体調が優れないときは…
いやあああ!
昨日投降日だったのにバイトがあああ!
すいません!ホントすいません!
代わりといっては何ですが、こまっちゃーん!らめえええ!
をお楽しみください。
俺はもうゲッソリしていた。どのくらいゲッソリしていたかというと、イカくらいゲッソリしていた。
「それはゲソだろう?ボケる元気があるならまだまだ大丈夫そうだね」
「バカお前。元気がなさすぎて頭が回ってないんだよ……」
小町と三途の川の中洲に漂流してから五日がたった。食い物はないし、三途の川の水を飲む訳にはいかない。つまり飲まず食わずの状態で五日。下手すれば後二日の命かもしれない。
「運がよければ後二日で楽冶の魂を運べるね!」
「運よくないわ!むしろそれが最悪だろうが!」
毎日毎日。小町とは同じ漫才モドキを繰り返している。別に俺がのっている訳ではなくて、小町が日が変わるたびにさっきのようなセリフを言ってくるのだ。ああ縁起が悪い。しかも死神だから本当に性質が悪い。
「くそ……なんで三途の川に中洲なんて存在するんだよ……」
「それはあたいも分からないね。初めてだよこんなの」
中洲がなければ船の上で目が覚めてたかもしれないのに……
過ぎたことを考えても仕方がない。それよりも問題は
「腹……減った……」
やはり空腹である。
俺も小町も特に食べ物を持っていなかったし、小町もあるのが知らなかったような中州に食べ物が落ちてるハズもなく、木もなにも生えておらず、三途の川には魚は泳いでおらず、先ほど言ったように水を飲む訳にもいかない。
……これって絶体絶命じゃなね?いやむしろ絶対絶命じゃね?うん。やっぱり頭がもうヤバいかもしれない。そこ!元からとかゲホッゲホッ
「ちょ!?何いきなり噎せて(むせて)んだい!?」
「ゲホゲホ。いやちょっと読者の方に向かって叫ぼうとしただけだ」
「もう体力ないのに死ぬよ?」
「……お前の本当の意見はどっちだよ」
何最初は「大歓迎だよ!」とか言っておいて、今さら「死ぬよ?」って心配してるんだ?これじゃ小町がどっちを望んでいるか分からないじゃないか。
まあ「大歓迎だよ!」になる気はないけれども。
「いやあ。やっぱり目の前で知人が死ぬのは見たくないからね」
そりゃそうだ。見たいとか言うやつは即座に永遠亭に行くことをオススメする。そのまま永琳の新薬の餌食にでもなればいい。下手したら自分が死ぬぞ。
あー。くっそ……頭が回らねえ……
「ふふふふふふ……」
「いや……何笑ってんのさ」
笑いたくもなるわ!結局あれから二日。計一週間何も食べてないんですけど!
自分の限界が結構分かるんだけどこれ。あとどのくらいで死にそう。みたいな。
一週間前から流れのまったく変わらない川を見て、もうこの状態なら水飲んでもし死んでも一緒じゃね?とか思ってしまうが、もし飲んだ後に死んだ場合。
自由人の楽冶 三途の川の水を飲んで死亡!
