フランと一緒!
ほのぼのすぎて鼻血が……いや。でてないですよ?
フランと手を繋いで歩く。俺はフランに合わせてゆっくりと。それでもフランのほうが歩幅が小さいため、トコトコと歩いている印象を受ける。
風呂に入る前に俺の部屋にいき服を取ってくる。まあ後は寝るだけだろうからTシャツと長ズボンにした。
「さあ。風呂にいくか」
「うん!」
ただそれだけの会話をすると、また手を繋いで廊下を歩く。フランが場所を覚えているため見取り図を持ってこなかったが、大体俺の部屋から歩いて十五分はかかるらしい。本当に広いな。
珍しく会話もなく、歩き続けて……二十分は経ったんじゃないか?まあそれはフランの速さに合わせてたからかもしれない。
ここの風呂は前回と同じように男女分かれてはいない。だからこそ「一緒に入ろう!」が実現できるんだけどな。
「じゃ。フランが先に入ってくれ」
「えー!一緒に入ろう?」
むう。そうは言われてもなあ。さすがに裸の見せ合いはダメだろう。そう思って言ったのだが、フランは駄々をこねる。
「お兄様逃げそうだから嫌だもん!」
「じゃあ俺が先に……」
「フランはお兄様と一緒がいいから待たないよ」
結局一緒に入るしか選択肢がないようだった。あ。そういえば俺がフランの教育係だってこと完全に忘れてた。しかもまだ言ってないな……まあいいか。寝る前の別れるときに言おう。
結局一緒に服を脱いで入ることになってしまったので、できるだけフランのほうを見ないようにして服を脱ぐ。そしてタオルで前を隠す。いくら仲がよくても、小さい子にアレを見せる訳にはいかない。
しっかりと結んで……と。準備完了。
「じゃあ先に入ってるぞ〜」
「あ!ちょっと待って!ん〜……脱げた!」
フランが服を脱ぎ終わり走ってくる……のを止める。
「こら。走ってはいけません」
「ぶー。ちょっとくらいいいでしょ」
「こけたら危ないからダメ。あとほら。タオルをちゃんと巻きなさい」
裸でタオルを手に持っているだけのフランに、バスタオルを渡してやる。
「いらないもん!」
「いるわ!男と女なんだから当たり前だ!」
「だって巻けないんだもん!」
そういう問題か!まったく紅魔館の住人はいったい何をしているんだ……あ。女性しかいないからあんま関係ないのか。
「お兄様が巻いて?」
「しょうがな……くないな。巻くのは自分でやりなさい。最後だけ手伝ってやる」
「ちぇー」
あのな。「ぶー」じゃなければいいというものではないんだぞ?
「ぶー」
「ちぇー」
「ケチー」
「ふーんだ」
おやおかしいな。今一気に四つの声が聞こえた気がするぞ?
さすがに気になって振り返ってみたが、フランは一人。まだタオルを巻いてる途中だったので顔を元に戻す。うーん。何だったんだ?幻聴か?
「お兄様ー。巻いたけど落ちちゃうよ?」
「ああ。ちょっと待ってくれ。ここをこうしてだな……」
タオルが落ちないようにするのは簡単だ。巻いたタオルの一番上を、身体の外側に巻けばいいだけ。これだけで中々落ちない。
といっても人のをするのは難しいな。
「こら。動くな」
「キャハハッ!くすぐったいよー!」
「今度から自分でするんだから覚えなさい」
「えー」
当たり前だ。俺はフランの教育係だからな。まだ言ってないけど。
「ほら。できたぞ」
「歩きにくい……」
「我慢しなさい」
「おんぶー」
「わがままだな!?」
そう言ったものの、フランが背中に飛びつき、首に手を回してきたのでおんぶしてやる。だって苦しいもの。というか飛びつけるならそんなに歩きにくくないんじゃ?
ガチャっとドアを開ける。
「「「お兄様ー!!!」」」
「入りたいならタオル巻いてこい!」
飛びついてきた(本当に飛んできた)フラン×3をかがんで避け脱衣所に入れると、ドアを閉めてガチャリ。結局入れる気などないんだよ。どうせ分身だしな。
「お兄様ひどいよ!」
「いきなりスペルカード使ってまで飛びかかってくるやつに言われたくないわ!さっさと分身を消しなさい!」
「せっかく待ち伏せしてたのに……」
そう言いながらも、ドアの外から騒がしい声が消えたので、フランもわがままだけじゃなくなったなあ。と思う。
久しぶりになでなでしてやろう。俺がやりたいだけというのも否定はしないがな!なでなで。
「う」
「よし。ついでに頭は俺が洗ってやる」
「いいの?」
「どこかは洗わせようとしてただろ?絶対」
「バレちゃったー……」
身体をお湯で慣らした後に、フラン専用シャンプーハット……はもう卒業したぜ?シャンプーを手にとり広げ、髪につけてワシャワシャする。シャンプーする時には弱くでいいので頭皮も洗ったほうがいいぞ。作者の友達は髪しか洗ってなくてフケが!とかあったらしい。それは嫌だろ?
そして髪は柔らかく、傷つけないように。女の子だし特にな。
「ほら。目瞑れ。泡流すぞ」
「うん。いいよ」
ザバーっと髪についた泡を流す。シャンプーのカスや汚れが残らないように何回か流し、軽く髪を拭いてやれば終わりだ。
「ほら終わりだ」
「うん!じゃあ次はフランがやってあげるね!」
「お。いいのか?じゃあ頼むか」
「えへへ。頑張るから。痛かったら言ってね?」
「ああ」
こんな感じで、俺とフランの風呂の時間は、結構穏やかに過ぎていったのだった。
というか永夜抄…咲夜&レミリア優秀な気しかしない




