美しすぎる宮廷騎士団長ママ友の仁義なき闘い(ON観覧車)
美しすぎる宮廷騎士団長と噂になっている二人の女性がいる。
第二師団長 カタリナ・フィオリー(35歳)
第四師団長 テレーザ・ロヴィーノ(35歳)
同い年の二人は士官学校時代からのライバル。
そして親友――、ではないけれどママ友。
◇
カタリナは息子と共に馬車を降りた。
「ママ。遊園地、楽しみだね」
もう。この子ってば。
「ルーク。ママではなく母上と呼びなさい。コニー君に比べて礼儀の教育がなっていないと思われかねないじゃない。テレーザに」
息子のルークは7歳。今年から士官学校少年部に通い始めた。
コニーという同級生がいて、母親があのテレーザ。
今日は息子を連れて一緒に遊園地に行くことになったけれど――。
奴にだけは負けてなるものですか。
あら? やってきたわね。
「ごきげんよう。カタリナ様」
「ごきげんよう。テレーザ様」
お互いにドレスの裾を軽く持ち上げて挨拶した。
ギラリと互いに睨み合いながら。
息子たちははしゃいでいるけど。
「わーい。コニー君。何に乗りたい?」
「ルーク君が良ければ観覧車がいいな」
魔力で動く観覧車はこの遊園地の名物。
早速乗って、家族で向かい合う形で座った。
「ルーク君、足が速いそうね。凄いですわ。コニーの方が少し上みたいですけど。クス」
ぐ。テレーザのやつ。
「ですけど――。コニー君は転ぶことが多いとか? 戦場では命取り。騎士の教育としていかがなものかしら?」
「むぐ。剣の腕はコニーの方が上よ。私の教育が良いもの!」
「認められませんわね!」
「決着を付けましょう!」
「望むところ!」
観覧車の扉を開けて二人で屋根に上へ。
お互いに折りたたんだ日傘を構えた。
「きええーい!」
猿叫と共に振り下ろす。
異世界転生してきた薩摩隼人から取り入れた技。
む? テレーザが跳んで躱した?
日傘の柄を上のゴンドラに引っ掛けているわ。
「百裂脚!」
両足の蹴りの連打。
広げた日傘でガード。
さらにテレーザの落下しながらの一撃。
たたんだ傘を受け止めた。
「私のほうが上だと認めなさい! 師団長としても、息子の教育者としても!」
「寝言は寝てお言いなさい! 気絶させてあげるから!」
「カタリナぁ!」
「テレーザぁ!」
観覧車が三周する間、死闘を繰り広げたけれど――。
「喧嘩しているママたち、カッコ悪い」
「うん。僕たちは仲良くしようね」
息子たちがあきれているわ。
なんとか取り繕わなくちゃ。
「「ご覧になりまして? これが最終教育奥義・反面教師ですわ」」
テレーザとハモった。