傍観者から乱入者
ちょまっ
こまっちゃん真っ赤2回目
小町が林檎を手に入れて、紫からの手紙を読んでいる。
その後に小町が何か言ったのだが、何て言ったのか分からない。
それが四季映姫は気に入らなかったようで
「八雲紫。声が聞こえません。聞こえるようにしてください」
「無理よ」
「あなたの能力ならできるはずです」
「……しょうがないわねえ」
さすがの紫も四季映姫からのありがたいお言葉(という名の説教)は嫌だったらしく、素直に従うようだ。
紫が隙間を開く時と同じように手を動かすと、スキマの中の音声が聞き取れるようになった。
といっても今小町は特に何も言っておらず、楽冶の肩を揺さぶっているだけだ。そしてその後に箱をひっくり返す。
「何してるんだ?」
「楽冶が起きないから何かないか探してるんでしょ。分かりなさいよ」
「私なら無理矢理食べさせるからなあ……」
いかにも魔理沙らしい答えだが、死にそうな相手に林檎をそのまま食べさせるのはオススメしない。しかも寝ているのだから。
小町が何もなかったのか落胆している様子を見せる……と。小町が「あれ?」と呟いた。
どうやらさっきの手紙をもう一回読んでいるようだ。小町は十秒と少しかけて読み終わったのか、急に「ええええええ!?」と声を荒げ、顔を真っ赤にした。
「ちょっと紫。何て書いてたのよ」
「秘密よ秘密」
「ダメです。早く教えなさい」
「まあまあ。すぐ分かるから。別に変なことは書いてないから安心して頂戴?」
そう言うと紫は、もう話さない。という意見表示なのか、スキマの方を向いた。
「ななな!?何を書いているんだコイツは!?口移しなんてできる訳がないだろうに!!!」
途端に小町の言った言葉を聞いて、三人が一斉に紫の方を向く。いや、向くというよりは睨みつける。と言った方が正しいかもしれない。
とりあえず霊夢はお札を出しそうで、魔理沙は八卦炉を取り出しそうで、四季映姫は職権を乱用しそうであった。
「あら?どうしたの貴方たち」
「どうしたもこうしたも……あんた一体何書いてんのよ!」
「あの死神が言った通りよ」
「その内容がおかしいって言ってんだよ!」
「言っておくけど止めるのは簡単よ?スキマへ飛び込めばいいだけだから」
「では何故。そうしないのですか?」
「だって……ギリギリで止めてあげたほうが面白いじゃない」
うわあ……と三人は同時に思った。
だが紫にも止める気があると分かったからなのか、四人は仲良く傍観していた。
小町が頭をグシャグシャした後にブツブツ呟いているのを見て「何小町可愛い……」と言っていたとかいないとか。
それから少しして、小町が林檎を食べる。緊張のせいか、ゆっくりと噛んでいるのが分かる。そのくらい小町の動きはギクシャクしていた。
「これは……いよいよか?」
魔理沙が呟いたと同時に、小町が顔を楽冶の前に持っていく。
この角度だと見えにくかったので、紫がスキマの位置を変えた。
その一瞬の間にも小町の顔は移動していたが、まだ楽冶との顔の距離は二十センチはあるであろう。
「まだ大丈夫なの?」
「大丈夫よ。一回で成功する人なんていないから」
なんとまあ無責任な発言だろうか。
だが紫の言ったとおり、小町が顔を引いてしまった。そしてまた林檎を齧る。
先ほどよりも噛むスピードが上がっていることから、少し吹っ切れたのかもしれない。
「これは危ないんじゃないですか?」
「そうねえ…次顔を近づけたら止めた方がいいと思うわ……私は止めないけど」
「止めないんですか!?」
四季映姫が驚いて紫を見る。だが紫の顔はニヤニヤと
「だって私には止める理由がないもの。後ろの二人は知らないけど」
四季映姫はバッと後ろを見るが、後ろの二人。霊夢と魔理沙は顔を赤くしてそっぽを向いた。
何のことだか。という感じである。
「ほらほら。あなたの部下が凄いことしてるわよ〜」
またもやバッと振り向く四季映姫。首が疲れそうだ。
スキマを見ると馬乗りになっている小町が。うん。外から見ると結構アレな光景だ。
「きゃー!!!ちょっと紫!早く止めなさいよ!」
「言ったでしょう?私は止めないわ。霊夢が止めればいいじゃない」
「い、いや。私はほら……さ?ま、魔理沙とかどう?」
「わ、私も遠慮しておくぜ?だってほらあれだしさ……分かるだろ?」
この状況で乗り込みに行くのが恥ずかしいのか。それとも、この状況で乗り込むと、楽冶好き度がバレるから行きたくないのか。皆にはバレてると思うから言ってもいいと思うが、そこは彼女たちの心だ。温かい目で見守ってあげることにしよう。
そして小町が目を瞑って顔を下ろす直前。スキマに飛び込んでいった人物が一人。
「小町!いったいこんなところで何をしているんですか!!!」
「ひゃああああ!ししし四季様!?何でこんなところに!?」
小町の上司。四季映姫・ヤマザナドゥであった。
よし次はえーきさま√
……にしたいなあ




