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次の課題のためにも入学してから見つけた
1番静かな場所で、
1番南側で、
1番空がきれいに見える
教室へ向かった。
いつもは、そんな外れの所に人なんていないのに
その日はすでに先客がいた。
真っ黒なTシャツに・・・絵の具だろうか?
色が飛び散っていて、髪もぼさっとしていていかにも‘美大生’という感じの男がキャンパスに向かっていた。
俺はとりあえず、そいつと一番離れた所で背を向けて座った。
そいつは俺が入ってきた事も知らないようで、ただひたすらキャンパスに向かっている。
キャンパスを広げて俺は、空を見つめた。
今日も
でっかく広がっている。
俺の事なんか
知らずに広がっている。