という見出しが新聞の一面に書かれそうなので断じて飲まない。
「だんだん頭の中がおかしくなってるね……」
「バカお前。これくらいは元々だろうが。お前の頭がおかしいんじゃないか?」
「何て言い草……それだけ言えれば飢えてもやっぱり死なないんじゃないかい?」
いや、死にそうなんだって……自分で分かるんだもん本当。
そうこうしてる内に割と身体は限界なのか。
だがこのダルさはまだ睡眠だな。よかった。とか思いながら、俺の目は閉じられた。
楽冶が目を閉じる。
「楽冶!?大丈夫かい!?」
最初にあんなことを言っていてもやはり死ぬのは頂けない。
というか、もし死んだらあたいも殺されそうな気がするので、結構必死になる。
「何だ……寝てるだけか。ふう」
だがまだ安心できない。このまま目を覚まさないとも限らないのだから。
どうすれば楽冶は助かるのか。助けを呼ぶ手段はないので、本当に待つしかできない。
船が残っていれば、簡単に解決するのだけれど……
自分が何もできないことに、あたいは唇をかむ。
その瞬間 コトン という音が後ろからしたので振り返ってみると……
「何だい?あれは……」
小さい木の箱が置かれていた。
本当は怪しまなければならないだろうが、状況が状況なだけに、楽冶を助けれるんじゃないかと思い箱を開ける。
その中には
「りんご?」
りんごが数個入っていた。
「いったい誰が……?」
そう思っていると、下の方に紙が入っていることに気が付いた。
「何何?『ピンチなあなたたちの為に林檎を送るわ。楽冶はまだ生きてるから助けてあげてね。 紫』……」
あのスキマ妖怪……ここまでするなら助けてくれればいいのに。
そう思いながらも真っ赤なりんごを掴み、楽冶の元へ持っていく。
先ほどまではよく見ることができなかったが、寝ている今は楽冶の顔をしっかりとみることができた。頬がこけ、顔色の悪い楽冶は本当に死にそうに見える。
「今食べさせてあげるからね。楽冶」
まずは楽冶を起こすことにしたのだが、やはり体調が優れない為か、うめき声をあげるだけで起きることはなかった。
折角りんごを貰ったのだから……食べさせておかないと、どんな仕打ちを受けるか分からないし。
しかしこれでは食べてもらうことができない。あたいの中に焦りが生まれてくる。
どうすればいい。どうすればいい。どうすればいい。頭の中がいっぱいになる。
あたいは他に何か入ってないか、箱をひっくり返す。けれど中身はりんごと紙だけで、この状況を覆すようなものはでてこなかった。
「……あれ?」
そんなあたいが見つけたのは、先ほどスキマ妖怪がメッセージを書いていた紙。その裏にも何か書いてあるのを見つけた。
「ええと……『P.S どうせ楽冶は食べる元気なんてないんだから口移しでもなんでもしちゃいなさい!皆でスキマを使って見てるから』ええええええ!?」
頭が爆発したようだった。
「ななな!?何を書いているんだコイツは!?口移しなんてできる訳がないだろうに!
!!」
楽冶の隣にしゃがみ込んで、頭を掻き毟るように手を動かす。その時に感じた痛みのお陰で、正気に戻ることが
「そ、そうか。でもこれなら不可抗力……そう仕方がないんだ。楽冶の体調が優れないから口移しするだけで、べっ別にファーストキいやいやいや。それを考えちゃダメだ。でもあのスキマ妖怪もいいって言ってるんだしやっぱり口移しをやるしか……」
できたのかさえ自分じゃ分からない。
けれど衰弱状態の楽冶を見て決心した。
「スーハー……スー…ハー……」
深呼吸をしたあとにりんごを食べる。
できるだけ意識しないようにしながら噛む。シャク。シャク。シャク。りんごを噛む音だけしか聞こえず、その時間はとても長いように思えた。
すりおろした時とほぼ同じに状態になったので、楽冶の方を向く。
緊張して緊張して顔が赤くなり止まる。ここから先に顔が行かず、あたいは唾を飲み込んだ。
「(ゴクッ)……あ」
そうすれば勿論りんごも飲み込んでしまう。
何をしているんだあたいは……もう一回りんごを齧って噛む。シャクシャクシャク。
二回目だからか、先ほどよりはスムーズに動作を行なえた。
顔を近づけるが、先ほどと同じ距離で止まってしまう。また、横からしている為か中々位置を合わせづらかった。
仕方がないので楽冶に馬乗りになる。これなら目を合わせれば口ともほぼ合うのでやりやすい。
心臓がドクンドクンではなく、バックンバックンいっている。顔が茹だっている。頭が沸騰している。
顔が一ミリでも近づく度に、身体すべての温度が上がっている気がした。
とても恥ずかしいが、楽冶を助けるには仕方がない!
そう決めつけてあたいは
「んっ」
狙いを定めると、目を瞑って顔を下ろした。
こまっちゃーん!らめえええ!!!
楽冶なんかより俺と(ry
って思った人挙手すればいいと思うよ!




