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なるほど、転校生は可愛いようだ。見知った顔であるが。

昔書いた下書きを発掘してたら、面白い設定が見つかって、今回文章にしてみました。


 夏の暖かい空気を胸いっぱいに吸い込んで、空を見上げれば眩い2つの太陽と真っ白な雲。遥か彼方の大草原の上には数十を超えるドラゴンの群が奇声を上げていた。

 そんな、何気ない雰囲気。

 ああ、やっと、帰ってきたんだなと思った。


 この川も、この木も、この空気も、石畳みを行き交う人の服装、表情、言葉も久しぶりだ。

 なんて懐かしく感じるんだろう。

 あの頃は、この光景があんなにも恋しくて、恋しくて、恋しくて。

 帰りたいと、何度泣きかけたか。

 

 「あ!魚屋のおじさん!久しぶりだな!今日はおじさんとこで、ウナギと、エビ買ってくよ!」と、俺は、頭に鉢巻きをした日に焼けた屈強な男に声をかけた。

 「おお、そうかジャック。昨日も会ったし、昨日も似たようなもの買ってたけどな」

 

 あ、そうか。俺以外の人たちは、昨日から今日になっただけで何も変わりないんだ。

 別に、勇者パーティに入ったり、魔王と激戦を繰り広げたり、国家転覆を図る輩から姫を守ったり、人が踏み入ったことのない秘境で宝探ししたりしてないのか。

 ただ、昨日の夜に寝て、今日の朝に起きた。それだけのことか。


 こことは違う価値観を知らないわけだな。きっと魚屋のおじさんは知らない。

 違う世界ではウナギは空を飛ぶし、火山が噴火すると噴火口からエビが噴出するんだぜ。


 さて、そんなことを考えてる間に、学校に着いた。

 みんなにも懐かしく感じたから、友達全員にギュってして頬擦りして、チューもして、骨の髄まで俺の存在を刻みたいところだが、さすがに引かれちゃうので自重する。

 あ、マイケル(男)いるじゃん。あんなに嫌いだった君ですら、今じゃ好きだ。異世界では毎晩君に会いたかったよ。もう、離れないからね。

 

 教室についてしばらくするとチャイムが鳴ってホームルームが始まる。

 あんなに退屈だった授業ですら、今の俺には楽しくてしょうがない。

 俺は、あの世界とおさらばして、この世界で平穏に暮らすんだ!


 ……そう思っていた。この瞬間まで。


 担任が言った。働き盛りのおじさんだ。


 「今日は、お前らにビックなお知らせがある。……転校生だ」


 教室中がドワッと脇立つ。

 男の子かな女の子かな?、ソワソワする女子たち。

 可愛い子かな?、ワクワクする男子たち。

 金髪美少女キタぁぁぁ!!、叫ぶマイケル。


 「ふふふ、気になるか」ニヤニヤする担任。

 「勿体ぶるなー男ですかー?」こう言った男子。ちなみにこれは転校生が女の子であってほしいが、ここで素直に女の子ですかと聞くと性欲剥き出し感が出るため、あえて男ですかー?と聞いたのだ、ちなみにお前の言葉なんて誰も気にしてないぞ。自意識過剰系ボーイだ。

 「早く言ってよ、せんせー」窓際の女子が言う。興味なさそうに言った。自分より可愛い女子だったらどうしようと、不安な気持ちを押し隠しているのだろうか。大丈夫、お前はクラスで3番目。すでにクラスにお前以上が二人いるぞ。

 「女ぁぁぁっあんんんんのぉぉぉっっっおおおここここここだだだぁぁぁぁぁ!!」生きる汚物ことおれの親友マイケルが叫んだ。誰一人見向きしない。目にも入れない。汚いからね。


 担任が言った「まぁ、もう少し勿体ぶる予定だったんだけど、今回はここら辺にしておこう。先生も話したくてしょうがない。あのな、今回の転校生……マジで可愛い!!」

 「シャアアアアアアアアアアア!!!!!!」男子どもが雄叫びをあげる。正直な子、おれ好きよ。

 女子は、とたんに興味を無くして、クラスの男子を見ては、全くバカばっかりと呆れてた。

 雄叫びを上げず冷静沈着な俺を見習え、男子ども。美少女なんぞ異世界で見飽きたぜ。


 担任は続ける「いや、あのなお前ら。マジだぞ、これは。背の小さい男の子に『可愛いぃ〜』とか言ってるわけじゃないぞ。俺の視界に入った女の子の中ではダントツの……あ、これ以上言うとクラスのガールズ達が怒っちゃいそうだから黙ってよ」

 そうだぞ、先生。教卓の前の上杉さんはお前のこと好きなんやぞ。その子の目の前で他の子が可愛いとか言うなよ。確かに、上杉さん、いい子なんだから。付き合いなよ、先生。風俗ばっか通ってないで。

 

 「よし、じゃあ、転校生の登場だ。入ってくれ」担任が言った。


 すると、廊下の方で小さく声がしたかと思うと、ガラガラとドアを引く音がした。

 そして、一人の少女が不安そうに教室に入ってきた。

 無茶苦茶に可愛かった。何もかもが完璧。

 艶のある肌感、シルクのような銀の髪、肉付きも黄金比、そして何よりもにじみ出るオーラ。

 天性の容姿が素晴らしいとだけでは説明がつかない美しさ。

 彼女の人生が形作ったような、圧倒的な神々しさ。

 ただの、普通の美人とは比べ物にならない。

 表情の1つ1つが、肢体の1ピース1ピースが、彼女が経験したであろう過去、喜びも悲しみも涙も笑顔も、物語っている。そんな、存在感。


 そして、教卓に向かって一歩ずつ歩いてくる。

 一歩歩くたびに男子達は呼吸を忘れたように意識を奪われて、彼女が髪を浮かせるだけで心が躍る。

 教卓に少女がつくまでに、女子までもが惹かれた。

 そうまでする、暴力的な圧倒的な美しさが彼女にはあった。

 ちなみに、マイケルは気絶して夢精していた。よかったよ窓際で。その匂いは席が隣の俺にしか届かねぇよ。きっと、このイカ臭い香りも夏の香りに混じってこの世界の空気を作り上げるのだろう。


 彼女の声が響いた。


 「はじめまして、皆さん。シャシャと申します。よろしくお願いします」

 「クゥッぅぅぅぅぅぅ!!」男子の心の噛み締める音が漏れていた。女子ですらあまりの可愛さに吐息かこぼれる。

 

 先生が「あそこの席に座ってくれ、シャシャさん」というと、「はい!」と席に向かった。

 その際、俺と目が合った。

 少しだけ目を見開いて、そしてにこりと笑った。俺は罰が悪いような顔を隠して言った。


 「はじめまして、ジャックです……あとで、事情話せよ」

 「……はじめまして、シャシャです……追いかけて来ちゃいました、異世界から」


 あいにく、後半部分は俺らにしか聞こえないように小さな声で言わせていただいた。

 まったく、あの異世界はこれだから困る。

 おかしいな。俺、異世界でちゃんと振ったのにな、シャシャの求婚を。

 


 













お読みいただきありがとうございます。

本当にまだまだ、文の拙い駄文ですが、なかなか面白くいたしますので、よろしくお願いします。 

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