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山の下の街7
アキとアリスは家から少し離れた倉庫にいた。
"猫の獣人"は夜陰に気配を消すことが出来る。それは"半獣人"であるアキも同様であり、二人は軍の包囲を抜けてここまで来た。
「お母さん、ここは?」
アキは小さくアリスに尋ねた。この場所に来るのは初めてだった。
「ここはうちの倉庫よ…」
アリスは静かに鍵を開けるとアキを中に入れ、自身も入ると静かに閉めた。中は真っ暗であり、アキには何も見えないがアリスに手を引かれた。
また、扉がゆっくり開く音が聞こえる。
「階段、降りるから気を付けて。ゆっくり、扉を閉めて。静かに」
階段を降りると空間に出た。
アリスが照明器をつけるとアキには異様な光景が目に入った。
「お母さん、これは…?」
「全部、私物よ…」
小さな部屋に保管されていたのは十数丁に及ぶ銃火器だった。アリスは静かに弾薬を確認していく。アキは混乱していた。
「お母さんは何者なの?」
アリスは作業をしながら答えた。
「貴方のお母さんよ」
一通り確認を終えると、一息ついて、奥の棚を開けた。中から一丁のライフル銃を取り出す。
「ただ昔、人殺しだっただけの、ただの母親よ」
その銃には猫の意匠が施されていた。
アリスは少し懐かしむ様にライフルを手でなぞると、撃鉄を起こした。




