竜國炎上13
「来るぞ!!」
巨竜が川を飛び越え始める前に全ての"ジャンダルム"は砲撃を再開した。
「目標は"大石竜カサット"と断定!先の攻撃を放った者とは別と思われます!」
現場の指揮官のドワーフ、パズに情報が集まってくる。
「ほかのは確認できるか?」
「いえ、敵は一体のみしか確認できません!」
「雲に隠れている可能性もある。"反逆体"を取りに行ったジャック中将たちを急がせろ!」
「敵、カサット!西側では無く、東側に向かう模様!」
「向こうには誰がいる!」
「あちらにはヴァニティ隊、スケアクロウ小隊が展開中!」
「ならば向こうには増援を送るな!我々は西側の復旧に専念しジャック中将を待つ!」
「えっ!?よろしいのですか?」
困惑する部下にパズは振り向かなかった。
「問題ない…アルプスの"魔術士"の実力を見せてもらおうか…奴が街に侵入次第、砲撃を中止し戦闘部隊をぶつける!」
カサットは塔からの光線が集中する西側を避けつつロワール川の辺りギリギリで翼を広げた。圧倒的な暴風が川に浮かぶ軍船を吹き飛ばし城壁に叩きつけた。同時に幾つかの光線がカサットの翼を貫く。
(今だ、飛べ!)
巨竜は土煙と共に高く飛び上がり、川に向かって低空飛行で城壁に突撃する。
「東の壁の下だ!」
城壁の上の人々が下を確認した瞬間、カサットの巨大な顔が目の前にあった。
『石デアレ』
カッと紅い瞳から閃光が放たれた途端、辺りの人々全てが石と化し、ひび割れて砕け散った。
「奴の眼から放たれる光には当たるな!どう防ごうが石にされるぞ!!」
カサットは城壁を乗り越えて街に侵入した。
(さて、先にする事は)
決まっている。あの忌々しい光線を放つ塔を破壊して周るのだ。それだけでも陛下は満足してくださるだろう。カサットは再び飛び立とうとした。
『我、双炎ニシテ悪ヲ滅スル』
詠唱と共にカサットの前を炎が包んだ。
「二天竜流。ニの陣、青天!」
円形状の巨大な炎の傘はカサットに覆い被さると青く輝き大爆発した。
「硬い鱗だね」
高熱に苦しむ巨竜を前にユフォは二匹の炎の竜を従えて降り立った。
カサットはまとわり付いて来る炎を無理矢理振り払いユフォを睨みつけた。
『石デアレ』
再びカッと紅い瞳から石化の呪いを孕む閃光が放たれたが、ユフォは不敵に笑ったままこちらに歩いて来た。
「!!?」
「君、大っきいけど"石竜"なんだってね。悪いけど対策させて貰ったよ」
ユフォの周りには複数の札が宙を周回していた。
「私たちは最先端の魔術専門家。君たち畜生如きが"竜の知恵"とやらから引っ張りだす付け焼き刃とは質が違うよ」
(クソっ!!)
カサットは巨大な翼で砂煙を起こした。ユフォは炎で壁を作り防いだがその隙にカサットは街の北側に飛び去った。
「予定通り。通信班、副隊長へ対象は旧市街に向かったと伝えて」




