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古本屋の兄さん

雄一郎兄さんのお家、古本屋さんだったんだ。


素直な感想がそれだった。


私にとっては、商店街で遊んでくれるお兄ちゃん、という認識だったので家なんて知らなかった。


雄一郎兄さん、久しぶりだな。


雄一郎兄さんはポチを土間に放って


私を奥の多分自室と思われるところに案内する。


「タオル何枚いる?」


そう兄さんが聞いてきた。


「あ、えっと…出来れば2枚欲しいです」


「わかったよ」


タオルを兄さんから受け取って、


自分で体を拭きながら


何か温かい飲み物を用意してくれている兄さんを見る。


あ、タバコの灰皿ある。


だからこんなにこの部屋、タバコの匂いするんだ。


てか、兄さん何年ぶりだろう…。


私が9歳くらいの時に確か初めて会って


その時兄さんは多分15歳で


高校卒業した後は兄さん上京しちゃったから…。


ほぼ、9年ぶり、かな。


高校生だった爽やかな兄さんと違って


今の大人の兄さんは、なんだか


大人っぽい。違う人みたい。


てか、私は最初声聞くまで分からなかったのに


兄さんは分かるんだ。


私、全然前と変わってないのかな。


「ごめんね、お客さん用のお茶と湯呑みが無くてね…」


兄さんは申し訳なさそな顔をしながら


温かいお茶をくれた。


私はお茶の温かさが指先に伝わって

兄さんの変わらない優しさも伝わってきた。


隣に座って一緒にお茶を飲む。


「温かい」


そう呟く私を兄さんは黙って微笑んでる。


「今、香奈ちゃんは大学生?」


そう兄さんが聞いてきた。


「うん、そうだよ


駅近くの大学に家からバス使って通ってるよ」


「ええ、そうなの?」


「そうだよ」


「俺、つい3ヶ月前くらいにここに帰ってきたから、全然知らなかったなあ」


「私も、全然知らなかった」


「まあ俺基本的に店の中いるからね」


雄一郎兄さんは遠くの方を見ながら


「今は、この店継いでるんだ」


と口にした。


「そうなんだ」


「香奈ちゃんはびっくりしてないの?俺は久しぶりに会ったからびっくりしたんだけどね」


そう言いながらお茶を飲む動作はどこか色気がある。


「びっくりしたよ、だって、後に会った時と全然印象変わってるし、大人っぽくなってるし」


「はは、そうだよね」


「…結構雄一郎兄さんはすぐ私の事わかったけど、私はそんなに変わってない?」


「ううん、そんなことないよ

すっごく大人っぽくなってて綺麗だよね」


私は顔が少し赤くなる。


「そ、そんな冗談上手くなったんだね」


「冗談じゃないよ、俺正直だからね」


そんなこと、言わないでよ。


諦めた初恋が、戻っきちゃうじゃん。

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