童心小楽冶の家事スキル
タイピングが進まぬぞ!
困った時の家事スキル
楽冶の額に乗せているタオルを、何回変えたのか。
鈴仙自身が分からなくなってきたところで、楽冶は声をあげた。
「……う」
その声にビクッと反応した鈴仙は、また寝そうになっていた目を見開いて、楽冶に近づいた。
「楽冶さん」
声を掛けると、今度は楽冶がピクッと動く。
布団からでてきた手を握り、鈴仙は小さく呼びかけ続けた。
「うう……」
「楽冶さん!楽冶さん!」
十回か二十回か。五十回かもしれない。それ程の回数呼びかけたときに、楽冶は目を覚ました。
「楽冶さん!起きましたか!よかった……」
「……鈴仙……お姉ちゃん?」
「そうです。鈴仙お姉ちゃんですよ~」
いつもやられているからか、寝ぼけ眼の楽冶が可愛かったのか、鈴仙は、楽冶の頭をなでた。
楽冶はくすぐったそうにした後
「鈴仙お姉ちゃん。ここどこ?」
「ここはね。私の部屋の隣よ?どうしたの?」
「うん。さっきまでは永琳お姉さんの部屋にいた気がして……」
そう言うと楽冶は考え出した。
だが悲しい事に、その問題の答えは、悲しい結末しか待っていない。
それを知っている鈴仙は、全力でその考えをやめさせ、嘘の答えを教える。
「楽冶はね。師匠の部屋にいたけれど、疲れて寝ちゃったの。座ったまま寝てたらきついだろうから、私がここまで運んできたの」
「そうなの?」
「うん。まだきつかったら寝てもいいよ?」
「ありがとう鈴仙お姉ちゃん!でももう大丈夫だよ!」
楽冶は布団から出ると、立ち上がり
「それより鈴仙お姉ちゃんと何かしたいな!」
「え!?そ、そう?」
「うん!」
満面の笑顔で、鈴仙に笑いかける楽冶。
可愛すぎて、赤くなりながら、鈴仙は悶える。
「(うう……可愛い)」
「……ダメ?」
「ううん!ダメじゃないよ!じゃあ一緒に何かやろっか!」
鈴仙は考えた。
だが、特にやることが思いつかない。
今日は薬販売の日ではないし、食材を買いに行く予定も無い。
ならば他に何があるのか。
「(うーん……この後家事もしなくちゃいけないし……ん?家事?)」
大きい頃の楽冶は、家事スキルがよかったことを思い出す。
そして、楽冶と一緒に何をするか決まった。
「じゃあ……一緒に料理しよっか」
「料理?」
「うん。楽冶とてゐが取ってきた筍を料理しよう?自分で作って食べると美味しいし、料理を作るのは楽しいよ?」
「じゃあ作ってみる!」
小さい楽冶に、どれほどの家事スキルがあるのか。
鈴仙はそれを考えながら、楽冶と一緒に台所へと向かった。
「ここはこうやるのよ?」
「こう?」
「そうそう。楽冶はセンスあるわねえ……(なでなで)」
「えへへ。体が何故か動くだけなんだけどね」
大きかった時に、家事全般を得意としていた為か、楽冶の成長ぶりは凄かった。
最初こそ、卵を割った際に、両手でやっても殻が入ってしまったが、すでに片手一個ずつ割れるようになっていた。
つまり、最初は分からないが、鈴仙が教えて少し分かれば、大人の際の家事スキルを殆ど取り戻してしまうのである。
そして……鈴仙が教えれる事は、あまり無かった。
「(あれ?いつの間にか一緒に三品ぐらい作ってる……もしかして、私ってもう出番なし?)」
鈴仙は落ち込んだ。それはもう、もの凄く。
ズーン…… という効果音が聞こえてきそうである。
「鈴仙お姉ちゃん!」
「……ん?なあに?」
「お皿取って!お皿!」
「あ。うん。ちょっと待ってね」
台の上に乗れば、料理は何とかなるものの、食器棚は上に長いので、楽冶には届かなかった。
ただ、それだけの理由で、鈴仙を呼んだのだが、鈴仙は頼りにされたのが嬉しかったようで。
「これとこれとこれでいいかな?」
「うん。ありがとう!」
すぐに食器を持ってきた。
ここで気付いたのは、今の楽冶にはできないことを、やってあげればいいのだ。ということである。
「楽冶。危ないから鍋は持っててあげる」
皿に移すときに、重い鍋を持ってあげたり。
「じゃあ。一回降りて。うん。じゃあこれを持っていってね」
「うん!」
皿を持たせて台を降りると危ないので、降ろしてから皿を持たせたり。
鈴仙全部やってしまわないのは、子どもの心を多少は分かっているからだろうか。
「じゃあ。皆を呼びに行こう?」
「うん!一緒に行こう!鈴仙お姉ちゃん!」
可愛かったので、抱っこしながら、鈴仙と楽冶は皆を呼びに向かった。
最近紅魔郷やってないです。
フランちゃんクリアまだあ?ww




