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なろうラジオ大賞6 応募短編集

美しすぎる宮廷騎士団長ママ友の仁義なき闘い(ON観覧車)

作者: 青帯


 美しすぎる宮廷騎士団長と噂になっている二人の女性がいる。


 第二師団長 カタリナ・フィオリー(35歳)

 第四師団長 テレーザ・ロヴィーノ(35歳)


 同い年の二人は士官学校時代からのライバル。

 そして親友――、ではないけれどママ友。



 カタリナは息子と共に馬車を降りた。


「ママ。遊園地、楽しみだね」


 もう。この子ってば。


「ルーク。ママではなく母上と呼びなさい。コニー君に比べて礼儀の教育がなっていないと思われかねないじゃない。テレーザに」


 息子のルークは7歳。今年から士官学校少年部に通い始めた。

 コニーという同級生がいて、母親があのテレーザ。

 今日は息子を連れて一緒に遊園地に行くことになったけれど――。

 奴にだけは負けてなるものですか。


 あら? やってきたわね。


「ごきげんよう。カタリナ様」


「ごきげんよう。テレーザ様」


 お互いにドレスの裾を軽く持ち上げて挨拶した。

 ギラリと互いに睨み合いながら。


 息子たちははしゃいでいるけど。


「わーい。コニー君。何に乗りたい?」


「ルーク君が良ければ観覧車がいいな」


 魔力で動く観覧車はこの遊園地の名物。

 早速乗って、家族で向かい合う形で座った。


「ルーク君、足が速いそうね。凄いですわ。コニーの方が少し上みたいですけど。クス」


 ぐ。テレーザのやつ。


「ですけど――。コニー君は転ぶことが多いとか? 戦場では命取り。騎士の教育としていかがなものかしら?」


「むぐ。剣の腕はコニーの方が上よ。私の教育が良いもの!」


「認められませんわね!」


「決着を付けましょう!」


「望むところ!」


 観覧車の扉を開けて二人で屋根に上へ。


 お互いに折りたたんだ日傘を構えた。


「きええーい!」


 猿叫(えんきょう)と共に振り下ろす。

 異世界転生してきた薩摩隼人(さつまはやと)から取り入れた技。

 む? テレーザが跳んで(かわ)した?


 日傘の柄を上のゴンドラに引っ掛けているわ。


百裂脚(ひゃくれつきゃく)!」


 両足の蹴りの連打。

 広げた日傘でガード。


 さらにテレーザの落下しながらの一撃。

 たたんだ傘を受け止めた。


「私のほうが上だと認めなさい! 師団長としても、息子の教育者としても!」


「寝言は寝てお言いなさい! 気絶させてあげるから!」


「カタリナぁ!」


「テレーザぁ!」


 観覧車が三周する間、死闘を繰り広げたけれど――。

 

「喧嘩しているママたち、カッコ悪い」


「うん。僕たちは仲良くしようね」


 息子たちがあきれているわ。

 なんとか取り繕わなくちゃ。


「「ご覧になりまして? これが最終教育奥義・反面教師ですわ」」


 テレーザとハモった。

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