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短編とかその他

人類なき世界の動物達

作者: リィズ・ブランディシュカ



 色々な動物達が住む動物の村には、ゾウやサイ。ライオンやキリン。


 ウサギやヒヨコ、シマウマやヒョウなど。


 様々な動物がいます


 そんな動物達は一週間に一度、皆で集まって話し合いを行います。


 それは、動物の村で起きた問題を解決したり、皆が幸せに暮らせるような決め事を作るためです。


 動物達は、そのたびに色々な意見を述べていきます。


 大きな動物でも渡れるように、川と川をつなぐ橋をもっと大きくしたい、とか。


 小さな動物でも、建物の上にすぐ登れるようなしかけを作りたい、とか。


 そのたびに動物の村はよりよくなっていきました。


 しかしそこに、誰も知らない動物の子供がやってきました。


 その動物は、見たことも聞いたこともない動物です。


 早く走る事はできないし、丈夫な爪や牙もない。


 とってもひ弱な動物でした。


 そんな動物が加わる事は初めてだったので、皆は大騒ぎ。


 その動物が生きていくために何が必要なのか、毎日話し合いが行われました。


 動物達の試行錯誤は大変でしたが、その試みの多くは無事成功していきます。


 新しくやってきた動物の子供は、すくすくと成長していきました。


 そしてある日、大人になったその動物は独特な鳴き声で動物達に語り掛けます。


「このまま動物達が成長すると、社会や文明ができるはず。


 けれど、そうなるとたくさんの動物達が知らない場所で色々な事を行うので、大きな問題が起こった時にすぐに解決できなくなるかもしれない。


 それがいやなら、ここで村の成長を止めるべき。


 けれど、それでも豊かになりたい、幸せになりたいなら。


 大きな問題が起こった時のために、覚悟をしておくべき」


 その言葉を聞いた動物達はよく分かりませんでしたが、分からないなりに悩みました。


 色々な動物が話し合って「この話はつまりこういう事ではないか?」と議論重ねました。


 そして話し合いを終えた動物達は、もっと豊かに、幸せになる事を選びました。


 すると、誰も知らない、聞いたこともないその動物は、最後に自分の正体を告げました。


 その動物の正体は「人間」。


 人間は、皆に向けて育ててくれた感謝を告げて、「もう悲劇は見たくない」と言いながら、その村から去っていきました。



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