ワンピース
西暦299X年、ついに人類は最後の一人となった。
ありとあらゆる事象が人類に不利に働いた。
人類が住んでいるこの弓状列島には凶暴な動物が増えすぎた。ちなみに、ラスト100人くらいはみな、動物に食い殺されたといっても過言ではない。
エヌ氏は最後の一人として、何をすべきか考えた。
もはや何もかもが意味を成さない。死を待つまでの間、好きなことをしておくべきだ。
かつてエヌ氏は旅をするのが好きだった。地上にいてはいつ死ぬかわからないため、エヌ氏はありったけの食料を未来船に乗せ、海に出た。ちなみに、ラスト100人〜200人くらいはみな、海に逃げ出して餓死したといっても過言ではない。
特に目的があるわけではないので、エヌ氏はひたすら北へ向かうことにした。
何かを考え始めると、嫌な気持ちが胸に広がってしまう。船酔いとあいまって気持ち悪くなってしまい、何度も嘔吐した。船が北に向かっているかを確認するため、備え付けの方位磁石を見つめ続けることにして、やり過ごした。ちなみに、ラスト200人〜300人くらいはみな、嘔吐死したといっても過言ではない。
ずっと北へ向かっていれば、いつか元の場所に戻れるかもしれない。そうなったら世界一周だ、ワンピースだ、という気持ちだけがエヌ氏を支えていた。ある時期からエヌ氏は、世界一周こそが人類最後の一人として成すべき仕事だと考えるようになっていた。ちなみに、ラスト300人〜400人くらいはみな、世界一周妄想死したといっても過言ではない。
かなりの月日が流れた。船にあった食料はとうに底をつき、エヌ氏はもう3日も何も食べていない状況だった。今日も朝から方位磁石を見つめ、そろそろ自分の死期が近いな等と考えていた。ふとエヌ氏が顔をあげると、遠くのほうにぼんやりと陸地が見えた。ついに元の弓状列島に戻ってきたのだ。さらに近づくと、懐かしい東京タワーもぼんやり見えてきた。ちなみに、ラスト400人〜500人くらいはみな、東京タワー死したといっても過言ではない。
最後の力を振り絞り、陸地にたどり着く前に、エヌ氏は小さな島を発見した。何か食料があるかも知れないと思い、一旦その島にたどり着いたら、なんかマサイ族みたいな奴らが一杯いた。ジャンボ!とか言っていた。その風景を見ながらエヌ氏は力尽き、死に際に青い船を見て呟いた。「だから俺は赤色の方が良かったのに。」




