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東方楽々記  作者: COPPE
第六章 二回目の紅魔館では執事生活
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一流の執事になるには

※別に目指してません


フランちゃんの人気に嫉妬……どんどん読んでね!





「うう……」

「まったく。走るからだぞ?」



フランを仕方なしにお姫様抱っこをして廊下を歩く。何故かって?フランが風呂場で走ったからだ。

浴槽から上がった途端に走るものだから、足もとの石鹸に気付かず……ツルッ。ゴチーン!というわけである。



「お兄様。まだ頭痛い……」

「はいはい。よしよし」



あまり意味はないだろうが、頭を押さえていたフランの手をどけ、床に打ちつけたであろう場所をさすってやる。



「あら?」

「おおっと」



もう少しでフランの部屋……というところで、咲夜とばったり会う。反射的に避けて通ろうとするが、咲夜に手を掴まれてしまった。バランスが悪くなりフランを落としかけるが、何とか落とさずに済む。



「何だ?」

「何だ?じゃないでしょう。妹様に何をしたの?……まさか」

「違う違う!俺は何もしてないぞ!フランが石鹸で滑って頭打っただけだ!」

「……一大事じゃないの!ちょっと貸して!」



咲夜は俺の手からフランをひったくると……気が付いたら目の前から消えていた。

ああ。能力使ったのか。と思っていると、フランの部屋から咲夜がでてくる。



「まったく。ゆったりと歩いてないで早く処置しなさい!」

「いやいや!俺の能力でそんな早くは無理だから!一応楽にはしてあげたんだぞ?」

「というかそれ以前ね。自分より階級が上の者が危機に陥る前に助けないと」



う……それを言われると何も言えないな……危機というほどのものじゃないと思うが、それは口にださないほうがいいだろう。


何はともあれ、咲夜がしっかりとフランの処置をしてくれたと思うので部屋に帰ることにする。あー疲れた……ん?



「咲夜さんや」

「何?」

「この手は何でしょう?」

「何って……」



咲夜は少しだけ「うーん……」と唸ると、すぐに俺の目を見て言った。



「決まってるでしょう。今から特訓をするに決まってるじゃない」














「違う!」

「ひいっ!」



そりゃもう咲夜の教え方はスパルタだった。紅魔館では紅茶を淹れるのが基本である為、まずそれができないと……ということだ。

一応できるぞ?って言ったんだが「じゃあ私のと飲み比べてみる?」と言われ比べてみたところ……


「何これうまっ!」

「でしょう?」


現象が発生したのである。これはホントもう脱帽ものだった。



「いい?あなたの紅茶はね。気持ちは込もってるのよ。ただちゃんと勉強してないから技術が足りないだけ」

「何か他の人とは逆の感じがするな」

「その通りよ。あなたは今まで一人暮らしが多かったから、葉を蒸らす時間とかてきとーだったんでしょうけど。その代わり他の人に飲ませるときは『美味しく飲んでもらおう』と思いながらやってるでしょう?だから足りないのは技術」



ううむ……何という観察眼。飲んだだけでここまで分かるとは。しかも俺の気持ちまで当たってるし。これは凄いというより恥ずかしい……



「ほら。朝まで時間がないのだから頑張りなさい」

「朝まですんの!?」

「他にいつするのよ」



朝は朝食とその他。昼は昼食と掃除とその他。夜は夕食と教育とその他。確かに咲夜にここまで付きっきりで教わることのできる時間は深夜しかない。

これもまあフランとかレミリアに呼ばれなければ、という話である。因みにすべての時間帯に入っている「その他」はレミリアやフランからの呼び出し、命令などのことである。

まあ咲夜に色々教わりたいなー。って言ったの俺だしな。ここは頑張ることにしよう。



「ほら。三秒早いわよ」

「分かるか!」

「そこまで分からないと一流の執事にはなれないわ」



別に一流の執事を目指している訳じゃないんだが……それに咲夜が時計も何も見ていないのに時間が分かるのは、少なからず能力も関係しているんじゃないかと思う。それは俺の気のせいではないはずだ。

仕方なしに高級な葉を捨てることになる。うう……この一回分の葉があれば、俺の家では三日はもつぞ。ルーミアが食べなければ。もう家ないけど。



「ほら。ぶつくさ言ってないでもう一回やりなさい」

「はい……」



言われるがままに紅茶の葉を取り出す。今日は長い夜になりそうだ……














「……合格ね」

「マジか!よっしゃー!!!」



紅茶との激闘数時間。何杯淹れたかは数えられないくらい淹れ、やっと咲夜に合格を貰うことができた。やべ……滅茶苦茶嬉しい……もう外に日が昇ってきてるけど。



「今は五時四十五分ね。六時から朝食の調理に取り掛からないといけないから、睡眠時間は十五分よ」

「……嘘……だろ?」



懐中時計を見ながら言う咲夜に思わず疑問詞つきで言ってしまう。

十五分て……本来とらないといけない睡眠時間の何分の一だよ……



「本気に決まってるじゃない」

「……分かった。じゃあ部屋に戻るわ」



逆らったりしても意味ないことは分かっている。というか従うのが一番の安全策である。ここ、紅魔館では。

そう思い身体を部屋の方に向けると……本日三回目の手を掴まれる感触。



「何だ?」

「あなたバカね。部屋に戻っていたら睡眠時間五分もないわよ?いえ。往復するのを考えたらそれだけで遅刻よ」

「じゃあどうしろと……」

「ここで寝るのよ」



マジか!それこそマジなのか!?



「床に座って壁にもたれかかって寝るのがいいわ」



どうやらマジなようで、しかも座りらしい。恋しいぜ俺のベッド……

咲夜はスタスタと歩いていくと、床を指さして



「あなたはここね」

「はいはい」



もう諦めた俺は、そこまで歩いていって座る。あー眠い。座っただけで眠気がここまでくるなんてな……もう寝てしまおう。睡眠時間もどんどん短くなるいっぽうだし。

ウトウトしていると隣から寄りかかられる……咲夜?



「別に一緒に寝てもいいでしょ?」

「……勝手にしてくれ。俺はもう限界だ」



それだけ言うと、俺は意識を落とすことに専念した。咲夜の髪が近いのでニ分くらいかかってしまったのは秘密にしておいてくれ。お願いだ。














「楽冶!起きなさい!」

「ん〜。あと……あれ?十分しか寝てないハズなのに眠くない」



何故かすぐに頭が回るほどしっかりと寝ていたらしい。

けれど、紅魔館の数少ない窓にかかっているカーテンを開けてみると、太陽の位置はあまり変わっていないように見えた。



「なあ咲夜。これっていったい……」

「何?人の好意が受け取れないのかしら?」



それだけ言うと、咲夜は調理器具のあるほうへ向かった。ああ……そういうことか。



「ありがとな。咲夜」


多分聞こえているであろう音量で呟くと、俺も手伝おうと咲夜に近づいていった。


咲夜さんかっけー……


みたいなのを書きたかった

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