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東方楽々記  作者: COPPE
第六章 二回目の紅魔館では執事生活
151/223

初体験。いきなりだったけどな

部屋の片付けが終わらないっ!

(宿題が終わらないっ!風に)



「スターボー……ブレイク!」



ちゅどーん!と俺の真横で弾幕が弾ける。とても恐ろしい威力だったようで、チラッと見ただけで床が抉れているのが見えた。

あとスターボーブレイクって何だ。スターボウブレイクじゃないのか。



「威力が上がるかな?と思って溜めてみたんだよ」

「成る程。……はそういう意味か」



そして結果がこの床という訳だな。うむ。俺に当たっていたらと思うとマジで怖いぜ……



「っていきなりスペカをぶっ飛ばすんじゃありません!」

「お兄様が悪いんだよ!」



ぶーたれるフラン。うん可愛い。けどそんな目で俺を見るのはやめてくれるかな?殺されそうだよ本当に。

これは一応ここまで怒ってる理由を聞いてみる必要がありそうだな。大体分かるけど。



「フラン。何をそんなに怒ってるんだ?」

「……本当に分からないの?」

「いや。分かってるよ。俺がババを無くしたと思ったんだろ?」

「違うよ!」



フランが声を張り上げる。さっきまで俺を殺さんばかりに睨んでいた目は、今にも涙が零れ落ちそうな程に潤んでいた。

うう……なんかすごい罪悪感が……それでもフランに詳しく聞かなければならないのが非常に苦しい。



「じゃあどうしたんだ?」

「お兄様が……お兄様が……。私を。ババを手放すから……」

「……え?」

「お兄様が!ババを手放すから悪いの!」

「いやほら。ちゃんとあったし。な?」



そう言ってもフランの声は止まず、さらに大きくなって俺の耳へと届く。



「嫌なの!!肌身離さず持ってないとダメなの!!!」



フランが片手を振りあげる。その手にはスペルカードが握られていた。


禁忌「レーヴァテイン」


赤く燃える炎の剣が迫る。



「うおおっ!?」



人間の勘とは素晴しいもので、気が付けば俺は横に転がっていた。だがそのままではいけない。攻撃は一回限りとは限らないからだ。



「のわ!?」

「ととっ……」



避けること数回。何とかフランの弾幕に当たらないですんだ。マジで危ねえ……



「お兄様。避けるの上手いね」

「それ程でもないぞ?」

「じゃあ次は……


QED「495年の波紋」


えっ?ちょっ?それはダメ……














「お兄様。お兄様。起きて?」

「んが?」



フラン起こされる。というか何で寝ていたんだ俺は……



「お兄様がトランプを手放したからだよ」



そうか。そういえばそうだったな。

俺の服は少しボロッとしていたが、捨てるほどでもなく修繕すればまだまだ着れそうな状態であった。レーヴァテインじゃなくてよかったぜ。あれだったら服が全部燃えて使い物にならなくなる。

いやでも執事服とか修繕云々の問題じゃないのか。咲夜が身だしなみが〜とか言ってたしな。縫い後がある執事服なんて着れないかもしれない。ということは



「怒られるな……」

「咲夜に?」

「ちが……そう。咲夜に」

「わーい!お兄様引っかかったー!」



くそうっ!いつもいつもフェイントを言ってくるから引っかかってしまった……我ながら情けない。こんなんじゃ次にてゐと会った時に負けてしまうぜ

……ってフランのテンション何!?何か気絶前は「……死んじゃえ」みたいな感じだったのに今は「わーい!」て……



「フラン……もういいのか?」

「何が?」

「その。あれだ……俺がババを手放してしまったことだ」

「うん!あ。でも一つだけ言うこと聞いてくれたら許してあげるよ!」


何をしたのか分からないが、とりあえず納得したからいいとしよう。

瞼の外に感じる光の量が増す。おそらくフランが離れたのだろう。



「いいよって言うまで開けちゃダメだよ?」

「分かってるって」



前から聞こえたフランの声にとりあえず返しておく。ううむ。つまり割と時間がかかると。一体何をする気なんだ?本当に。


ギュッと後ろから抱きつかれた感覚。いつの間に後ろに移動したんだ?



「えへへ。お兄様大好き!」



耳元から聞こえる声。だけどそれは。

気絶する前に聞いた。



「だから……」



どこかとても……粘っこい声だった。



「いっただっきまーす!」



声の大きさとは裏腹に、チクッとした感触を首筋から感じる。

そして何かよく分からない。だが確かに何かを吸われている感覚。それは間違いなく……


俺の血だ。


ジュルジュル……ゴクッ。とついに口の中が血でいっぱいなのだろう。音が大きく漏れだした。それは吸血鬼の本来の飲み方なのだろうか。それともフランがまだ下手だからなのだろうか。それは分からないが、そろそろ血を零しそうだということは分かった。

だが俺は目を開ける事はない。何故ならさっき約束したからだ。いいよと言われるまで目を開けないと。


なんとなく。左肩の部分が湿ってきたと感じてきたころ、フランが口を首筋から離す。



「お兄様。いいよ」



すぐに目を開ける気になれず、ゆっくりと目を開ける。気になるのはやっぱり首筋で、俺の右手は自動的に噛まれた首筋を触っていた。

ベチョっと、そしてヌルっとした感触。うわー。血だわーこれ。



「どうだった?お兄様」

「どうって?」

「血を吸われた感覚だよ」



あー。うん。何かよく分からなかったな。そういや前回来た時にレミリアに血を吸われかけたっけ?その時に感覚が気になる!とか思っていたが。

強いていうなら……割と気持ちいい?



「お兄様……」

「ちっ!違うぞフラン!断じて俺は変なアレは持っていない!」

「キャハッ分かってるよお兄様。吸血鬼はこういう吸い方もできるんだよ」

「そ、そーなのかー……」



いかん。動揺しすぎてルーミア語になってしまった。冷静になれ!俺!クールに、そうクールになれ……よし。オーケー。

とりあえずはフランの口回りを洗わせて服を着替えさせないとな。今のフランの姿は、口から首を伝って服にまで俺の血が侵食している。服が赤だからそんなには目立たないが、これは着がえさせたほうがよさそうだ。



「よしフラン。とりあえず顔を洗いにいくぞ」

「あ。お兄様。一緒にお風呂入ろう?」



ああ。そういえばまだ風呂入ってなかったな。気絶(死亡)と吸血で忘れてたぜ……うん。けど一緒にお風呂入っていいの?主人の妹と執事。



「フランが許可すれば問題ないよ!」

「そんなもんか……まあ俺も風呂入りたいしいいかな」



フランとなら何か間違いも起こらないだろうし。昔言った気もするが断じて俺はロリコンではない。そこは要注意だぞ。



「じゃあ早く行こっ!」

「ちょっ!待て!着替え着替え!」



一回自分の部屋に戻らないとなあ……と思いながらも、俺はフランに引っ張られていった。

ああ 大半はゴミ

漫画が棚から溢れている

全然 片付かない

そろそろ 5時になるわ


片付けが終わらないっ!サビ

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