。悪いけど運ぶのだけ手伝ってもらえる?」



何か凄い量の料理ができあがっていました。いや、これ……七人で食べれる?満漢全席レベルあるぞ?何のパーティだよ今日は。それともあれか?まさか幽々子がくるのか?



「ないし、来ないわよ」

「じゃあ何でこんなに多いんだ?」

「別に……多くないわよ。いつも通りよ」

「いや嘘……いえ。何もないです」



美鈴の一言は咲夜の笑顔によって遮られた。恐るべき十六夜スマイル(命名:俺)何かと黒いオーラを纏った綺麗な笑顔が怖いぜ!

結局三人で一生懸命運ぶことに……さすがに量が多いし能力使うかな。右の前腕に一品。両手に一品ずつ。計三品を持つが、重い重い。能力を久しぶりに使って重さと、ついでにバランスを楽にしておく……が、自分が持てる程度になっただけで、それでも重いと感じる。バランスのほうは何とか大丈夫そうだが。我ながら自分の力の無さに泣けてくるぜ。咲夜の能力を使えば、一般的に見れば一瞬で運んだように見えるし、美鈴はそもそも妖怪で力が違う。ううむ。情けない。



「運んでくれるからいいわよ。使えないよりマシだわ」

「褒めてんのか?それ」

「楽冶さんはそのままでいいですよ。いえ。そのままがいいですよ」

「いやだから褒めてんのか?」

「「褒めてるわよ(ますよ)」」



むむむ。何か納得いかないな。それでも料理を運んでしまうのは何故だろうか。もしかしたら俺……幻想郷の人たちに扱き使われ慣れしてる?いやいや。そんな悲しい可能性を考えることはやめよう。



「今日は何かあったんですか?」

「どうしたのよこの量」



何回目かの入室で、いつの間にかパチュリーとこあが来ていた。まあ当然の疑問だろうな。特に何もない日に、夕食の席に着いてみれば料理が十数品。とくれば誰でも疑問に思う。



「あれだ。咲夜が本気をだしたんだ」

「どうしてよ……」

「あー。まあ色々あったんだよ」



それだけ言ってまた料理を取りに戻ろうとするが、咲夜が最後の料理を運んできたところだった。



「じゃあ私はお嬢様を起こしてくるから。楽冶は妹様を起こしてきて頂戴」

「げ。遠いじゃん」

「息を切らさないように急いで走っていきなさい」



無茶言うな!と言おうとした時には、すでに咲夜は目の前から消えていた。さすが……だがズルい。



「あ。いってらっしゃい楽冶さん」

「早く行きなさい。食べれないわ」

「こあ〜。待ってますよ〜」



今この場に味方はいなかった。

何で美鈴もちゃっかり席に着いてるんだよ……そう思いながらも俺はフランを起こしに向かうのだった。


だって前回入ったもの。

美鈴とはほのぼのでしたねえ。次あたり図書館だと思います。

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