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~Hollow Live~  作者: 腐った一味唐辛子
第一章 始まり
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第五話 「YABE」

「獅白ぼたん」

―――ホロライブのメンバーにして、傭兵組織「SSRB」の創設者


約二千年前、ギルドの誕生により、世界は平穏を保っていた。しかし、突如として人語を話す人型の魔物 「魔族」が姿を現し始める。それにつられるように、魔法を己の欲のために悪用するアウトロー達も激増した。


この事態に対応するため、二つの組織が誕生した。

現代では王都直属の騎士団として活躍している

対魔族のスペシャリスト集団 「白銀聖騎士団」


現代ではギルド直属の傭兵組織として活躍している

対人特化の殺し屋集団 「SSRB」


二つの組織は猛威を奮い、魔族達は極寒の北の果てへ逃 と追いやられ、アウトロー達は、順番に住処を潰され、もはや悪事など企てる余裕はなく部屋の隅で震えるだけの生活を余儀なくされた。


この功績を称えられ、白銀聖騎士団の創設者 「白銀ノエル」とSSRBの創設者 「獅白ぼたん」は、英雄として後世に語り継がれることになった…………


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして眼前、その二人の英雄の片割れ 「獅白ぼたん」を名乗る人物が立っている。


この事実に海里(かいり)の頭は混乱に陥る。


――なぜ、千年も前の人物が生きている?


それも美貌と若さを保ったまま。

「神々により不老不死の権能をあたえられた」という御伽噺が真実だったとでも?

それとも、子孫が初代と同じ名前を受け継いでいるのか?


――考えれば、考えるほど分からない。


だが、まずは自己紹介をしなくては……


「は、はじめまして、九条 海里(くじょう かいり)です。」


「カイリちゃんね、よろしく。」


大笑いの余韻を浮かべながら、ぼたんさんがこちらへと手を差し出す。

ありがたい、先程の戦闘の影響もあり、膝に力が入らず立ち上がるのが困難であった。


ぼたんさんの手を取り、ゆっくりと立ち上がる。


「ちょっと〜 わたしも起こしてくださいよ〜」


「はいよぉ〜」


稲裡(いなり)さんも、ぼたんさんに手を掴まれ勢いよく起き上がり、そのままギルドマスターの執務室へと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


執務室の豪華なソファーに座りながら、皆で稲裡さんの

作った緑茶をすする。


「美味しい……」


思わずそう呟いてしまうほど美味。

緑茶にしては苦味渋みがまったく無く、まろやかで甘みがあるこの味……


「玉露!? もしや玉露ですか!?」


「お〜! よく分かりましたねぇ!」


当然。

私の故郷たる「駿河国」は、緑茶の名産国なのだ。

年中温暖で多雨で、お茶を作るのにこれほど適した土地などそうそうないだろう。

だからと言って、別にお茶が好きという訳でもないが、玉露となれば話は変わる。

高級茶ゆえに普段から飲むことは出来ないが、正月に家族全員で集まり大人は酒の代わりに、子供はジュースの代わりに玉露を嗜み、おせちを食べるのが伝統なのだ。


ほんの三ヶ月前に飲んだばかりなのに、まるで久しぶりに飲んだかのような錯覚に襲われ、あっという間に飲み干してしまった。


「おかわり、あるよ?」

稲裡さんはニヤリと笑みを浮かべながら、おかわりを注いでくれた。


「あんたらお茶会しに来たの?」


けたけた笑いながら、ぼたんさんが問いかけてくる。


「ありゃ、そうだった。 実は……」


稲裡さんは、ここに来た理由をツラツラと説明し始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「へぇ〜? まさか、メモリアルライザーを()()()以外で使える人間が居たなんてねぇ……」


「でしょ〜!? わたしびっくりしちゃって……」


「メモリアルライザー」

それが例の魔道具の名前らしい。

にしても、伝説の英雄とこんなに仲睦まじく話してる稲裡さんは、一体何者なんだろう……


「てか、これ特定禁止魔導兵装に登録されてるっしょ?

不味くね?」


「やっぱ不味いよねぇ、どうしよ〜」


そんなことを考えてるうちに、なにやら不穏な空気が漂う。


「評議会のジジババにバレたら、カイリちゃん即監獄行きだよ?」


「そこをギルドマスター様のお力でなんとか……」


「無理だね〜あっちのが権限上だし、なによりあの人たち頭が固いしさ……」


二人揃って、唸りながら何かを考えている。

評議会といえば、国王直属のギルドの管理者達だ。そんな人達に目をつけられたらタダでは済まない。

それに監獄行き!?冗談じゃない。16歳にして前科が着くなんてまっぴらだ。


怯えながら打開策を考えていると、二人が突如手を組みながら同時に言い放つ。


「――もみ消そう」


「できるんですか!?」


私は食いつくように二人へと問いかける。


「むり。現場の残穢でバレちゃう。」


――どっちやねん!!!


心の中で突っ込みを入れ、現実でもそうしようするが、ぼたんさんの言葉には続きがあった。


「だから、本当は免許持ってました〜ってことにする。免許じたいは、ギルドマスターのあたしの権限で付与できるからね。」


「でも……」と言葉を続ける。


「取得試験は受けてもらわないといけないんだよねぇ。あいつら虚言看破のスキル持ってるからさ〜」


―――特定禁止魔導兵装の免許

通称「禁止兵装」の使用許可

それは、冒険者なら誰でも喉から手が出るほど欲しい代物である。

禁止兵装は強力な能力とそれに伴うリスクがある。

故に、厳しい試験を乗り越え、禁止兵装の使用法を頭に叩き込んだ末にようやく免許と適正のある兵装を貰えるのである。


噂では、禁止兵装の試験は「筋骨隆々の屈強な男でも泣きわめくほど過酷」らしい。


つまり、無理。詰んだ。投獄確定。


絶望している私に、ぼたんさんが語りかける。


「本当は、五つの試験を受けないとダメなんだけど、カイリちゃんの場合は一つだけでおっけーだよ。」


――光明

絶望のどん底に陥っていた私に一筋の希望が見える。

一つ、たった一つクリアすれば、投獄を免れる!


「だってカイリちゃん、最後の試験以外は既に合格してるんだもん」


身に覚えがない。

ポカンとしている私に向かって言葉を続ける。


試験内容は

・禁止兵装の所有者からの推薦

・適性検査

・兵装の起動

・魔物の討伐

・アウトローの討伐 である。


推薦は、禁止兵装を持っている白雪 稲裡から貰えるので問題なし。

最後の一つ以外も既に終えているからやらなくてよし。


との事だ。


――稲裡さんの刀、あれ禁止兵装だったのかなぁ……


試験は明日、アウトローの隠れ家に獅白ぼたんが同行して行う。


悪人とはいえ、人を殺さなくてはならない。

果たして私は、試験を突破できるのだろうか……

次回はついにホロメンの戦闘シーンが!?

お楽しみに!

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