油断したら負け
本編に戻りまーす。
最後は…想像したら割と怖いかもw
迷いの竹林と我が家は近いため、のんびりと歩いて帰る。
てゐトラップのありそうなところは、回避しないといけないから面倒だが……
ふらふら〜っと。ここどこだ〜?
とか思いながら歩いていくと、着いた場所は永遠亭。そういえば俺がここで迷うと何故かここに着くんだったな……
今永遠亭に入ると、五体満足で出れる気がしないので……おお。いたいた。
「おーい。そこのイナバ!」
「? わたしですか?あなたはだれですか?」
「いやお前とは話したことあるからな?イナバ178」
「え?あー……あなたでしたか!ええっと。らく。らく……」
頑張れイナバ。お前たちの記憶能力があまり良くないのは知っているが、忘れられていたらやはり何か悲しいからな。
因みにイナバの容姿はてゐのようにピンクの服ではなく、白い服装をしている。
また。てゐより少し耳が短い。そして178っていうのは番号だ。ここには300匹ぐらいイナバがいるからな。あと、少しバカっぽい。
そんなこというな?何となくだよ。だって話し方全部ひらがなだろ?
「らく……らくやさんでしたっけ?」
「おー。正解だ。よく分かったな」
「いえいえ。あなたがいたときは、ここがさわがしかったのでよくおぼえていますよ。それでどうしましたか?」
「てゐを呼んできてくれないか?迷った」
「ええー。てゐさまですか……」
「ほら人参」
どこから取り出したかとか、聞くのは野暮だぞ?
「(パシッ。はむはむ)わかりまひた。よんできまひゅね」
「食べながら話すな。まあいい。頼んだぞ」
「はい」
「あ。あと他の奴らにはバレないようにしてくれ」
「どりょくしまふ。けふっ」
食うの早えな。おい。
「やっほー楽冶。成功したようだね」
「おかげさまでな」
「それで何の用ウサ?」
「迷ったから出してくれ」
「……飛べばいいじゃん」
「歩きたい気分なんだよ」
永遠亭からでてきたてゐと軽口を叩きながらも歩いていく。
何だかんだ案内してくれるから、コイツも人……妖怪がいいよな。
歩いても歩いても竹しかない景色に飽きたのか、てゐが話しかけてくる。まあ俺も飽きてきてたから丁度いい。
「それにしても楽冶。結構やらかしたようだね?」
「そうか?当然の報いだと思うけどな」
「ウッサッサ。まあ三人とも顔を赤くして帰ってきた時はビックリしたウサ」
「心配するな。お前と同じくらいのことしかしてないぞ」
「思い出させないでよ……」
顔を赤くしてしまったてゐは、下を向きながら歩く。
それでも方向を変えている気がするのは、さすがというしかないのかもしれない。
てゐが下を向きだして、多分二十分くらいたっただろうか、やっと竹林の奥に光が見えた。
おそらくあれが出口であろう。てゐに聞いたら確実だろうと思うので、一応聞いてみる。
「てゐ。あれが出口でいいのか?」
「そうウサ」
どうやら正解だったらしい。
もう少しで別れると思うと、やはり寂しいという気持ちが湧いてくる。だからてゐの少し後ろにいた俺は、てゐの真横に並ぶことにした。
「ウサ?」
「特に理由はねえよ」
不思議そうに見てくるてゐに一言かけて、そのまま歩く。
あと五十メートル程で完全に竹林から出るだろう。小さいてゐに早さを合わせているのでそれ程早くはないが、それでも出口は近付く。
そしてもう出る!という瞬間
ガササッ!
「…………」
「ウサアッ!?」
俺は逆さまに吊りあげられた。てゐと一緒に。
「楽冶!?何するウサ!」
「こっちのセリフだろうがそれは!てめえ最後の最後にまで罠しかけやがって!」
「き、気付いてたウサか……」
「当たり前だ。最後の最後まで気を緩めた方の負けだろうが」
まあこの会話を聞いてれば分かると思うが、てゐの罠で逆さまに吊りあげられたのだ。ワザと。
てゐの横に並んだ本当の理由は、俺が吊り上げられる瞬間にてゐを掴む為だ。
寂しかったんじゃないかって?「敵を騙すにはまず読者から」っていう言葉を知らないのか?まあ知らないよな。俺が今考えついたし。
「それで私をどうするウサ?捕まえたからって、別にどうしようもないでしょ?」
「別に……罠をとれとか言わねえよ。ちょっとお仕置きしようかと思ってな……」
「……お仕置き?」
てゐの疑問を余所に、俺はてゐの足を掴むと逆さに引っくり返し手をゆっくり伸ばした。
「ウサ?」
「よし。顔は当たらないな」
予想と同じくらい、てゐの顔と地面との距離がある。といっても十センチもないけどな。
それを確認した俺は
「よいしょっ!」
体を振り子のように揺らした。
最初はゆっくりなので特に何も起こらないが、スピードがでてくると状況が変わってくる。
「ウサアッ!」
「ウサッ!?」
「ウサアアア!!!」
以上。てゐの鳴き声。
だってそれなりのスピードで地面スレスレを顔が通過するんだぜ?多分めちゃくちゃ怖いと思うぞ?
あ。やべ。若干手汗で滑る。
「ウサアアアアアアア!?」
「すまん。滑った」
地面との距離がさらに縮まったてゐの絶叫が大きくなる。
うわー。楽しいー。よい子はマネしないようにね!
と。調子に乗った俺は、てゐの体を揺らしてみたりする。
「ホレホレ」
「ウサッ!ウサッ!ウサッ!ウサッ!ウサッ!」
てゐの絶叫が、さらに大きくなった。
とまあ十五分くらいで勘弁してやった。理由としては、俺の頭に血が上ってきたからである。てゐを許してやった訳ではない。
だがてゐの顔を見たら、涙目を通り越して生気が抜けた表情をしていたので、そこでやめてよかったと思う。
何とかてゐを復活させて永遠亭に帰せたので、俺はやっと我が家に辿りつくことができた。
だけどなあ……
「妹紅と来た時にも感じたけど……これは怒ってるよなあ……」
禍々しい妖気を目の前に、中々家に入れない俺であった。
最近ちゃんとした後書き書いてないな…
あ。金がない←




