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竜の眼の魔術士  作者: 花嵐 龍子
第三章 竜國炎上 ーParis brûle-t-il?、ー
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竜國炎上14

 アリアはエルーと共にピンツガウアーを直ぐに動かせる様に準備していた。


「急いで!さっきの西側の爆発といい、いつ危険が来てもおかしくはない!」


「了解しました」


「エルーさん、二号車、医療装置含め準備完了です」


猿の獣人の男、シュタイナが一号車に入ってきた。


「了解。そのままアイドリングを最小限にしてアイガーさんと待機してて」


「了解です」


「エルー先生、終わりました」


アリアは重い旅に必要な物質を軽々と持ち上げ、黙々とこなすので予定よりも作業は早く済んだ。


「後は状況次第だけど…」


「エルー先生」


「なんだい、アリアさん?」


エルーがアリアの方を見ると後ろに街のご婦人方が数人いた。


「どうしましたか?」


「すみません軍人さん。配置で動けないのは重々承知なのですが、人手を貸して頂けないかしら」


代表のエルフの女性が話すには西側の被害に人員を割いたので、南側の物質補給の人員が足りていないとの事だった。エルーは暫く考えた後、アリアに頼んだ。


「よろしいのですか、お忙しいのに…」


「構いません。我々の作業は終わりましたから。彼女は少し丁寧な指示が必要ですが我が隊一の力持ちですのでお役に立つと思います。アリアさん、頼めるかい?こちらは三人でも大丈夫だから」


アリアはこくりと頷いた。


「了解しました」


「ありがとうございます!よろしくね、若い軍人さん!」


代表はアリアの手を握って感謝を示した。


「いえ、命令ですので。さっそく向かいます」


アリアは無表情のまま手を下ろして行ってしまった。代表は怪訝な顔をし、エルーは苦笑いをした。


「すみません、我が隊一無愛想なんです」


エルーは内心アリアに任せたのは失敗だったかもしれないと思った。


「あれ?アリアちゃん!」


 アリアが現場に向かうと子供たちと荷物を運ぶメリュに出くわした。


「お疲れ様ですメリュ」


次の言葉を話す前にアリアはメリュに抱きつかれた。


「うわーん、よかったよー!心寂しかったよー!!」


子供たちや夫人、アリアが困惑する中でメリュは号泣した。


「よかったね軍人さん。お仲間に会えて」


シェリーは一息をつく様に腰に手を当てた。


「おーい!シェリー!!」


「アーサーさん!?」


シェリーがびっくりして振り向くと、アーサーとジャックが息が枯れそうになりながら走って来た。


「良かったここの倉庫はまだ無傷だ」


ジャックは一安心した様子だった。アーサーは頬を赤くして緊張した様子のシェリーに寄った。


「すまないシェリー、ここも大変だろうけど急ぎの仕事を頼めるかい?」


「ももも勿論ですとも!!いくぞ、野郎ども!!」


「ハハハ元気だなぁ。ご婦人方もお願いします。えっと、君たちは?」


アーサーの問いにアリアはメリュを引き剥がして敬礼した。


「ヴァニティ隊スワロウテイル小隊、アリア二等兵、同所属メリュジェーナ少尉です」


「私はメランコリア隊カリバーン小隊長、アーサー大佐だ。もう一人は…」


「存じております。ジャック中将ですね。一度ここの案内をされました」


ジャックはもう少し休みたいのか手だけを振った。


「君たちの小隊長は存じている。申し訳ないが手伝ってくれ」


「了解しました」


「よし!ではこれより"反逆体"を各地に展開するために運び出す。すでに部下たちが補給路は確保した。総員作業開始!」


ジャックが大声で号令を掛けたと同時に和やかな空気が一変し女子供関係なく動き出した。


「ここの住人はこういう時の為の訓練を日常的に行なっているからな。慣れたもんだよ」


アーサーはシェリーと共に倉庫に入って行った。


「"反逆体"の保有状況は?」


「今すぐに使える調整済みなのが三百。無調整のが二百です。ここ列のがそうです」


シェリーが示した棚には緑の光の筋が四方に入った黒い小さな箱状の物が積み上げられていた。


「ふむ。ジャック隊長!三百で足りますか!?」


「少し足りないが無いよりはマシだ!早く運んでくれ!」


「よし、どんどん運んでくれ!」


そんな時だった。倉庫の近くで大規模な爆発があった。


「なんだ!?」


「報告!現在南一地区にてヴァニティ隊スワロウテイル所属の"魔術士"二名が"大石竜"と交戦中!!」


「なんだと!すぐそこじゃないか!何やってんだ!アーサー!来い、戦闘態勢だ!!!」


「了解!シェリー、悪いが作業はそのまま続けてくれ!」


「分かったわ!!」


今までにない緊張感が辺りを包んだ。密集した建物の隙間から異様な気配が満ちていた。


「来る…!!!」

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