迫る危機
師長室を出て、2階から地下室を目指そうと階段を目指した。
どこからゾンビが出てくるかわからないこの状況ではいくら警戒しても足りないくらいだ。
慎重に進んでいき、ゾンビに遭遇することなく階段までやってくることができた。
「ここら辺までにはあまりいないみたいだな」
「そうだね。ところでさっきの話なんだけど……ホントに帰れるの?」
「本に書いてあったものが本当なら帰れるはずだ。とにかくあの本の内容を信じるしかないよ」
「……うん、それしか頼れるものがないもんね」
少し不安そうな顔を浮かべながらも割り切っている優香を見て、何としても戻らないといけないんだと改めて思う。
そんな話をしているとき、上の階から何かが倒れるような大きな音が聞こえてきた。
この音に俺はとても嫌な予感がした
あの屋上に設置されていたバリケードが崩れたのではないか?
そうだとする結構な数のゾンビが中に入ってくることになる。
「え、今音なに!?」
「さっき言ってたバリケードが壊されたのかもしれない。急いで行くぞ!」
そう言って俺たちは急いで階段を駆け下りた。
一階に降りたところである異変に気が付いた。
さっきまではあまり聞こえてこなかったゾンビの呻き声がより聞えてくるのだ。
恐らくさっきの音でゾンビたちが動き出してしまったのだろう。
「……まずいな。さっきの音で動きが活発になったのかもしれないな」
「え……ど、どうしよ……」
「急ぐぞ」
今はゾンビを気にしてられない。
急いで地下室に向かわないといけない。
一階の廊下には既にゾンビが数体徘徊しており、無暗に進むことができない。
仕方がない、大回りしてでも待合室に向かうことにした。
しかし、ゾンビたちに俺たちのことを認識されてしまったのか追いかけられていることに気が付いた。
「ま、まずい。追いかけてきてるぞ」
「逃げ切れるかな……」
「逃げ切るしかないぞ。走れ!」
廊下を駆け抜け、待合室に辿り着いた。
待合室にはゾンビの姿がないようで、後ろから迫ってきているのですべてなのかもしれない。
とにかく今は地下室に行くことが最優先。
急いで館内地図を確認し、地下室に行く階段を探した。
「あった、受付の裏の非常用出入口から降りれるみたいだよ」
「ありがとう佐藤さん! 急いでいくよ」
俺たちは階段のある場所めがけて走り出し、すぐに扉を見つけることができた。
階段室に飛び込み、すぐさま扉を閉め難を逃れることができた。




