言っても言っても分かりません
ふーはーはー。私は疲れたぞ。
三連休バイトだったよ。全部超勤だったよ
はっはっハァ
気を取り直してえーき様を赤くしましょう。うん。それがいい。
「ということです。お分かりいただけましたか?」
ここは変わらず執務室。
私の話が長かったせいか、小町は途中で寝てしまった。私自身も少し長かったかな?と思っているため、少しだけ丁寧に聞いてみる。
だが肝心の楽冶は
「……zzz。ん?終わったか?」
「……あなた。寝ていたでしょう」
「まさかそんな訳ないじゃないですかー。何を言っておるのですかね閻魔様は」
絶対寝ていたあげく嘘まで言ってきた。
これは絶対に許すことができません。もう少しお話する必要がありますね。
……の前に
「小町!いい加減起きなさい!」
「ひゃん!四季様!?いったい何ですか!?」
「何ですか?じゃありませんよ!本来は仕事の時間でしょう。早く戻りなさい」
「……どうせ今日も暇ですよ」
「何か言いましたか?」
「イエ。ナンデモナイデス。イッテキマス」
少しだけ笑顔で言ってみたら何かを感じたらしく、小町は何か変なしゃべり方になって仕事場へ戻っていった。
これでとりあえず気兼ねなく楽冶にお説ゴホン。ありがたいお言葉を送ることができますね。
「さて楽冶」
「ん?何だ?」
「今から嫌でも私の気持ちが伝わるように話したいと思います。心して聞いてください」
「え……まだ説教続くのか?」
「お説教ではありません。閻魔からのありがたいお話です」
「だからそれが説教だと「何か?」……いや別にいいけどよ」
楽冶は溜息を吐くと聞く体勢になった。うむ。いい心構えです。小町もこれくらい真面目だったらいいんですが……いや。楽冶もさっきは同じように寝てましたね。小町と同じ体質かもしれません。
「という訳で邪魔者はいなくなりましたので思いっきりやらせていただきます」
「自分の部下を邪魔者扱いするなよ……それにさっきも思いっきりやってただろ」
ぐっ……寝ていたくせに中々鋭い……本当は起きていたんじゃないでしょうか。
そんな疑問を余所に、私は再度楽冶に色々言うことにした。
「分かりましたか!!!」
「おお。終わったか」
「もう!真面目に聞いてくださいよ!真面目に言ってる私がバカみたいじゃないですか!」
「むしろ俺を怒ることが間違っている!」
「いい加減にしなさい!」
どんな自慢をしているんだコイツは!さっきから何を言ってもはぐらかされ、流され、スルーされてしまう。
いい加減許さない。そう思って私は次に何を言ってやろうかと思って腕を組んで考える。うむむ……
そうすると眉間に何かが当たった感触が。思わず目を開けてみると、楽冶が私の眉間を人差し指で触っていた。
「……何ですかいきなり」
「眉間に皺がよってるぞ。今からそんなに皺よせてたら将来いつもよってる状態になるぞ?」
「誰が原因で眉間に皺がよっているか分かってますか?」
「小町……と俺」
「まあ理解しているなら許してあげましょう……って理解しているなら言うことを聞きなさい!」
「どうどう」
「馬じゃありませんよ私は!」
ふかー!と私は猫のように楽冶につっかかる。
眉間に皺?いいですよ。私は閻魔ですからね。変な顔になってしまっても仕事が忙しくて、気にかけている暇はありませんよ。
「おいおい。仮にも女性だろ?」
「仮じゃありません。女性です。ですが別に私に言い寄ってくるような輩はいませんから気にしませんよ」
「勿体ないな。可愛い顔してるのにお前……」
「ぶっ!!!」
思わず吹いてしまった。おかしいという意味ではなくて、言われたことが恥ずかしすぎて。
「他の人なら「え?あの。もう一回言ってくれませんか?聞き違いかもしれないんで」とか言うかもしれませんが、私は一回聞いたら分かります。
目の前の人間が何をトチ狂ったか私のことを……かっ可愛いなどと!まったく一体何を言いたいのか私には理解できません!」
「あのなお前……全部声になってるぞ?」
「え?」
「何を動揺したのか知らんが……顔をそんなに真っ赤にして……しかも『私は一回聞いたら分かります』とか言って最後に『まったく一体何を言いたいのか理解できません!』て……分かってねえじゃん」
「な、ななな!口にでてました!?」
「でてたでてた」
「はっ……恥ずかしい〜!!!一体私は何をしているのですか!?自爆じゃないですか!それに閻魔なのに矛盾したことを言ってしまって……「おい映姫……また声になってるぞ?」……え?」
また……声になってる?
ということはもしかして
「恥ずかしい〜!!!も聞いてましたか?」
「何でそこだけ冷静なのかは知らんが。声にでてたんだから聞こえたわ」
「ああもう!私は「はいストップ。声。声」……」
ああもう!私は本当に何をしているのですか!
これ程恥をかかされるとは……もう、もう
「責任をとってもらうしかないじゃないですか!」
「声」
あ……もうこうなったら仕方がない。手段は一つ!
「もうでていってください!あなたに用はありません!」
「何という言い草!とても閻魔とは思えない!」
「うるさいです!もう帰りなさい!今回は特別にお咎めなしです!」
「私情を持ち込んでお咎めなしとか、それこそ閻魔とは(バシュッ)おおう!?」
中々帰らない楽冶に向かって弾幕を放つ。
帰れ!帰れ!と思いながら撃っているが、間違いなく私の顔は赤い。これ以上赤くなる前に、これ以上赤い顔を見られる前に返さなければ!
「うおお〜!ごふぁっ!」
「きゃふっ!楽冶?いきなりどうして……」
「映姫が本気で怒った逃げるぞ!」
「えええ〜!」
ドタドタドタと走って行く音がする。まあ小町と会ったならば無事に帰ることができるだろう。
そう思って私は執務室にとりあえず鍵をかけた。とりあえず顔の赤いのがとれるまで……
「あんなこと言われたのが初めてだなんて……小町にも言えませんよ」
自爆癖。どこの○マインですか。
まあ眉間に皺はよっちゃうでしょうねえ…頑張れえーき様




