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3-11 グレイスside やっと見つけた運命の女性


あの女性について、何の情報もつかめないままいたある日。


屋敷でパーティーが開かれるから参加するように父上に言われ、特に何も考えずに参加した。


貴族が集まるパーティー。もしかしたら、何か手掛かりが見つかるかもしれない。


そう一縷の望みをかけてポケットにあの刺繍入りのハンカチを入れて参加した。


今日は、商会から仕入れた新しい”ジャム”のお披露目という趣向があった。何でも、イチゴやブルーベリーなどの果実を甘く煮詰めたものらしい。辺りを見渡しても、あの女性らしき人影は見当たらない。こうなれば、新商品のジャムでも試食してみるしかない。


そう思って試食し始めた。屋敷のメイドからジャムの乗ったクラッカーをもらって食べてみる。


「こちらは、レモンです。少し酸味もあって、男性には人気です。」


それにしても、売り子のように次々と熱心に紹介してくるメイドだな。


「確かに甘すぎなくておいしいね。他にはどんなジャムがあるんだい?」


私は、そのメイドに他のジャムについて尋ねてみた。


「ありがとうございます。それならば、こちらのオレンジのジャムはいかがですか?」


そのメイドは、器用にジャムをクラッカーにのせて渡してくる。ふと、見てみると...!!


「あれ?その刺繍。もしかして...」


私が気付いて、声をかけた瞬間ーーー


そのメイドは、ジャム叔父さん?とかに呼ばれてあっという間に姿を消してしまった。


でも、私には分かった。


あの走り方はーーー


あの初めて会った雨の日に走り去った彼女の姿に重なった。


これが、あの女性に会った五回目だった。



それから、我が家のメイドかもしれないと思って父上に聞いてみる。

しかし、我が家のメイドをいくら探してもそんな刺繍のエプロンをしている人はいなかった。


もしかしたら、ジャムを紹介したランバート商会の関係者かもしれない。


そこで、父上にさらにお願いして探してもらうことにした。


そうしているうちに奇跡が起きる。


父上たちにもらったランバート商会の新商品のポプリ。


最初は何も言われず、枕元に置くように言われた。


しかし、ランバート商会のポプリ。どうしても気になってよく見てみた。


ーーーそしたら、なんと。私がずっと探していた野菜の刺繍がついている。


これはもう、運命だと感じた!あとは、あの女性が見つかることを祈るだけだ。

あの女性にだいぶ近づいている。お願いだ!



あの女性の名前が分かったと父上から聞いた。


その女性は、アリシア嬢。グランベル伯爵家のご息女だ。しかも、驚いたことに、先日のジャムもポプリもアリシア嬢が領地のために考え出したというのだ。

ああ!本当に領地思いの素敵な令嬢だ。

私の中でのアリシア嬢の素晴らしさがさらに上がっていった。


そして、ランバート商会を介して、なんと我がエーレンベルク家と業務提携をしていくというのだ。これからも家同士のつながりは強固となっていく。


これも、”恋のポプリ”が取り持ってくれた縁だろうか。


エーレンベルク家で開かれる試食会にアリシア嬢が来てくれることになった。


私は、緊張しながらも喜びを隠せなかった。


父上、母上にはとっくに私の気持ちがばれていて、「しっかりね。」なんてよく分からない激励ももらった。


しかし、そんな決意はアリシア嬢を見た途端...すっかり忘れて動けなくなってしまった。


う、美しすぎる。会いたいとずっと願ってきたからか?ドレスを着た姿が新鮮だった。何より、本当に会えたのだろうか。幻ではないだろうか?天使のようだ。


混乱しているうちに、母上に挨拶するように声をかけられてしまった。


その後の挨拶や試食会はまるで夢を見ているかのようだった。


もう、試食会が終わってしまう...そう思った時、父上が素晴らしい提案をしてくれた。


私は、喜んでアリシア嬢を庭園に誘った。そして、話をする時間をもらった。待ちに待った時間だ。


私は、喜びを隠しながら、慎重に野菜の刺繍をしたのがアリシア嬢か、あの時のメイドがアリシア嬢かしっかりと確認した。


彼女の方からも、刺繍のハンカチを渡した相手が本当に私なのか、刺繍の柄についてのテストを受けた。


しかし、私が間違えるはずがない。


毎日のように、君に会える日を願って見つめていたのだから...


ーーージャガイモ、トマト、ピーマン...


あ~間違えずに言えてよかった!


あまり好きでなかった野菜たちが、好きに変わっていくから不思議だ。


しかし、時間は残酷だ。


楽しい時間は、あまりにも早く過ぎてしまう。



今までにどのように会っていたのか説明することもできずに、帰る時間となってしまった。



しかし、私には大きな収穫があった。


アリシア嬢が婚約者と婚約を解消していたのだ。


それも、嬉しそうに「自由の身になった!」と言っていた。



これで、私は正式にアリシア嬢に婚約を申し込める。


本当にうれしい。


絶対にあきらめるつもりはないけど、まずは打診という形にして、ゆっくり話したい。



別れたばかりだというのに、もう会って話がしたくなっている。



”恋のポプリ”大切にしよう。



野菜の刺繍の入ったハンカチのほかに、さらに大切なものが増えた。


お読みいただき、ありがとうございます。

とうとう明日完結となります。

よろしくお願いいたします。


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