竜國炎上11
夜明け前、そこは荘厳な大聖堂の中であった。
「お目覚めですか、陛下」
淡い灰の髪の男が祭壇から最前列の席に座る人物に声を掛けた。
「まだ本調子ではないようですね」
その人物は金色の髪を燃える様に流し、透き通る白い肌に瞑る真紅の眼を開いた。
「………カサットか」
灰の髪の男、カサットはその人物に跪く。
「おはようございます。陛下」
「カサットよ、余はまだ眠いぞ」
「もう朝でございます。ウォーミングアップを致しましょう」
カサットは立ち上がった。
「手始めに軽い運動を。貴方様なら国も簡単に落とせますが、まずは街から落としましょう」
「ほう?では何処を落とすのだ?」
カサットは少し考えるそぶりをした。
「うーんそうですねぇ、あっそうだオルレアンにしましょうか!」
パン!と手を叩くとカサットは外を見た。
「もうすぐ日の出です。出ましょう、ここを燃やしてしまうのはもったいない」
「うむ、そうだな」
二人は大聖堂を出てしばらく歩くと日の光が大地を照らした。
「よい天気だな」
「そうでごさいますね」
空は雲一つない秋の高い空が広がっていた。
「良いのですか、"変身"なさらくても」
「よい。今日はこのままでいようと思う」
「左様で…」
ふわっと二人が宙に浮いた。辺りに火が立ち、石畳みを少し溶かした。
「では、参ろうか。あないを頼むぞ」
「御意に」
カサットは深々と頭を下げた。




